子どもがネガティブな言葉を発したとき、親はどんな「声かけ」をすればいいのでしょうか?困難に負けない子どもに育てるための声かけの具体的ポイントを、日本ポジティブ教育協会代表理事の足立啓美さんが監修する書籍『子どもの心を強くする すごい声かけ』からご紹介します。
門限を守らない、禁止されている場所へ行くなど、大人との約束を守らなかったとき
【NGな声かけ】●「何回言ってもわからないんだから!」
●「どうして言うことを聞けないの!?」
●「もう出かけちゃいけません!」
【OKな声かけ】●「外が真っ暗ですごく心配したよ。遅くなるなら連絡して」
●「お母さんはあなたが危ない目にあうのは嫌だから、約束守ってくれるとうれしいよ」
「私は…」から始まる言葉を伝る“Iメッセージ”
門限どおりに帰ってこなかったり、子どもだけで行ってはいけないと教えていた繁華街に遊びに行ってしまったり。子どもが危険な目にあうかもしれないと心配したぶん、親としては冷静ではいられず、子どもを前に激高してしまいそうなシチュエーションです。
こういうときの声かけのポイントは、「あなたは…」と子どもを主語にせず、「私は…」から始める言葉を使って、心配したんだよ、という気持ちを伝えることです。
これは、自分の気持ちを相手に伝える「Iメッセージ」という方法です。Iメッセージとは「私は〜と感じている」「私は〜してほしいです」といったかたちで、「私」を主語として自分の思いを伝える表現方法。
「あなたは〜です」といったように、主語が「あなた」になる「Youメッセージ」を使うと、相手を責めたり、非難したり、行動を変えさせたいという指示をする言い方になりがちです。
親御さんたちが本当に子どもへ伝えたいことは、「危険な目にあっていないか心配した」「あなたは自分にとって何よりも大切な存在」「暗くなるまで出かけたり、犯罪に巻き込まれやすい場所へ出かけたりしてほしくない」ということのはずです。
自分がどう感じたのか、どうしてほしいのかを冷静に伝る
相手の言動によって、自分がどう感じたのか、相手に何を理解してほしいのかを率直に伝える効果があり、本当に子どもに伝えたいことが届きやすくなります。
子どもの言動を責めるのではなく、子どもの言動によって自分がどう感じたのか、どうしてほしいのかを冷静に伝えましょう。
子どもがうそをついたときも「うそをついてはダメ!」「あなたはうそつきで悪い子」と言うより、「本当のことを言ってくれなくて悲しかった」「信頼ダウンしちゃったな」と伝えるほうが、子どもが自ら考え、行動を改める傾向にあります。
ポイントは「Iメッセージ」で伝えること、そして、その子自身の性格や存在を否定するのではなく、行動が与えた影響について話をすることです。
表情やボディーランゲージなどコミュニケーションも大切
もちろん、言語的な表現方法以外に、表情やボディーランゲージなどの「非言語表現」も重要なコミュニケーションの方法です。
そのため、親がネガティブな感情に圧倒されたまま子どもに何かを伝えようとすると、たとえIメッセージで伝えようとしても、態度や声のトーンに怒りなどの気持ちが出てしまい、相手に言いたいことが伝わりにくくなることがあります。
人は言葉そのものよりも、表情や態度からのメッセージを受けとりやすいのです。怒りの感情でいっぱいのときは、まずは気持ちを落ち着かせてから口火を切りましょう。
一貫性があることは信頼につながります。言葉と態度が一貫していること、そして昨日と今日と言うことが一致していることで、より相手に伝わりやすくなります。
逆境に負けない力を育てる『子どもの心を強くする すごい声かけ』
『子どもの心を強くする すごい声かけ』1,540円(主婦の友社)
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