男の子の赤ちゃんを抱っこした時に、「骨格がしっかりしていて筋肉質」「ふわふわした女の子に比べると、ムチッとした強い弾力がある」などと感じたことはありませんか?よくそんな話を耳にしますが、実は6才ごろまでの体の成長は男女ともほぼ同じ。出生時の体重、身長、髪の量などは、性差よりも個人差が大きいのだそうです。
では、病気のなりやすさはどうでしょう?「男の子は女の子に比べると体が弱い」と、昔からよく言われますが、実際は?長年にわたり、多くの乳幼児を見てきた小児科医の渡辺とよ子先生にうかがいました。
生まれる赤ちゃんの数は男の子のほうが多い
まずは、出生数と平均寿命についての、厚生労働省のデータを見てみましょう。男女で差はあるのでしょうか?
※厚生労働省 人口動態調査より
出生数男女比
2016年➡女100人:男105.63人
1911年➡女100人:男104.00人
平均寿命
2016年➡女87.14歳 男80.98歳
100 年前も少子化が進んでいる現代も、新生児の男女比は男の子のほうが多め。昔は未熟児や感染症などで亡くなる子が多く、その率は男の子のほうが高かったのは事実です。体の弱い男の子は子どものうちに死亡し、成人したときにはほぼ男女同数になるという説がありますが、医療の進んだ現代では、あまり意味のない差になっています。
とはいえ平均寿命は女性のほうが長いので、やはり女性のほうがたくましいのかも!?
病院の受診、入院なども男の子が多め
厚生労働省のデータによれば、乳幼児期に病院を受診する・入院する人数や、死亡する乳児の数は男の子のほうが高めなのは事実。
「病院にかかったり入院したりする数が多いのは、男の子のほうが体が弱いから」と思いがちですが、データの内容をくわしく見ると、0~9才までの男の子の死亡原因としてとても多いのは、不慮の事故や交通事故です。男の子は体が弱いというよりも、活発で目が離せない存在といえそうです。
男の子に多い病気、女の子に多い病気
一方で、男の子に多い病気もありますが、その逆で女の子に多い病気もあります。
●アトピー性皮膚炎乳児期は男児に多いものの、3才では男女ほぼ同数になります。小学校の健診での有病率は男女比ほぼ同数。年齢が上がるにつれ、アトピー性皮膚炎の子は減っていきます。
●気管支ぜんそく男子、女子のいずれに多いかは年代で異なります。乳児〜小児期は男子により多く、思春期から生殖年齢になると女子により多くなります。以降はその傾向が続きます。
●肥厚性幽門狭窄症胃の出口である幽門の筋肉が厚くなる病気。生後2~3週間から見られ、噴水のような嘔吐が続きます。4~5対1の割合で、男児に多く見られます。
●股関節脱臼骨盤の形や関節のゆるさに男女差があるため、男子よりも女子に多い病気。逆子で生まれたり、家族歴があったりするとハイリスク。抱き方やおむつの当て方で予防できます。
上記のように発生頻度に男女差がある病気もありますが、男でも女でも、赤ちゃんのうちは特によく病気をするものです。熱を出すたびに「やっぱり男の子だから弱いんだわ」と思う必要はないことを知っておいて。
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