妊娠していることを周囲に知らせるためのマタニティマーク。妊娠中の女性の体は、いつ何が起こるかわからないもの。マタニティマークをつけていることで、周囲の配慮を呼びかける大切な役割を担っています。
しかし、マタニティマークをつけることによって嫌がらせを受けたり、思わぬトラブルに巻き込まれてしまったという事例が発生しているのも事実です。マタニティマークについて知っておきたいあれこれをまとめてご紹介します。
マタニティマークをつける割合はどれくらい?
Baby-mo編集部が先輩ママ100人にアンケート調査を実施したところ、マタニティマークをつけた人が84%、つけなかった人が16%という結果になりました。マタニティマークをつけた人がほとんどですね。
妊娠中はとにかく自分の体とお腹の赤ちゃんを守ることが重要。赤ちゃんを守る手段の1つとして、マタニティマークはママ達に浸透していることがわかります。
マタニティマークっていったい何?
認知度は高まっているとはいえ、マタニティマークについて詳しく知らないという人もいるのではないでしょうか。まずはマタニティマークとはどんなものなのかを確認しておきましょう。
マタニティマークとは、妊娠中の女性が公共交通機関などを利用する際に身につけることで、周囲の人が妊婦さんへの配慮を示しやすくするためのものです。また、体調が悪そうなら声をかける、妊婦の近くでは喫煙をやめるといった、妊婦に優しい環境作りを推進するための役割も担っています。
ピンクのハートの中にママが赤ちゃんを抱いたデザインがマタニティマークの代表的なものです。 お腹が大きくなって、ひと目で妊婦であることがわかれば周囲も配慮することができますが、妊娠初期や妊娠中期は見た目だけでは妊婦だと判断することはなかなか難しいもの。
外出先でつわりや体調不良などが起こったとき、マタニティマークを見ただけで妊婦だと判断できると周囲の人が配慮しやすくなり、妊婦とお腹の赤ちゃんを守ることにつながります。妊婦であることを周囲に示すのがマタニティマークの大きな役割です。
マタニティマークが誕生したのはいつのこと?
マタニティマークが作られたのは平成18年。厚生省の政策として施行された活動の1つで、「健やか親子21推進検討会」という国民運動計画によって推奨されました。妊婦のための優しい環境づくりが大きな目的です。
また、妊婦でも公共交通機関などを快適に利用できるようにという願いが込められています。少子化が叫ばれている現在の日本で、妊娠・子育てのしやすい環境づくりは重要な側面を担っています。
マタニティマークにはどんな種類があるの?
マタニティマークにはさまざまな種類があります。
定番の「キーホルダータイプ」
まずは、目にする機会の多い定番タイプからご紹介しましょう。妊婦さんの多くが使用しているマタニティマークは、金属のチェーンがついたキーホルダータイプのもの。さまざまな場所で受け取ることができるマタニティマークですが、配布されている中でも特に多いのがこのキーホルダータイプです。
使いやすさが魅力の「ストラップタイプ」
ストラップタイプのマタニティマークは、その名の通り携帯電話につけるストラップの紐がついた形状のもの。キーホルダータイプのチェーンが通らないような小さい穴にも通すことができるので、つける場所を選ばないのが特徴です。
安産の願いを込めてつけられる「お守りタイプ」
安産祈願を行っている神社の中には、マタニティマークのデザインを用いたお守りを販売しているところも。安産祈願のお守りを持っている安心感が得られるだけでなく、マタニティマークとしての役割も果たしてくれるので、一石二鳥で活躍してくれるアイテムです。
安産祈願のために神社を訪れたついでに、マタニティマークのお守りを購入したという妊婦さんも多いのではないのでしょうか。
マタニティドライバー必見の「カーステッカータイプ」
後続車から見える場所に、「赤ちゃんが乗っています」「こどもが乗っています」というステッカーが貼られた車を見かけたことはありませんか?あのマークと同じように、マタニティ向けにもカーステッカーが開発されています。
マタニティマークがステッカーの中心に描かれており、そのまわりには「マタニティママが乗っています」というような文言が記載されているものも。妊娠判明後も運転をしているという人は、マタニティマークのカーステッカーをつけておくと安心です。
オリジナルのマークが欲しい人におすすめの「手作りタイプ」
妊娠期間中にしかつけられないマタニティマーク。せっかくだからかわいいものが欲しいという人には、手作りタイプのマタニティマークがおすすめです。
手作りで多いのは、ロゼットタイプのマタニティマーク。ダウンロードしたマタニティマークを布にプリントし、必要な材料を組み合わせれば簡単に作ることができます。材料は100均でそろうものがほとんどなので、妊婦記念に作ってみたいという人はぜひトライしてみてください。
マタニティマークはどこで入手するの?
