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2022.11.11

妊娠中のトラブル

【産婦人科医監修】誰もがなる可能性が!「妊娠高血圧症候群」 重症化すると脳出血の恐れも!

発症すると出産直後まで治らず、母体にも赤ちゃんにも影響するのが「妊娠高血圧症候群」。どんな危険があり、どんなことに気をつけたらいいのでしょうか?予防するにはどうしたら?…。総合母子保健センター 愛育病院名誉院長の安達知子先生にうかがいました。

妊娠高血圧症候群って何?

妊娠中は、生理的に血圧は下がるものですが、血圧が上昇してしまうのが妊娠高血圧症候群です。妊娠前は正常な血圧だった人が、以下のいずれかの状態になった場合に診断されます。

妊娠20週以降、産後12週まで高血圧が見られる場合
高血圧でタンパク尿が出た場合

※「高血圧」とは、収縮期血圧(最高血圧)140mmHg以上、または拡張期血圧(最低血圧)90mmHg以上。

高血圧になるということは、血圧を高くしていないと血液が流れにくいということです。また、タンパク尿は腎臓機能が低下しているというサイン。

こうなると心臓や血管に負担がかかって母体のトラブルが出やすくなり、胎盤に十分な血液が届かずに、赤ちゃんの発育が悪くなります。

胎盤もはがれやすくなり、早産のリスクは、平常な血圧の妊婦さんに比べて2倍と高く、母体や胎児の状態が悪くなって人工的に早産させることもあります。

記事を読む⇒⇒⇒知っておきたい!「切迫早産」と「早産」。原因や症状、治療の方法は?【産婦人科医監修】

さらに重症になると子癇発作(けいれんと意識障害)や脳出血を起こすこともあります。

妊娠高血圧症候群は、妊婦さんの3~4%に起こり、なりやすい人の傾向はあるものの、誰にでも起こる可能性があります。また、ずっと順調に見えても、妊娠末期に高血圧になることもあるので、注意が必要です。

どんな自覚症状があるの?

怖いのは、初期段階では自覚症状がないこと。できることは、とにかくきちんと妊婦健診を受けて、血圧をチェックすることです。

高血圧はかなり進んでから、目がチカチカするといった自覚症状が出ますが、こうなってからでは命にかかわるようなトラブルもすぐそこです。

また、生活習慣の見直しをすることも大切です。特に妊娠高血圧症候群になりやすい条件のある人は、ならないような生活を心がけましょう。

妊娠高血圧症候群になりやすい人

肥満傾向の人、妊娠中の体重増加が著しい人
高年初産
もともと血圧が高い
ヘマトクリット値(血液の濃さ)が高い人
多胎妊娠
持病がある人

妊娠高血圧症候群になったらどうすれば?

妊娠高血圧症候群の一番の原因は、妊娠していることそのもの。お産が終わらないことには完治せず、産後12週まで注意が必要です。

妊娠高血圧症候群になった場合、血圧が上がらないように、食事や日常生活をコントロールしていくことになります。コントロールがうまくいかない場合は、入院してさらに徹底した食事管理と安静、降圧剤によって血圧が上がらないようにします。

コントロールが無理だったり重症化した場合、37週未満でも人工早産にして赤ちゃんを出してあげることもあります。

お産はどうなるの?

妊娠中のコントロールがうまくいって血圧が正常に近づき、赤ちゃんも元気に発育して入れば、経腟分娩が可能です。ただし、陣痛中は血圧が上がりやすいので、予定帝王切開または緊急帝王切開になることもあります。

記事を読む⇒⇒⇒帝王切開になる理由とは?知っておきたい〈帝王切開の流れから産後の過ごし方〉まで【産婦人科医監修】

血圧が高い場合は、脳出血を起こすなど母体が危険になる可能性が高いので、降圧剤や抗けいれん剤を使いながらの出産となります。

血圧が異常に高くなったら、麻酔分娩に切り替えることも。重症の場合は、早期に帝王切開するケースが多いでしょう。

妊娠高血圧症候群にならない生活習慣

では、妊娠高血圧症候群にならないためには何に気をつければいいのでしょうか?5つのポイントをご紹介しましょう。

1 塩分のとりすぎに注意して薄味の食事を

塩分をとりすぎると血圧が上がるのは、血液内の塩分濃度を一定に保とうとするため血液中の水分量が増え、心臓や腎臓に負担をかけるためと言われています。薄味でおいしく食べる工夫をしましょう。

調味料はしっかり計量する
減塩しょうゆにかえる
だしをきちんととる
酢やレモン、スパイスで味を補う
麺類は汁を残す

2 体重が急激に増えないようにコントロール

妊娠中の適正な体重増加の目安は、その人の体型に合わせて数値を出すことはできますが、あくまでそれはトータルの数字。少しずつ増えるのが理想で、1ヶ月に2㎏など急激に増やさないことが大事。臨月に入ってからも気をゆるめないよう注意を。

3 ストレスをなるべくためない

ストレスと感じると血管が収縮し、血圧が上昇します。思い当たるストレスはなるべく減らしたり、うまく解消するよう心がけて。心身ともに緊張がやわらぐと、血行がよくなり血圧も下がります。

4 疲れをためない。生活リズムをととのえる

生活リズムが乱れると睡眠が浅くなったり、消化器官に負担がかかったりして、体が疲れます。体が疲れると血圧が上がりやすくなるため、早寝・早起き・きちんと3食食べるなど生活リズムをととのえて。

5 体を冷やすなど、血行が悪くなることを避ける

冷えたり、長時間同じ姿勢を続けたりして血行が悪くなると、血圧が上がりやすくなります。おなかは下半身は冷やさないようにする、適度に体を動かす、疲れたら横になるなど、血行をよくするよう心がけましょう。

【監修】 安達 知子 総合母子保健センター 愛育病院名誉院長・東京女子医大客員教授

1978年、東京女子医科大学医学部卒業後、同大学産婦人科学教室入局。米国ジョンズ・ホプキンス大学研究員、東京女子医科大学産婦人科助教授をへて、2004年から愛育病院産婦人科部長に。2006年より東京女子医科大学の客員教授に。2013年より愛育病院副院長を兼務し、現在は名誉院長。厚労省、文科省、内閣府などの各種委員会の委員などを務める、わが国の産科学会を担う中心的存在の一人。

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