いい子だから、かわいがるのではありません。かわいがるから、いい子になるのです。子どもを幸せにするのなんてとても簡単なことですよ。親が笑顔ならそれだけで子どもは幸せなのです。自分が親を幸せにしたと思って自信たっぷりに育っていくのです。いずれも、2017年に逝去された児童精神科医、佐々木正美先生の言葉です。子どもの数は減少の一途をたどり、虐待のニュースが途切れることのない今日だからこそ、もっと多くの人に佐々木先生のメッセージを伝え続けたい。そのように、Baby-mo子育て班は思います。『この子はこの子のままでいいと思える本』より一部抜粋してお届けします。
子どもに寄り添うということ、「待つ」ということ
何かを育てることのじょうずな人は、待つ力のある人です。そして「待つ」ということは、「信じる」ということと同じ意味です。
子どもというのは、土にまみれた球根のようなものです。どんな花が咲くのかはわからない。けれどきっと美しい花が咲くに違いない。それがいつかはわからなくても、きっとそうなると信じて、水をやり、ときには肥料を少し与え、日に当てて、大輪の花か小さくて清らかな花かと想像しながら、「きっと咲くのだ」と信じて見守ることができる人こそ、子育てのじょうずな人です。
子どもは、待ってもらっている時間の中で、その子のペースで内面を育てていきます。自分の好きなものや得意を知り、世の中のルールをとり込み、自分の中の小さな誇りを育てていきます。十分に熟した野菜や果物がおいしいように、待ってもらうことで心の中を成熟させていくのです。
大切に育てた花が咲いたとき、親の喜びはいかばかりかと思います。けれど、そのときに気がつくのです。本当に幸せだったのは、「どんな花が咲くだろう」と思いながら待つ時間だったのだ、ということに。
主婦の友社
この子はこの子のままでいいと思える本
¥1,540
発売日:2020年7月2日