妊娠がわかったら、早めに受け取りたいマタニティマーク。どんな場所で受け取ることができるのかを、チェックしておきましょう。
住んでいる自治体の窓口
マタニティマークの入手場所として挙げられるメインの場所は、住んでいる自治体の子育て窓口。通常、母子手帳を交付してもらう際にマタニティマークも一緒に受け取ることが多いようです。
住んでいる地域によってオリジナルのデザインやカラーのマタニティマークがある場合もあり、もらえるものはそれぞれ異なりますが、ボールチェーンのついたキーホルダータイプのマタニティマークを配布する自治体が多いようです。
鉄道会社の窓口や飛行機のチケットカウンター
JRをはじめとする鉄道会社の窓口で、マタニティマークを無料で配布しているところもあります。もらえるのはボールチェーンがついたキーホルダータイプのマタニティマーク。
妊娠中でも通勤や外出に電車を定期的に利用しなければならない人はたくさんいます。そのため、電車が混むようなラッシュの時間帯でも周囲が配慮しやすいように、というのがマタニティマークの目的です。最寄りの駅で配布しているかどうか確認してみましょう。
また、妊娠中に飛行機に搭乗する場合、チケットカウンターでオリジナルのマタニティマークを受け取ることもできます。妊娠中の飛行機搭乗は心配なことも多いもの。キャビンアテンダントもマタニティマークのお客様に配慮しやすくなるはずなので、もらっておくと安心です。
メーカーやベビーグッズ専門店で無料プレゼントも
赤ちゃん用品のメーカー「ピジョン」では、LINEで友達登録をすると抽選でオリジナルのマタニティマークをプレゼント。また、「アカチャンホンポ」のように、妊娠中に会員登録をした人の特典として、プレゼントしているお店もあります。近くのお店やメーカーHPなどで確認してみて。
ネットショップや実店舗での購入
もちろん、マタニティマークのついたアイテムを購入するという方法もあります。通販サイトを見てみると、定番のキーホルダーだけでもデザインや素材が幅広く用意されているようです。自分好みのデザインや用途に合わせてマタニティマークのアイテムを選んでもいいでしょう。
マタニティマークをおしゃれにアレンジして使う人も!
マタニティマークのキーホルダーにリボンやレース、ストーンなどを使ってかわいくアレンジして使用している人や、ハンドメイド作品として販売している人もいます。
マタニティマークは妊娠中にしか使うことのない特別なもの。自分好みのアレンジで短いマタニティライフを楽しむのもいいのではないでしょうか。
妊娠期間が終了したら、その赤ちゃんの妊娠期間中の思い出のアイテムの1つとしてずっと残しておくこともよさそうですね。
マタニティマークはいつからつければいいの?
マタニティマークは「いつからつける」という決まりは特にありません。先輩ママたちはどうしていたのか、経験談から探ってみると…
“妊娠しているかも?”のときにはつけていない人がほとんど
妊娠判明前に誰もが経験する、“妊娠しているかも?”の時期。生理が遅れていたり、普段と体調に違いが見られたりと、まだ妊娠検査薬を試す前の段階を指します。
ただこの“妊娠しているかも?”というのは、本能的に感じている感覚でしかありません。本当に妊娠している可能性もありますが、この段階でマタニティマークをつけていたという人はほとんどいないようです。
妊娠検査薬で陽性が出たらマタニティマークをつけ始める人も
日本で販売されている妊娠検査薬は、かなり高い精度を誇っていると言われています。正常妊娠かどうかは別として、妊娠検査薬で陽性の反応が出たらほぼ妊娠していると考えて間違いないというのが一般的な考え方。そのため、妊娠検査薬で陽性が出たタイミングからマタニティマークをつけ始めたという人も少なくありません。
産婦人科で「妊娠している」という事実が確認できたら
妊娠の可能性がある場合、産婦人科で妊娠しているかどうかの検査をします。尿検査や経膣エコーなどをして、妊娠しているかどうかを確認。まだ赤ちゃんの心拍が確認される前の状態であっても、妊娠しているかしていないかの判断は下されます。
この時点で妊娠が判明しても、赤ちゃんがしっかりと大きくなっているかどうかはまだわからない状況です。しかし、妊娠していることに変わりはないので、このタイミングからマタニティマークをつけておくのもいいでしょう。
