子どもがネガティブな言葉を発したとき、親はどんな「声かけ」をすればいいのでしょうか?困難に負けない子どもに育てるための声かけの具体的ポイントを、日本ポジティブ教育協会代表理事の足立啓美さんが監修する書籍『子どもの心を強くする すごい声かけ』からご紹介します。
テレビやネットのニュースを見て、ウイルスに感染したらどうしよう、地震が起きたらどうしよう、と不安になっているとき
【NGな声かけ】●「そんな心配してもムダでしょ」
●「感染しないから大丈夫」
【OKな声かけ】●「もし感染しても病院に一緒に行って治そうね」
●「治療すれば治るから大丈夫だよ」
●「不安になっちゃったんだね」
不安定なメンタルにその場しのぎの言葉はNO
2020年から始まった、新型コロナウイルスのパンデミックで、子どもたちのメンタルが不安定になっています。
連日の報道を見聞きしたり、自分の住む地域や学校内でも感染者が出たりするうちに、「自分が感染したらどうしよう」「家族が感染したらどうなってしまうんだろう…」と、不安な気持ちでいっぱいの様子の子どもたちもいました。
その心配する様子を見ると、「感染しないから大丈夫」と言ってあげたくなりますが、その場しのぎの言葉では、子どもも気持ちが楽になりません。
不安な気持ちに対して大人ができる対応は3つ
パンデミックに限らず、災害などに対して子どもたちが不安や心配を感じているとき、大人ができる対応には3つのポイントがあります。
①「実際にそうなったらどうするのか?」と想定して、子どもと話し合っておくこと子どもの不安な気持ちの原因は「病気になって治らなかったら?」「家族と会えなくなったら?」「学校に行けなくなったら?」…そんな先の見えなさにあります。
だからこそ、「じゃあ実際にそうなったときはどうするのか?」を一緒に話し合い、確認することが安心につながります。そのため、その課題を乗り越えられるプランを立てておきましょう。
「〇〇病院で治療してもらう」「〇〇へ電話をかけて助けを呼ぶ」など、具体的に決めて言葉として伝えることで、子どももいざというときのことがイメージできて、心が落ち着くでしょう。
②子どもの考えや気持ちを外在化すること本人が不安を感じているとき「不安にさせちゃう心配オウムくんが肩にいるね」と声をかけます。
\「オウムくん」とは?/一般社団法人日本ポジティブ教育協会で行っている「レジリエンス教育プログラム」では、人がよくするネガティブなとらえ方(認知)を7つに分け、7羽のオウムくんに例えて紹介しています。
「非難オウム」「あきらめオウム」「心配オウム」「正義オウム」「無関心オウム」「罪悪感オウム」「敗北感オウム」オウムくんは、私たちの肩に乗り、何か大変なことがあったとき、耳元でその状況をとらえる言葉をささやくのです。肩に乗ったオウムにたとえているのは、物事のとらえ方を、自分自身から一度切り離して外にとり出すことで客観視できるようにするためです。
ネガティブなとらえ方をあらわすオウムくんが不安の原因とします。その子自身に何か問題があるというのではなく「一緒にオウムくんを手なずけよう」という姿勢で「〇〇くんの頭の中でオウムくんはどんなことを言っている?」と声かけしましょう。
ネガティブ感情を一度自分と切り離し、「オウムくん」として外へとり出すことで、客観的かつ冷静な気持ちに切り替えることができます。この結果、不安を軽減するための行動をとる意識も芽生えてくるのです。
③どんな感情もずっとは続かないということを言葉にして伝えてあげること「1年も2年もずーっと怒り続けたり、不安がったりしていたこと、これまでにある?」と尋ねてもよいかもしれません。そうした言葉かけを何度も繰り返すことで、子どもも少し気持ちを落ち着かせることができるでしょう。
今の不安は永遠には続きません。いつか必ず落ち着くということを知っておくのも、子どもの心を落ち着かせるために役に立ちます。
逆境に負けない力を育てる『子どもの心を強くする すごい声かけ』
『子どもの心を強くする すごい声かけ』1,540円(主婦の友社)
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