子どもがネガティブな言葉を発したとき、親はどんな「声かけ」をすればいいのでしょうか?困難に負けない子どもに育てるための声かけの具体的ポイントを、日本ポジティブ教育協会代表理事の足立啓美さんが監修する書籍『子どもの心を強くする すごい声かけ』からご紹介します。
自分にはいいところがない、必要とされていない…と自信を失っているとき
【NGな声かけ】●「英語のテストでは、いつも一番じゃない!」
●「じゃあ、〇〇ができるように努力しようよ」
【OKな声かけ】●「ママはこの前、〇〇ちゃんがとてもやさしいなと思ったよ」
●「〇〇くんは約束を破ったことがないよね。それはすごいことだよ」
ネガティブ感情感情を否定せず、まるごと受け止める
自分に自信が持てない。誰からも必要とされていないような気がする…。そんなふうに、自分自身には何もいいところがないと感じることがあります。
現代はSNSの影響もあり、他者と比較したり、誰かのすてきな出来事を毎日見たりすることで、落ち込んでしまう子も多くいます。ふだんは平気でも、自分の気持ちが安定しないとき、不安なことがあるときは、そんな思いにとらわれがちです。
親はそんな様子を子どもに見たときには、「そんなことないよ!」「あなたにはすてきなところがたくさんあるよ!」と強く否定したくなりますが、それは少し待ってください。
子どもがネガティブ感情を抱いたときの大原則は、その感情を否定することなく、まるごと受け止めてあげることです。まずは、「自分にはいいところがないと感じているんだね」と、子どもの考えや気持ち、物事の見方を受け止めましょう。
そうすることで、子どもは「自分の感じることや考えることに対して否定されることはないんだ」という安心感を持つことができます。ありのままの自分を肯定してもらえたと感じることができるのです。
そのうえで、親御さんが感じているすてきなところを伝えることで、子ども自身が自分のよさに気がつけるように手助けしていくとよいでしょう。
その子の「性格的な強み」に注目してほめる声かけを
具体的には、その子の性格的なよいところ=性格的な強みを、できるだけ詳しく言葉にして伝えていくことです。自分の強みに気がつくことで、子どもの中に自己肯定感が育ちます。
伝えるときには、「この前、迷子の子を助けてあげようとして、とてもやさしいな、と思ったよ。〇〇ちゃんのやさしい気持ちが迷子の子を元気にしたよね」などと、強みを発揮した具体的な場面を指摘すると、より効果があります。
ここで大切なポイントが、ほめるところを性格の強みにしぼることです。スキルや能力などに関する強みは、時代に合わなくなったときや、もっとうまくできる子がいたときに「やっぱり私にはいいところがない」と落ち込んでしまう原因になりかねません。
それに対して、性格的な強みは誰からも奪われることがない、時代にも左右されない、自分だけが持つ強みです。
自分を肯定できない子には、話を聞き受けて止めてあげるだけでOK
何かができるからほめるのではなく、子ども自身が持つ性格的な強みこそが、その子らしさをあらわし、とてもすてきで価値あることだと伝えていきましょう。
ときには、子どもの強みを伝えているのに、一向に自分を肯定できない子もいます。その場合は、まずは、ただ話を聞いて受け止めてあげるだけに留めます。
その子の話を聞くことは、ありのままを受け止めることになります。自分を肯定する気持ちが湧き、徐々に話を受け入れる準備ができてくることも多くあります。
逆境に負けない力を育てる『子どもの心を強くする すごい声かけ』
『子どもの心を強くする すごい声かけ』1,540円(主婦の友社)
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