母子手帳をもらえる時期に入ってから 産婦人科にて妊娠判定を受け、その後日数を置いてから再度受診し赤ちゃんの心拍が確認できれば、無事に母子手帳の交付を受けられるようになります。各自治体に設けられている窓口にて、書類に必要事項を記入し母子手帳や妊婦さん向けの資料などを入手。
母子手帳と一緒にマタニティマークが渡されるケースも多いため、このタイミングでマタニティマークをつけ始めたという人が多数派です。人によってはつわりがひどくなってくる時期なので、場面に合わせてマタニティマークを提示できるよう携行しておくようにしましょう。
知っておきたい!マタニティマークのデメリット
妊婦の安全を確保するのがマタニティマークの本来の目的。しかし、周囲に妊婦だと知らしめることで、嫌がらせを受けるなど、思わぬトラブルに巻き込まれてしまったという人がいることはデメリットでもあり、現在大きな社会問題となっています。
嫌がらせの一例としては、駅のホームや階段で突き飛ばされた、お腹を蹴られたといった事件性のあるものや、暴言を吐かれた、にらまれたなどといったことも挙げられます。
先輩ママ達のアンケートでも、「電車で目の前に座っている若い女の子が『マークチラつかせててウザいんだけど』と言ってきた」「駅で見知らぬ男性に蹴られました。弱者に見られているんだな思いました」という回答が!
マタニティマークをつけていることで、見ず知らずの心無い人から母体と赤ちゃんが危険にさらされるという、あってはならない事態が起こっているのです。
トラブルが起きやすいのは公共交通機関ですが、ショッピングセンターや病院などでも様々な嫌がらせやトラブルが発生しています。
マタニティマークで生じるトラブル、その原因は?
なぜマタニティマークでトラブルが起きるのでしょうか。その原因を見ていきましょう。
公共交通機関で席を譲ってもらうためのアイテムと思っている人もいる?
マタニティマークをつけていることを「公共交通機関で席を譲ってもらうためのアイテム」という間違ったとらえ方をしている人もいるようです。
サラリーマンなど毎日の仕事で疲れている人は、「電車でまで他人に気をつかいたくない!席に座ってゆっくり休みたい!」と思うことも少なくないもの。妊婦だからと優遇されていると感じ、イライラしてしまうこともあるのではないでしょうか。
女性からのやっかみの対象になるケースもある
また、同じ女性という立場だからこその不満をぶつけてきている場合もあります。 「マタニティマークをつけていると、”妊娠中で幸せな私アピール”に感じてしまう」「むかつく!」という声や「不妊治療中で悩んでいるからマタニティマークを見るとイライラしてしまう!」「うざい」などの声も。
結婚していない、またなかなか子どもに恵まれない、不妊治療中、流産・死産を経験した…そんな女性にとって、マタニティマークは見ているだけで辛く感じてしまうケースもあるのかもしれません。
実際、アンケートに答えてくれた先輩ママの一人は、「自分が流産をしたり不妊治療をしていた時にマタニティマークを見ると胸が苦しかったから、妊娠してもつけなかった」と答えています。
普段抱いているマイナスの感情がマタニティマークをつけている妊婦に向かい、嫌がらせなどのトラブルの引き金になってしまうこともあるようです。
妊婦自身のふるまいも大事!
周囲の人の配慮はもちろん大事ですが、妊婦自身のふるまいや意識もポイントです。「マタニティマークをつけているのだから、優遇されて当然!」といった態度では周囲の配慮は得られにくいもの。
サポートしてもらったり席を譲ってもらったりしたらきちんと感謝の気持ちを述べるなど、当たり前のマナーが重要になります。みんなが気持ちよく過ごせるようにすることが、公共の場を利用するものとしての当然のマナーです。
マタニティマークをつける際の注意点
上記のことを踏まえ、マタニティマークをつける際に注意したいことは、マタニティマークを見た人すべてが優遇してくれたり配慮してくれたりするわけではないということです。
優遇や配慮を当たり前と思わず、マタニティマークは赤ちゃんに何かあったときのためのものという認識でいるのがいいでしょう。マタニティマークをつけるときは、場所や自分の体調を考えて活用するようにしてください。
マタニティマークをつけるメリットは?
