子どもがネガティブな言葉を発したとき、親はどんな「声かけ」をすればいいのでしょうか?困難に負けない子どもに育てるための声かけの具体的ポイントを、日本ポジティブ教育協会代表理事の足立啓美さんが監修する書籍『子どもの心を強くする すごい声かけ』からご紹介します。
部屋を散らかしてばかりで片づけができていないとき
【NGな声かけ】●「なんでできてないの!」
●「今すぐ片づけなさい!」
【OKな声かけ】●「あれ、靴下が落ちているよ」
●「脱いだ上着はどこにかけるんだったっけ?」
●「部屋がきれいだと、みんな気持ちいいよね!」
命令じゃなくて、約束を思い出させる
何度注意しても、なかなか片づけができないお子さんに悩まされている親御さんは多いことでしょう。つい頭に血が上って「何回言ったらわかるの!」「今すぐ片づけなさい!」といった言葉をぶつけてしまう気持ちもわかりますが、こうした感情的な言動はよい解決法とはいえません。
家庭でのルールを子どもが理解していれば、「靴下が落ちてるよー」「脱ぎっぱなしになってるね」といった状況描写をするような声かけをするだけで、「あ、そうだった!」と気がつくことがよくあります。
それでも気がつかないときは、「〜しなさい」と命令するのではなく、「どうする約束だったっけ?」と、ルールを理解しているかの再確認を行ってみましょう。
4つに分類される「子育てスタイル」を参考に
大人が社会のルールやマナーを示し、それらをきちんと守るという感覚を身につけさせることも、サポートする大人の重要な役目です。
子どもへ社会的なセンスを身につけさせるために親がどう働きかければよいのか、参考になるのが「子育てスタイル」です。親が子どもの育成に対してどういう対応をとるかの「子育てスタイル」は、主に次の4つに分類されるといわれています。
①民主型子どもの能力や感情面を最もすこやかに育てることができる育児スタイル。日々の生活の中で、子どもたちの気持ちや考えを十分に尊重しながら、ルールの理由を示し、必要な制限も設定。ルールを決めるときには子どもと一緒に話し合い、ルールを破ったらどうなるかを伝える。罰するのではなく、教えるタイプ。
②権威主義型厳しくて温かさがない。理由は伝えずにルールだけを押しつけて子どもを従わせる。従わなければ罰を与える。一見順応なよい子になるが、自分で考えられなくなったり、他者をコントロールしようとしたりするようになる。
③消極・受け身型温かく受け入れるが、厳しさはない。子どもの感情やニーズを受け止めるが子どもの気持ちが優先で、制限を設けない。
④無関心型子どもの気持ちに関心を寄せず、制限やルールも設けない。いちばん問題行動につながるタイプ。
「権威主義型」や「無関心型」は、子どもが感情的・社会的な困難を抱えることが報告されています。
また、「消極・受け身型」はよい影響があることもありますが、子どもが何かを成し遂げることに関してマイナスの影響が出ることもわかっています。
大人の一方的なルールの押し付けはNG
重要なのは、子どもの気持ちや思いを尊重することと、規則を守らせることのバランスともいえるでしょう。
大人が一方的にルールを押しつけたり、ルールを守れないときに罰したりするのではなく、「ルールがなぜ必要なのか?」について丁寧に教えてあげてください。
子どもとルールを一緒につくったり、見直す作業をしたりすることも、子どもに家族の一員としての責任感を芽生えさせるよい方法になります。
逆境に負けない力を育てる『子どもの心を強くする すごい声かけ』
『子どもの心を強くする すごい声かけ』1,540円(主婦の友社)
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