つわりの時に胃薬を飲んでも大丈夫?漢方薬の効果は?
妊娠中に増加する「黄体ホルモン(プロゲステロン)」は、食道の筋肉を弛緩させたり、消化機能の低下を招いたりするとされています。それが原因となって、妊娠中は、胃が荒れたり、逆流性食道炎になったりする可能性がアップするとも考えられています。
吐き気だけにとどまらず、実際に嘔吐してしまう状態が続くと胃が荒れて、さらに吐き気をもよおすという悪循環に陥るケースも珍しくありません。
胃粘膜の荒れや、嘔吐を繰り返すことで生じる不快症状の軽減には、一般的に以下の薬が用いられます。
妊娠中に処方される胃薬(一般例)
・マーロックス(成分:複合制酸剤)胃酸を中和して、胃粘膜を保護する効果があります。つわりで嘔吐が続き、胃が荒れてしまった場合に用いられます。
つわりの不快症状を和らげる目的として、漢方薬が処方されるケースもあります。漢方では、胃腸のケアがさまざまな不調を未然に防ぐことにつながると考えられており、つわり時の胃の不快症状を軽減するものも複数あります。
妊娠中につわり軽減の目的で処方される漢方薬(一般例)
・小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)つわり時によく用いられる漢方薬の代表格で、食欲不振や吐き気、胃に水がたまっているような感じの症状を軽減します。
・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)喉や食道のあたりに詰まりを感じるような不快症状がある際に用いられます。気分がすぐれない、吐き気などつわりの諸症状緩和に効果を発揮します。
・人参湯(にんじんとう)手足が冷えやすい、胃腸の虚弱、下痢や嘔吐、腹痛などを軽減する目的で用いられる漢方で、つわり症状の緩和にも効果があるとされています。
・五苓散(ごれいさん)急性胃腸炎の際に用いられる漢方薬で、口が渇く、尿量が少ない、めまいや頭痛などの症状を緩和する効果もあります。
以上は、つわり症状を軽減するとされる漢方薬の一例です。妊婦さんの症状に応じて、他の漢方薬が処方されるケースもあります。なお、つわり時は顆粒タイプのお薬が飲みにくく感じられる人もいます。漢方薬によっては錠剤タイプもありますので、医師に相談し、自分に合ったものを処方してもらいましょう。
つわりの薬が効かない時の対処方法は?
つわり症状を軽減する目的で出される薬が、誰にでも必ず効くというわけではありません。妊婦さんによっては、「飲んだけどさっぱり効かなかった」という人や「薬を飲んでもすぐに吐いてしまって、効果がなかった」という人もいます。
そのような場合は、症状を改善できるように点滴で栄養を補給するなどの方法も考えられます。
つわりの薬を飲みたいけど、飲めない時の対処方法は?
持病を抱えているなど、妊婦さんによっては薬を飲みたくても飲めない場合もあるでしょう。
けれども、つわりを軽減する方法は薬を服用する以外にも選択肢はあります。
産婦人科の医師と相談しながら、アロマやマサージ、呼吸法、食事の摂り方を工夫するなど、さまざまなアプローチを試しながら乗り切りましょう。