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うさぎの耳〈第六話〉にんじんのパペット|谷村志穂
隣駅の手芸店で少しずつ買い足しているのは、ハマナカ毛糸のピッコロという毛糸玉だ。アクリル毛糸でごわっとした感触があり、セーターやマフラーにするには硬すぎるが、パペットにすると、しっくりくる。糸は店員さ ...
うさぎの耳〈第五話〉スイカの帽子|谷村志穂
二階の窓は広く、厚地のカーテンを両端に手繰り寄せていくと一気に視界が開ける。朝ごとに、新しい一日の始まりを感じる。陽射しがあれば、ベッドの上の白いシーツには、光がさまざまな線で形を描く。ここ最近は、ず ...
うさぎの耳〈第四話〉チョコ・クッキー|谷村志穂
夕暮れのはじまった道を、莉子とベビーカーを押しながら、住居まで歩いて戻った。理玖を乗せたベビーカーの車輪が、時折道端の小石を拾って、ことん、ことんと鳴る。おー、おーと、夕映えに向かって手を伸ばす理玖。 ...
うさぎの耳〈第三話〉シャボン玉のパペット|谷村志穂
理玖は生後七ヶ月、母子二人で過ごしていた公園で、はじめて友人になった飯村莉子は、不思議な人だった。次に会う約束やLINEでのやり取りは一切しないと、最初から言われていたのだが、月曜日と金曜日には公園に ...
うさぎの耳〈第二話〉そばかすパペット|谷村志穂
あまり期待してはいけない、と自分に言い聞かせていた。彼女は、昼下がりのいつもの公園で、たった一度出会っただけの女性だ。思えば名前も訊いていないのだ。ベビーカーの中の理玖の顔を見て、リクくん、とかすれた ...
うさぎの耳〈第一話〉緑色のパペット|谷村志穂
小さな部屋だ。客間も含めて八つある屋敷の中で、一番と言っていいはずの狭い部屋を、私たちはもらっている。ベビーベッドも入っていた時には、理玖を抱えて身動きするのもやっとだったが、今はその場所に木机と椅子 ...