この記事では、赤ちゃんの首にできた湿疹についてまとめました。赤ちゃんの首のあたりがなんとなく臭い……。そんな経験をしたことはないでしょうか。赤ちゃんの首はしわがいくつもできているため、どうしても肌トラブルが起きやすい箇所です。首が赤くなっていたり、ジュクジュクしていたり、臭う原因や対処法をまとめました。
乳児の首にできた湿疹とは
実は、赤ちゃんの首に顔を近づけてみると、ほとんどの赤ちゃんが臭うといっていいでしょう。
赤ちゃんの首が臭いのは、顔と肩の間に首が埋もれていたり、しわができていて、汚れがたまるためです。そのままにしておくと雑菌が繁殖して臭いのもとになります。それだけでなく、汚れが刺激になって皮膚が炎症を起こし、赤くなる、ブツブツができる、ジュクジュクするなどのトラブルになることも少なくありません。ジュクジュクしている場合は、臭いも強くなります。
こうした肌トラブルの正体は、乳児湿疹やあせもです。乳児湿疹は、赤ちゃんにできる湿疹の総称。生後2~3ヶ月ごろまでの皮脂の分泌量が盛んなことでできる「脂漏性湿疹」や「新生児ニキビ」、生後3ヶ月以降には皮脂量が少なくなり、乾燥して起きるものが一般的ですが、首の赤みやブツブツ、ジュクジュクも、乳児湿疹の一種と考えてかまいません。
首から胸にかけてびっしりとできたあせも。しわの中は特に悪化しやすくなっています。
首に痛々しい傷が。かゆくてひっかいてしまいました。
乳児の首にできた湿疹の原因は?
赤ちゃんの首にたまる汚れには、いくつか種類があります。乳児湿疹の場合は授乳や食事、よだれなどによる汚れ、あせもの場合はズバリ、汗が原因となります。
母乳・ミルクや離乳食
大人は飲んだり、食べたりするときにこぼすことはほとんどありませんが、赤ちゃんはまだうまく飲み込むことができません。そのため、口からこぼれた母乳やミルク、離乳食などが口の周りにつくのはもちろん、首に流れてしわの間に入り込んでしまうのです。こぼしたときにすぐに拭きとってあげても、成分が残っていることもあります。
赤ちゃんの皮膚は大人の半分ほどの厚みしかなく、皮膚の一番外側にある角層も薄いため、外からの刺激に弱い(皮膚のバリア機能が未熟)という特徴があります。飲み物や食べ物の汚れが首のしわに入り込むと、刺激となってその部分のバリア機能が低下し、炎症を起こしてしまいます。
口からあふれたミルクが首に流れてしまうことも。
離乳食をこぼしたものが首につくことも、刺激になります。
よだれ
赤ちゃんは、離乳食が始まる5~6ヶ月ごろになると唾液の量が増えます。しかし、飲み込むことがうまくできないため、よだれとなって外に流れ出てしまいます。
ねんねのときによだれが出ることも多いものです。布団に寝ているとき以外に、ベビーカーでお出かけしたときや抱っこで寝かしつけているときなどにも、よだれが出ることがあります。
こうした場合も母乳やミルク、離乳食と同様、首のしわに入り込んで刺激となり、炎症が起こります。
大好きな食べ物を前にすると、よだれがダラダラになることも多いもの。
汗
赤ちゃんは汗っかきです。それは、体は大人よりも小さいのに、皮膚にある汗の出る穴・汗腺の数が大人と同じため。
汗をたくさんかくと皮膚がふやけて、汗腺がふさがれてしまいます。すると、汗が皮膚の内側にたまり、尿酸やアンモニアなどの汗に含まれる成分が刺激となって、あせもができます。
首から背中にかけてできたあせも。
「乳児の首にできた湿疹」先輩ママの体験談
首のしわの中が赤くブツブツに
