小学校での英語の教科化、外国人旅行者の増加...。英語熱が高まる日本ですが、幼児期からの英語教育は本当に必要なのでしょうか?発達脳科学者の成田奈緒子先生に話を聞きました。
「人間が好き」「自分が好き」それが真の国際人
昨今、英語の早期教育がとても盛んになってきました。乳幼児期に英語を学ばせることで、英語に親しみ、耳が鍛えられ、グローバル社会で生きやすくなるのではないか…そんなふうに考える方が多いのでしょう。
英語の早期教育で英語力が高まるかどうかは、専門家の間でも意見が分かれるところです。私は、早期の英語教育をしたとしても「グローバル社会で堂々と生きられる人」になるとは限らないと思っています。
私は、アメリカに4年間滞在して研究員の仕事をした経験があります。現地で働く“国際人”たちを見て思ったことは、「本当にグローバルな人かどうかは、語学力でははかれない」ということです。
もちろん英語がペラペラな人はたくさんいますが、彼らは、【人間が大好きであること】【論理的思考力があること】の2つです。
国際社会で生きるためには、さまざまな人種、さまざまな宗教を持つ人たちと対等に渡り合わなくてはいけません。思いを論理的に伝えるには、考えをまとめ、整理する力が必要です。
グローバル社会で生きるには「健やかな脳育て」が大事!
狭い価値観を持たず、違いを認め合い、「人間が好き」と思えないと、国際社会で生きるのは難しいでしょう。そしてさらに、「文化の違いがあっても、私の思いはきっと伝わる」という自己肯定感が必要なのです。
自己肯定感や論理性の源は、「こころの脳」にあります。「からだの脳」「おりこうさん脳」がすくすく育ったその先にあるものです。
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本気で英語が必要と思えば、必ず話せるようになる
私自身、本格的に英語を習ったのは中学生になってからです。中学時代は英語が得意とはいえませんでしたが、高校生になってアメリカのドラマが大好きになり、くり返し見ているうちに英語がどんどん得意になりました。
その後、大学で医学を学ぶうえで英語は絶対に必要だと思い、短期留学して英語力を身につけ、不自由なく会話できるようになりました。
英語力というものは、「本当に英語を話したい」「必要だ」と思ったときに身につくものです。何歳で始めても遅いということはありません。
まずは「からだの脳」をしっかり育てて、そのうえで「私も英語が好きだし、子どもと一緒に勉強したい」と思うなら、英語を習うのもいいと思います。成果を期待しすぎず、楽しんで勉強してくださいね。
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