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2023.04.11

妊娠出産体験談・インタビュー

同性カップルでも子供が欲しい。それってエゴですか?『虹色の未来』#9

前の話を読む▶▶▶同性が好き。家族へのカミングアウトU編 『虹色の未来』#8

Uちゃんと私は現在、自身のセクシャリティの悩みを抱える人たちの家探しを手伝う、不動産関連の仕事をしています。そこでは、『本当の自分でいられる居場所』をコンセプトにストレスフリーなお部屋探しをサポートしています。

その会社は最初、賃貸仲介、売買仲介や管理などを扱う普通の不動産業者だったのですが、Uちゃんが社長にレズビアンであることをカミングアウトしたことがきっかけで、試行錯誤を繰り返し、2021年にやっと、『KATATI不動産』という窓口を設立することができました。

理解のある社長に恵まれた私たちは幸せだし、うちの会社は最高です。そして夢への架け橋を渡してくれた社長には、どんなに感謝しても足りません。

Uちゃんが19歳のときインターンでこの会社に入ったころ、まだ彼女は男性とお付き合いしていました。そこから大学を卒業して、一度ギラギラ系の不動産会社に就職し、一生懸命働いていたけど営業方針が合わずに苦しんでいたUちゃんは転職を考え、再び社長のもとを訪れたのです。

Uちゃんはギリギリに追い詰められていて、久々に会う社長にいきなりカミングアウトしたそうです。

「いま、女性とお付き合いしています。私、レズビアンです……。すべてのLGBTQが生きやすい世の中にしていきたいです。同性カップルが自由に暮らしを選べる世の中を実現したいです。なにか自分にもできることがあるはずなんです……。うまく言えないけど、一緒に働かせてください!」

Uちゃんは女の子と付き合うまでは感じなかった「世の中のいろいろな不自由」に気づきました。LGBTQには部屋を貸さない大家さんがいたのです。

社長は、当時のUちゃんの雰囲気から、カミングアウトのしにくさを切々と感じたと言います。

「Uって、昔からストレートになんでも言いたいことを言うタイプの女の子で、隠しごとをしたくてもできない子だった。だから、今まで世の中がカミングアウトをしにくい環境だったんだな、って感じたときに、言えない辛さや過酷な環境を感じてしまった。これはなんとかしなきゃ。言いにくい世の中の問題を一緒に解決したいなって思った。女の子と付き合う女の子と出会ったのはUが初めてだった。初めて知ったからこそ、当時はいろんな話を聞いて知りたい、まずは理解したいと思った」

テレビで当事者の存在は知っていても、いざ身近にいるとなると衝撃を受ける人はたくさんいます。そこから、理解と共感を持って寄り添ってくれる人は本当にありがたい存在です。社長は思いに共感して形にするプロフェッショナルでした。

「知ったからにはもう問題を見過ごせない」

そんな熱い人だったのです。当事者の人たちの居場所を作るためのコミュニティや、セクシャリティ関係なく自由に住まいを探せるように、そんなサービスを『KATATI不動産』は提供しています。

私は専門学校を卒業してからUちゃんの夢に合流しました。みんなが暮らしやすくて居心地のいい場所を作る、そんな目標を持って仲間たちと日々奮闘しています。

それと同時に、YouTubeで私たちカップルの日常を発信しています。私たち同性カップルがどういう生活をしているのか、そしてどうやって愛し合ってるのか。

糸口はどこからでもいい。まずは興味を持ってもらい、世の中にはこういう人間もいるんだと知ってもらうためにはまずカメラの前に立ち、私たちはここにいると表現することが必要だと思ったんです。

「女同士でどうやってセックスするの?」なんて、なかなか人に聞けないような話もぶっちゃけて明るくオープンにしています。

私たちの動画でエンタメが多い理由は、私たちが異常な存在ではなく、どこにでもいる普通のカップルだからです。女の子同士が手をつないでいる姿や付き合ってる姿を当たり前にしたい。

最初のころは反応が少なかったけど、続けていくうちに登録者数とコメントが増えてきました。私たちはそのコメントがすごく嬉しいです。どんな内容でも私たちに興味を持ってもらえた証だから、疑問を投げかけられたら全力でこたえたい。

制度や法律にあまり触れていないのは、私たちの考えを人に押し付けたくないからです。人の数だけそれぞれの大切な個性や考えがあるはずですから。

みなさんに、何かをしてほしいわけではなく、愛し合うカップルの惚気チャンネルだと思ってください。ただ、コンテンツを楽しんでほしい。

ああ、こいつらなんだか楽しそうだな、と思ってもらえたら、それが一番です。こんな子、まわりにいるよね、って思ってもらえたら、こんなに嬉しいことはありません。
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【文】 藤原 亜姫

2008年ケータイ小説史上、空前のアクセス数を誇った『インザクローゼット blog中毒』(河出書房新社)で作家デビュー。他著書には『夜が明けたら 蒼井そら』、『東京整形白書』などがある。人間の弱みや闇を独自の視点で痛快な物語に変える作家。

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