大きめでムチムチしているわが子。首にしわができて汚れがたまるので、お風呂で開いて洗うようにしていました。生後4ヶ月ごろの入浴時、その部分が赤くなり、ブツブツもできていることを発見。上の子が乳児湿疹でほほがジュクジュクになった経験から、日ごろから保湿剤を使っていたのですが、2~3日してもよくならなかったため、小児科を受診しました。
弱めのステロイド剤に保湿剤を配合した薬を処方してもらい、1日2回使用したところ、3日ぐらいで良くなりました。その後は、朝起きて着替えるときに首をふいたり、入浴時にも特に汚れが残らないよう気をつけていたら、湿疹は出なくなりました。(9ヶ月の男の子のママ)
症状がひどいためステロイド剤で治療
生後1~2ヶ月ごろ、首のしわを中心にして全体的に赤くなりました。様子を見ていましたが、ちょっとジュクジュクもしてきたため、2週間後ぐらいに皮膚科を受診。ローションタイプのスキンケア剤と、「ひどいときだけ使って」とステロイド剤が処方されました。
「涙やよだれ、母乳などがつくのもよくないので、ふくように」というアドバイスもあり、それ以後は朝起きたときや授乳のときなどに顔や首をふくようにしました。しばらくはよくなってステロイドをやめるとまたぶり返し……を繰り返していましたが、指示どおりに使っていたらひどくなることはなく、生後4ヶ月ごろに落ち着きました。(1歳の男の子のママ)
乳児の首にできた湿疹の対処法
ホームケアのポイントは3つ
乳児湿疹ができたときに家庭でできる対処法は、以下の3点です。赤ちゃんの首が赤くなっていたり、ポツポツができている場合も、この3つを守ることが基本になります。
また、このポイントを守ることで、首にできた肌トラブルを予防することもできます。改善したあとも、徹底するようにしましょう。
①皮膚を清潔にする
皮膚に汚れが残っていると、刺激となってトラブルが発生してしまいます。入浴することはもちろんですが、こまめに汚れをふいてあげることも効果的です。
・入浴時皮膚が赤くなっていたりすると、「しみるかも?」と思ってためらうかもしれませんが、お湯だけでは汚れは落とせません。1日1回は入浴して、首回りをはじめ体の汚れを洗い流しましょう。
1日1回は必ず入浴して汚れを落としましょう。首のしわの中は特に念入りに。
体を洗うときは、まず石けんやボディソープを手のひらでよく泡立てます。1歳未満の赤ちゃんは指の腹を使って、皮膚に刺激を与えないようにやさしく洗いましょう。1歳以降になったらやわらかい綿のタオルなどを使って洗ってもOKです。
フワフワになるまで、手でよく泡立ててから洗い始めます。
泡立てた石けんで、指の腹や手のひら全体を使って、やさしく洗います。
首はしわを広げて、爪を立てないように気をつけながら、中までていねいに洗います。洗ったあとは、しっかり石けん成分を洗い流してください。残っていると、それも皮膚への刺激になってしまいます。
体を洗ったら、石けん成分が残らないように、シャワーなどでよく洗い流してあげて。
・入浴時以外授乳や離乳食、ねんねのあとに口回りを清潔にするときに、首もきれいにしてあげます。刺激になるのでゴシゴシふかず、しわを広げて、そっと汚れをふきとってください。
ガーゼは意外と肌当たりが強く、デリケートな赤ちゃんの皮膚に刺激を与えるので、やわらかいぬれタオルで押すようにふきましょう。
②保湿する
石けんで洗ってきれいに流したり汚れをふきとったりした皮膚は、清潔になりますが、同時に皮膚を保護する皮脂も洗い流してしまい、外からの刺激に弱い状態になっています。皮脂は皮膚の内側にある水分が蒸発するのを防ぐ役割もしているため、乾燥しやすい状態でもあります。
そのため、体を清潔にしたあとは、必ず保湿をすることが欠かせません。
