妊娠中は、おなかの赤ちゃんのためにも栄養をとりたいのに、初期はつわりで味覚が変化したり、中・後期は大きくなる子宮が胃を圧迫して食べられなかったり、逆に食欲が爆発して体重管理がむずかしくなったり……食事の悩みが尽きません。
Baby-moに寄せられた妊婦さんの食事の困りごとに、予防医療・栄養コンサルタントの細川モモさんが答えます。
Q.食欲が爆発!ヘルシーなものを知りたい
食べても空腹感が満たされず、間食がふえてしまい体重が増加。ヘルシーで満腹感のある食べ物はありませんか?(Mさん・妊娠8ヶ月)
A.食事で満腹感を高めましょう。セロトニン不足を解消して!
食事で過食を抑制するセロトニンが不足すると、満腹感が得られずに物足りなさがつのり、甘いものに依存しがち。セロトニンの分泌をふやすには、「3食を(ごはんも)しっかり食べる」「朝日を浴びる」「ウオーキングなどのリズム運動を20~30分する」などが効果的です。おやつでおすすめは、カカオ70%以上の高カカオチョコレート。低GIで妊娠中に不足しがちな栄養がとれます。
Q.赤ちゃんの小麦アレルギーが心配
パンやめんばかり食べてしまいます。生まれてくる子が小麦アレルギーにならないか心配です(Aさん・妊娠6ヶ月)
A.アレルギーよりも、血糖値や体重の増加、栄養失調が心配
妊娠中の食事と、赤ちゃんの「食物アレルギー」発症には相関関係はないといわれています。むしろ、パンやめんばかり食べていると、血糖値の急上昇、体重のふえすぎが心配。後期の血液検査で、血糖値がひっかかる人は多いです。また、炭水化物過多では、たんぱく質不足で赤ちゃんの体重が思うようにふえない、鉄不足で貧血になる、などのリスクも。栄養バランスよく食べることが大事ですよ!
Q.妊娠中の添加物、どこまで気にする?
添加物はどこまで気にすればいいのかわかりません。調味料まで気をつけるべき?(Yさん・妊娠5ヶ月)
A.「栄養素の不足」のほうが、胎児への影響は大きいです
妊娠中に人工甘味料をとりすぎると、胎盤に影響が出やすいという報告はありますが、添加物より、お母さんの栄養失調のほうが、赤ちゃんに与える影響は大きいことがわかっています。妊娠初期の葉酸不足で先天性異常、ビタミンD不足でくる病、鉄不足で離乳期貧血など。成長に大切な栄養素を不足させないよう、目を向けてくださいね。
Q.魚が食べられないと、DHAがとれないの?
妊娠してから味覚が変わってしまい、大好きだった魚が食べられなくなりショック!魚からの栄養素はどうやって補えばいい?(Rさん・妊娠6ヶ月)
A.後期にDHAは必須!魚が無理ならサプリメントを
妊娠20週から赤ちゃんの脳内でDHAの需要が右肩上がりに増していき、食事からのDHA摂取が大事になります。DHAは体内で勝手にはつくられず、食べた量だけ血中濃度が上がるので、後期はぜひ魚を食べてほしいです。どうしても無理なら、サプリメントでとることをおすすめします。また、くるみや亜麻仁油に含まれる「α-リノレン酸」は体内で一部がDHA・EPAに変換されるため、これらもとり入れてみて。
Q.つわりのとき、栄養は足りている?
妊娠中期ですが、まだつわり中。ちゃんと栄養が足りているか心配です(Mさん・妊娠6ヶ月)
A.今は食べられるものを工夫して、後期からしっかり栄養補給を
つわり中は酸味をきかせてさっぱりさせるなどして、食べられるものを摂取するしかありません。つわりがおさまって、いざ赤ちゃんの脳が大きくなるぞ!というタイミング(後期)で、栄養をしっかりとりましょう。サプリメントは、栄養素によってはとり始めてから血中濃度が上がって安定するまでに1~2カ月かかるので、早めに飲んでおくのもひとつの方法。つわり終了後の食欲大暴走にも気をつけて!
こちらの本も要チェック!
主婦の友社
妊娠中の食事
¥1,408
監修:細川モモ 、宇野薫
ページ数: 176
妊娠中に食べて良い食材と、避けたい食材がひと目でわかるレシピブック。おいしい安産レシピは充実の263種類を掲載。切り取って使える食材シートも付いています。食生活を見直すことで、妊娠中のママと赤ちゃんが健やかに安心して過ごすことができます。おいしくて身体に良いレシピで、妊娠中から食育に取り組んでみましょう。知っておきたい食べ方の最新情報にも注目です。
『Baby-mo2024年 春 出産準備号』の内容をウェブ掲載のため再編集しています。※情報は掲載時のものです