帰国子女でもなく、海外留学の経験もなく、塾にも通わずに地方の県立高校からハーバード大学に現役合格したバイオリニスト・廣津留すみれさん。そんな彼女を育てた母・真理さんの英語教育法がいま「ひろつるメソッド」として話題になっています。
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娘が公立高校→ハーバード大学に現役合格!ひろつる式“おうちでバイリンガル”の育て方とは?今回は、書籍『おうちでほぼバイリンガル』より、脳に英語をインプットする音読法をご紹介します!
子どもに「書きとり」は不要。「読む」から始めるのがベスト
すみれには、1歳から英語絵本の読み聞かせをしました。ただ読むだけではなく、文字を指でなぞりながらの「なぞり読み」を続けていると、娘もまねをして自分から文章を声に出して読むようになりました。
このときも、決して「さあ、すみれちゃんも読んで」とか「まちがったからもう一度」などと押しつけたりはしませんでした。私が楽しそうになぞり読みをしていたら、まねをして読み始めたのです。それが遊び感覚で日常のひとこまとして、当たり前のようになっていきました。
3歳になると、16ページ以上ある英語の絵本を私に読み聞かせしてくれるようになり、そのときから私は読み聞かせをしてもらう側になりました。
英語の文章を覚えるためには、見て聞いて暗記する方法が一番です。子どもはすごい力を持っています。その力を大人が「子どもだから」と低く見積もってはいけません。
実際に、娘だけでなく、私が英語を教えている子どもたちも、スポンジに水を吸わせるようにどんどん英語を覚えていっています。
英語環境にない日本では、「読む、聞く、話す、書く」の4技能のうち、「読む」がいちばん手をつけやすく、伸ばしやすいところです。読めた!と達成感を伴うため、子どものやる気も続きます。
小さい子には「書きとり」は不要です。なぜなら、ABCの形をまねて書くこと自体がむずかしいですし、一つの単語を書き終えるまで、とても時間がかかります。
筆記具を扱い慣れないうちは筆圧が弱く、文字を書くことに疲れてしまうでしょう。書くことは時間のむだと考えて、英語を「読めるようになること(リーディング)」を最初に始めています。
リーディングはなぞり読みでマスター
英語の絵本やカードの文章をなぞり読みして見せると、娘はすぐにまねをして同じようになぞりながら読むようになりました。そういうふうにするものだと思ったのでしょうか、あるいは、なぞりながら読むのが楽しそうだと思ったのかもしれません。
絵本の文字はたいてい小さいので、子どもが自分でなぞり読みをするときは、文章を拡大コピーするか、紙に大きく書いてあげました。大きくすることで、文字の形がはっきりわかるようになります。
もう一つ、子どもがなぞり読みするように仕向けることも大事なこと。音源を用意して、聞こえてくる文章を親が声を出してなぞり読みして見せると、子どももまねてやり始めるでしょう。
〝Show, don’t tell.〞です。「〜しなさい」と説明せずに、やってみせるのがいちばんです。
大きな声で音読すると文章をまる暗記できる
音読するときに、私が「大きな声」にこだわるのには理由があります。大きな声を出すことで、「自分で発音した英語を、自分の耳でしっかり聞くことができる」からです。
さらに、音声を聞きながらの音読には、「音声の英語を聞く」「自分で大きな声を出して言う」「自分が出した声が聞こえる」と、一度で3回の英語をとり込むことができるメリットがあります。一度のなぞり読み音読で、脳に英語をしっかりとインプットができるのです。
文章の中の知らない単語や意味をいちいち教える必要はありません。センテンスや文章をまる暗記すると、「この場合、こんなふうに続ける」などと文章例や法則が自然と頭に入ってきますので、効率よく英語を覚えることができます。
たとえば、英検の穴埋め問題は、短い文章内の単語を伏せて、そこに入る単語を選択する問題ですが、いちいち日本語に訳してから選択するよりも、文章をまる暗記しておくと、そこに何が入るのかすぐに選択できるようになります。
また、文章のだいたいの意味がわかるためには、単語力が重要です。娘は、なぞり読みで文章をまる暗記するとともに、単語もどんどん覚えていきました。
同じ母音のグループの単語の暗記がある程度進んだら、英検5級、4級用の単語集がおすすめです。文字が小さいので、大きく見やすいカードにしてあげると集中しやすくなります。
繰り返してお伝えしたいのは、親はサポートするだけだということです。落ち着いてとり組める家庭環境を整え、必要なものを準備して、やる気を起こさせ、飽きる前にやめること。親は見守るだけでいいのです。
まとめ
● 大きな声でなぞり読み(音読)をする
● 日本語訳はだいたいわかればいい
● 押しつけたり、しかったりしない
娘のすみれさんにも質問しました!
Q.英語学習でつらかったことは?
A.大学受験用の単語を短期間で覚えたとき単語の暗記は小さいころからやっていたので、慣れていたつもりでしたが、高校2年でハーバードの受験を決めてから、SAT(アメリカの大学入試)の勉強をし、日本で習っていた世界史・数学・化学などの用語をごく短期間のうちに英語で覚え直さなければならないときは、さすがに苦労しました。
Q.英語ができてよかったことは?
A.世界中に友人がいて、対等に仕事ができる英語が話せることで、世界中に友人がたくさんできました。海外のどこの国に行っても友人がいる(&つくれる)ことは楽しいですね。また、SNSやブログで、国籍やバックグラウンドに関係なく情報が発信できます。それと、海外でもなめられることなく、仕事ができることも大きいです(笑)。
Q.今後、英語力をどう生かしたい?
A.英語+αのスキルを磨き続けたい英語力よりも、英語を使ってコミュニケーションする相手の多様性や文化を尊重できるマインドセットが大事な世の中だと思います。世界を舞台に戦う人は常に相手の立場でものを考えることが求められるので、言葉選びも慎重になりますし、その人のバックグラウンドを理解したうえで話すことが重要です。
英語ができれば「はい、OK」とはいきません。ニューヨークで仕事をしながら、いろいろなカルチャーにふれ、その英語+αのスキルをまだまだ磨き続けたいと思います。
Q.幼児~小学生に アドバイスを!
A.英語は人生をおもしろくするツールの一つ!英語を通して知ることができる世界はワクワクするものが詰まっているので、英語を「勉強」すると思わずに、人生をおもしろくするツールをふやすと思って楽しんで身につけてほしいです。
また、ご両親には、英語でしか吸収できないものを少しずつ子どもに見せてみること(洋画、海外ニュース、YouTube、外国人と会う、海外のスポーツゲームなど)をおすすめします。
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【2~3歳児向け】ひろつる式・バイリンガルに育てるための「英語絵本」活用術とは?
廣津留真理さんMari Hirotsuru ●ひろつる式ディリーゴ ブルーマーブル英語教室代表、一般社団法人Summer in JAPAN(SIJ)代表理事・CEO、株式会社ディリーゴ代表取締役。大分県在住。早稲田大学卒。高いレベルの英語教育を最初から行う「ひろつるメソッド®」により、多数の生徒を英検1級・準1級合格に導く。ハーバード大生が講師のサマースクールを2013年より開催。著書に『ひろつるメソッド 子ども英語 Don Don English! 英検5 級対応 CD つき』(主婦の友社)など。『おうちでほぼバイリンガルの育て方』(Kindle版 1,287円 単行本 1,178円/主婦の友社/2019年12月刊)
日本でバイリンガルを育てた親4人の英語子育てを紹介。何から始めたらいいのかわからない人、英語が苦手な人…どんな人でもトライしやすいメソッドがたくさんです!