・保湿剤
ベビー用のローションやクリームなど、添加物が入っていない、または少ないものを選びます。赤ちゃんの肌に合わない場合は、すぐに別の保湿剤に替えましょう。
首につける保湿剤は顔用か体用か、悩むママやパパがいるかもしれませんが、体と同じ保湿剤を使ってかまいません。保湿用に作られていない食用のオリーブオイルやココナッツオイルなどは、肌に刺激を与えることがあるため、使わないようにしてください。
大人用の保湿剤は赤ちゃんには刺激が強いので、ベビー用のものを用意しましょう。
・保湿剤を塗るタイミング
肌を外からの刺激や乾燥から守るため、入浴後や汚れを拭きとったあと5~10分以内を目安に塗りましょう。
・保湿剤の量と塗り方保湿剤を手のひらに1円玉(直径2㎝ぐらい)の大きさに出し、大人の手のひら2枚分の範囲に塗り広げます。例えば、生後3ヶ月の赤ちゃんの場合は、大人の手のひら2枚分で首の下からおなかまでをカバーできます。
石けんで洗うときと同じように、首のしわを広げて、指の腹で保湿剤をそっと塗っていきましょう。
保湿剤を手のひらに1円玉大(直径約2㎝)出し、薄く塗り広げていきます。
生後3ヶ月の赤ちゃんの場合、手のひら2枚分は上半身全体ぐらいのイメージ。
③常に低刺激を心がける
赤ちゃんの皮膚はバリア機能が未熟なので、肌トラブルを改善したり、予防するためには、できるだけ刺激を与えないようにすることが大切です。
・洗い方入浴時には石けんやボディシャンプーをよく泡立てて、その泡で汚れを包み取るようなイメージで洗います。赤ちゃんの肌を傷つけないように、ママやパパは爪を短く切り、爪を立てずに指の腹を使って洗ってください。1歳を過ぎたら、やわらかい綿のタオルなどを使っても大丈夫です。
タオルを使う場合も、石けんはよく泡立ててから。
・ふき方
入浴後に体をふいたり、授乳や離乳食、ねんねのあとに顔回りをふいたりするときも、ゴシゴシこすってはいけません。やわらかいタオルで押すようにしてふき取ってあげましょう。
・洗う&ふくときに使う生地と素材
赤ちゃんのために用意するものとして、ガーゼのハンカチが挙げられていることがあります。でも、ガーゼは綿の生地に比べると織が粗く、生地表面をなめらかにする加工もされていないため、吸水性はいいのですが、赤ちゃんの皮膚に刺激になることがあります。
その点、ループ状の糸が連続して作られているタオル地は、肌に触れてもやわらかいので、赤ちゃんの皮膚を傷つけることがありません。ループ状になっていることで吸水性にもすぐれています。素材は綿100%のものを選びましょう。
やわらかいタオルで押すように水分をふきとります。入浴後だけでなく、食事やねんねのあとに顔回りをふくときなども、同様です。
新生児に必要なものとして挙げられることが多いガーゼですが、意外に刺激が強いので、タオルがおすすめです。
衣服の素材やデザインの選び方
赤ちゃんの肌に直接触れる肌着は、綿100%のものを選びます。赤ちゃんの肌着は、刺激にならないように縫い目が外につくられているので、必ず肌着を着せてから衣服を着せるようにしましょう。
首は肌トラブルが起きやすい箇所のため、できるだけ首回りが開いた衣服を着せることも心がけてください。ポロシャツなど衿のあるものやハイネック、タートルネックなど首をおおうようなものは避け、Tシャツのようなデザインを選んで。
首に湿疹ができたときは、首回りが開いた、通気性がよい衣服を選びましょう。
また、冬はセーターやカーディガンなどの素材の種類にも注意が必要です。「アンゴラ」や「モヘア」のようにけば立っているものは、刺激になってかゆくなることがあります。