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2023.04.11

妊娠出産体験談・インタビュー

同性カップルでも子供が欲しい。それってエゴですか?『虹色の未来』#9


Uちゃんと付き合い始めて5年、ほぼ24時間一緒にいる中で、あぁ、私たちって、もう家族だなぁ、と感じることが増えました。これからもずっと一緒に暮らしたいし、2人の間に子供が欲しいと思うのは自然の流れでした。思えば付き合って3年目くらいから、子供を持つことを意識していました。

専門学校の友達や地元の友達にも子供が産まれて、それまで遊んでいた子が急に大人びてきちんとお母さんしてる姿もたくさん目にして、頼もしい、楽しそうと羨ましく思いました。

Uちゃんは離れて暮らす甥っ子を溺愛していました。もし私たちに子供がいたら、どんなに楽しいだろう。Uちゃんと子育てできたらどんなに幸せだろう。

私は思い切ってUちゃんに相談しました。すると、彼女も同じ思いでいてくれたんです。

「私もそう。こんなに長く一緒にいるし、2人の子供がほしいって思ってた。……どうしたらいいのか、具体的にきちんと考えてみようか」

それから2人でたくさん話し合いました。
女性のカップル同士で子供を持つことは、果たしてエゴだろうか。
お母さんが2人って、まだこの国では普通じゃない。
そのことでもしかしたら子供は、すごく悩んで、しなくてもいい葛藤に苦しむかもしれない。
でも、子供が辛くなったり悲しくなったら相談できる親にはなれる。
子供が悩んだら、どうしたらいいか一緒に考えられる親にはなれる。
絶対に子供を見放さない。

私たちは普通と違うことでこれまでたくさんの壁にぶつかって、悩みながらも乗り越えてきた。子供がどんなことをしてほしいか、どんな言葉がほしいのか、そしてどんな逃げ方があるのか、それはきっと教えてあげられる。なにより、ここに愛がある。

「私たち、子供を作ってもいいんじゃないかな……」

たくさんの議論を重ねました。

「子供が、ママが2人であることに疑問をもつのはいつからだろう」

「公園とかで、うちって他のうちと違うなって気づくかもしれないね」

「自分はどうやって生まれたの?って聞かれたら、どう説明する?」

「ごまかさず、ありのままを子供にだけはきちんと説明しよう」

「園や学校にママが2人であることをどう伝えればいい?」

「カミングアウトと同じで人によってどう伝えるか、いつ伝えるかがすごく重要だよね。園や学校で過ごすのは私たちじゃなくて子供なんだから、そこは慎重に。学校側へ伝えることで子供が行きにくくなるようなら、伝えない。とにかく暮らしていく子供に不都合がないようにしよう」

「そうだね。いろんな問題がそれぞれの時期に出てくると思う。けど、一つ一つ解決していこう」

そうやってたくさんの話し合いを重ね、やっとひとつの答えに辿りつきました。

男女が結婚して生まれる子供、すべての子供は幸せなのだろうか。
それ以外の子供は不幸せなのだろうか。

そんなことはないはずです。家族の形にこだわるよりも、子供を育てる保護者がしっかり子供を愛することがなにより大切なのではないでしょうか。

Uちゃんはこう言ってくれました。

「血のつながりだけが全てではないよね。私たちだって血はつながってないけど愛し合ってるし、連れ子同士で再婚した夫婦だって今はたくさんいて、それも家族だと思う。だから過ごした年月やかけた愛情で家族になっていくんだと思う。いっぱい話し合って確認したけど、あらゆる面で今の私たちは、大丈夫。未熟かもしれないけど、子供と一緒に成長していこう」

そして心が決まりました。まだ当たり前ではないけれど、幸せな家族を、Uちゃんと一緒に作ってみたい。それによく考えたら、ママが2人って、心強い部分もたくさんある。幸い、職場の理解もあるし、協力してくれる仲間や力になってくれる友達もたくさんいました。

そこから、お互いの家族にそれぞれ報告をしたんです。

「お母さん、私たちね、妊活をすることにしたよ」

「そう……。れいが決めたことならそれが一番だよ。子供は奇跡、できたら嬉しいね。頑張ってね。お母さんになにかできることがあれば手伝うから、いつでも頼りなさい」

Uちゃんのお母さんは

「そしたらゆうとれいちゃん、家族になるんやね!私は娘が2人になるってことやね!ああ、嬉しい……、ありがとう、ありがとうね!」

と涙声でエールを送ってくれました。家族の祝福が私たちの背中を押してくれました。もう、迷うことなどなにもなかった。

いざ子供を作りたいと思っても、実際に私たちのもとへやってきてくれるかどうかはわかりませんでした。けれど大きな決断をして、私たちは夢に向かって大きな一歩を踏み出したのです。

続きを読む▶▶子供を授かったセクシュアルマイノリティ。家族と生きていくために必要なこと『虹色の未来』#10【最終話】

エルビアンTVプロフィール

日本で一番チャンネル登録者数が多いレズビアンカップルのU(左)とREYAN(右)の2人組YouTuber。テレビやイベントなど多数出演。YouTubeTwitterInstagramで女の子カップルの日常を紹介中。

【文】 藤原 亜姫

2008年ケータイ小説史上、空前のアクセス数を誇った『インザクローゼット blog中毒』(河出書房新社)で作家デビュー。他著書には『夜が明けたら 蒼井そら』、『東京整形白書』などがある。人間の弱みや闇を独自の視点で痛快な物語に変える作家。

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