妊娠期間中は、体調が急変するリスクもあります。 「なにかあったときに妊婦であることがすぐにわかる」 ことは、マタニティマークをつけることで得られる一番大きなメリットになります。
マタニティマークの効果がしっかりと発揮されるのは、外出先で体調不良になったときの緊急時対応。具合の悪い理由がわからないと、病院での処置が遅れてしまう恐れがあります。マタニティマークを見るだけで具合の悪くなった理由が推測できるため、周囲の人も妊婦であることを前提に対処してもらうことができます。
妊婦であることを口頭で伝えることができるならそれでいいのですが、気分が悪くて倒れてしまう場合も想定しておく必要があります。そんなとき、マタニティマークが大きな目印になってくれるでしょう。
嫌がらせなどを受けるケースもあるとはいえ、ママ達のアンケートでは「電車で席をゆずってもらえた」「スーパーのレジでカゴを運んでもらった」と親切にしてもらえ、「つけてよかった」と答えた人が大半。やはりメリットの方が大きいのは確かです。
先輩ママ教えて!マタニティマークに関する体験談
妊娠・出産を体験したママたちの、マタニティマークにまつわる体験談をご紹介しましょう。
電車で席をゆずってもらいました
「妊娠が判明したのは会社勤めをしていたとき。妊娠中の電車通勤は特につわりが辛かったのですが、お腹の目立たない時期はなかなか席に座りにくいもの。
カバンにマタニティマークをつけていたため、マタニティマークを見た周囲の人が席を譲ってくれることが何度もありました。少し座れるだけでもずいぶん違ったため、とてもありがたかったです」(1歳1ヶ月女の子ママ)
お守りみたいなもので持っていると安心
「マタニティマークをつけることに不安もあったのですが、事故などがあった時に救急隊員や周囲の人に妊婦であることを知らせるというマタニティマークの本来の目的を知り、カバンの中に向けてつけるようにしていました。
何事もなく出産まで過ごすことができましたが、マタニティマークを持っていることでちょっとしたお守り代わりになっていました」(9ヶ月男の子ママ)
トラブルに巻き込まれないよう気をつかいました
「マタニティマークに関する怖いニュースもあり、心配な気持ちももちろんありましたが何かあった時のためにとカバンにつけていました。
電車で席が空いていて普通に座れた時にはマタニティマークを手で隠したりして見えないように、優先席に座る時はマタニティマークが見えるようにと臨機応変にして、トラブルなど面倒なことに巻き込まれないような工夫をしていました」(1歳6ヶ月女の子ママ)
マタニティマークをつけて友人の結婚式へ
「妊娠初期にあった友人の結婚式。どうするか悩んだのですが、まだお腹の目立たない時期でつわりもほとんどなかったため、万が一を考えてマタニティマークをつけて参加することにしました。
マタニティマークに気が付いたプランナーの人が乾杯のシャンパンを何も言わずにノンアルコールのソフトドリンクに変えてくれました。さりげない気遣いが嬉しかったです」(4ヶ月男の子ママ)
やさしくしてもらえて助かりました!
「仕事が忙しい旦那さんとなかなか買い物に行けず、私1人での買い物のとき。重たいものは買うまいと思いつつ、なんだかんだ重くなってしまう買い物かご。スーパーでの買い物重たいかごを、マタニティマークを見たレジの人が袋詰めの台まで運んでくれることがありがたかった!毎回助かっていました」(1歳1ヶ月女の子ママ)
電車で怖い思いをしたことも!
「マタニティマークをカバンにつけて優先席に座っていたら、年配の男性に『妊娠は病気じゃないだろう。こんなものつけて堂々と座って!』と目の前で文句を言われてしまいました。
思わず席を立とうとしたら、そばにいた女性が『座ってていいよ、あんなの無視しなさい』と言ってくれたのですが、そのときにマタニティマークをよく思っていない人もいるんだということを知りました。1人での外出が恐くなってしまいました」(1歳6ヶ月女の子ママ)
体調不良で倒れたときに存在感を発揮
「まだお腹がそんなに目立たない妊娠中期、駅で急な体調不良で倒れてしまったことがありました。そのときに近くにいた人が私の異変に気づいてくれ、助けてもらうことができました。マタニティマークをカバンの外側につけていたおかげで妊婦と気づき、それに沿った対応ができたということです。
事なきを得て私もお腹の赤ちゃんも無事でしたが、マタニティマークがなかったらと思うとゾッとします。マタニティマークの大切さを実感した出来事になり、そこから出産まで外出時には必ずつけておくようにしていました」(1歳7ヶ月男の子ママ)
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メリットもデメリットもあるマタニティマーク。ただ、いざという時、頼りになる存在であることは確かです。赤ちゃんのためにも、外出する時にはつけておく、あるいはすぐわかる場所に携帯することをおすすめします。
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