【ベビモ】はじめてママ・パパの悩みを解決

検索

menu

カテゴリー一覧

FOLLOW US!

  • LINE
  • Instagram
  • YouTube
  • Tiktok
menu

MENU

会員登録
menu

2022.10.26

メンタルケア

それって本当に子どものため⁉「教育熱心な親」の仮面をかぶった”毒親”とは?

精神科医で産業医の井上智介氏によれば、近ごろ増えているのが、幼児や小学生の子どもを育てるパパ&ママからの相談。

育児に疲れ果て、「つい子どもにイライラして怒ってしまう」「正直手をあげてしまうこともある」と打ち明け、どの人も「自分は毒親かもしれない」と悩んでいるのだとか。
 
では、愛すべき子どもに対して、なぜ毒親になってしまうのか、自分が毒親にならないためにはどうすればいいのでしょうか?

井上氏の著書『毒親になりそうなとき読んでほしい本』より、そのヒントを連載でご紹介します。前回は毒親の典型例3タイプのうち、「子どもに恐怖心を与える毒親」について解説しました。

前の話⇒⇒⇒もしかしてあなたも毒親かも!子どもに対してこんなことしてない?…それ、虐待です!

今回は残りの2つ、子どもの「義務感をあおる毒親」と「罪悪感を抱かせる毒親」です。

「過干渉」は毒親の出発点!

「子どもの義務感をあおる」の出発点となるのが、親の過干渉です。よく過保護と過干渉は違うといわれますが、子どもが望んでいることを先回りしてやりすぎるのが過保護なのに対して、過干渉は子どもが望んでいないことを先回りしてやりすぎること。

つまり過干渉な親は子どもの気持ちや考えを一切無視して、服装、髪形、友達、習い事、進学先、部活……、なんでもかんでも決めてしまいます。

親としては、これが正しいと思っているわけですから、別に悪いことをしているつもりはありません。ですから子どもがこれをやりたいと言っても、違う、違う、ダメダメと全部否定します。これがエスカレートすると、いま、5つ目の虐待といわれている「教育虐待」に発展しかねません。

「子どものため」という大義名分で、一生懸命やるわけですが、親の目標となれば、もうきりがない、天井がない、どんどん上を目指したくなるので、非現実的な勉強量や練習量を与えて、結局それができないとどなったり、このままじゃ将来がダメになると脅したり、「お兄ちゃんと比べてダメじゃない」などと比較したりします。

そういうことを言われると、子どもは親の期待を裏切ったら悪いなとか、がんばらないといけないなという義務感が刺激されて、どんどんつらくなってしまいます。

「教育虐待親」は2パターンある!

教育虐待について、もう少しくわしくお話ししましょう。

教育虐待しがちな親というのは、高学歴か学歴コンプレックスを抱えているか、そのどちらかです。中間はあまりいません。

高学歴なら満たされた生活をしている人が多いので、それが正しい道であって、子どもにも正しい道を歩ませてあげたいと思うのです。だから勉強しなくてはいけないという考えのもと、子どもに勉強させるわけですが、自分だったらこれくらいはできた、と子どものキャパシティーを考えずに必要以上の叱咤激励をするのです。

子ども目線でなく、自分目線で判断してしまい、その結果、子どもを苦しめることになります。

一方、学歴コンプレックスを抱えている人は、自分に学歴がなかったせいで、人生がうまくいっていないと考えてしまいます。子どもに同じ思いをさせたくないから、勉強しなさいと言って友達と遊ぶのをやめさせたり、塾はここに行きなさいと子どもに干渉したりします。

子どもの部屋に勝手に入って、勉強に必要のないマンガやゲームをどんどん捨てるといったことをする親もいます。

遊ぶことも成長には大切!

しかしながら子どもの成長には当然、友達と遊ぶこと、親子でスキンシップをとること、夜きちんと寝ること。勉強以外にも大切なものがたくさんあります。

いろいろな経験をして失敗しながら、善悪を身につけて成長していくものです。それをすっ飛ばして、すべて勉強だとなってしまうのは、非常に危ないことは言うまでもありません。

とかく教育虐待というのは、外からは見えにくく、親はいわゆる「教育熱心な親」と片づけられて、発見されにくいのが実情です。

いちばん重要なのは、子どもの素直な気持ちですが、そもそも子どもはそれをうまく出せません。教育虐待をする親がよく言うのが「子どももそうしたいと言った」ということです。

しかし大前提として、子どもは自分の気持ちをすべて口で伝えることはできません。子どもがいくらいいと言っても、それは親の期待する答えに対して言っているだけで、6か7くらいはいいけれど、3か4は嫌だと思っているかもしれません。

子どものネガティブな気持ちにも目を向けて、共感してあげないと、できなかったときに「あなたがやるって言ったんでしょう」となってしまうのです。

ストレスからおねしょやチックに

教育虐待がエスカレートすると、子どもはだんだん精神的に追い詰められて、おなかが痛い、体がだるいと不定愁訴を訴えてきます。

小学校高学年になって、おねしょをするなど赤ちゃん返りをしたり、目をパチパチさせる、体を揺らすといった運動性のチック症状が出たりすることもあります。親との関係は、それほど子どもの心身に影響を与えてしまうのです。

親の言うことは聞くしかない?

続いて「子どもに罪悪感を抱かせる毒親」について説明しましょう。

子どもは親の期待にこたえられなければ、罪悪感を抱くことになります。心をコントロールするのがうまい親なら、たとえば「前に自分でやるって言ったけど、ダメだったんだから言うことを聞きなさい」という表現をします。

そうすると子どもはたしかにダメだった、とその罪悪感を刺激されて、もう言うことを聞くしかないなとコントロールされていくのです。

あるいはリストカットするような、精神的に不安定な親であれば、子どもに向かって「お母さんの言うことを聞かないなら、もう死ぬから」と言ってみたりします。そうすると子どもは親が死んでしまうから、言うことを聞かないといけない、となるわけです。

しかし、親からすると「子どもを殺すと言ったわけじゃないから、虐待じゃないでしょう」と考えているのです。自分の命や体で駆け引きして子どもの罪悪感をあおる。そんなことをされたら、子どもは身動きがとれなくなってしまいます。

夫婦げんかは子どもに関係ない

DVを受けている母親が「あんたが勉強しないから、お母さんはお父さんになぐられるのよ」と子どもに対して、はっきり言うこともあります。悲壮感たっぷりに言って、やはり子どもの罪悪感をあおります。

でもこれ、本当は子どもではなく、自分の夫と話をしなければいけないことです。うまく子どもに責任を転嫁して、親は自分の精神安定を保っているわけです。とてもこわいケースですが、虐待が20万件超もあることを考えると、こういう例は非常にたくさんあるというのが実際のところかもしれません。

こういった虐待が発見された場合、病院から学校、行政へとつないでいくことで、風穴があいていくことがあります。そこで初めて親自身が、子どもにプレッシャーを与えていたのかとか、自分にも病気があったとか、いろいろとわかることや気づくことがあります。

ですから、そもそも子どもは親だけで育てられるものではないという考えをもって、どんどん家庭を開いていってほしいです。
__________

親の期待にこたえられなかった、親を悲しませてしまったと自分を責める子は、自己肯定感がなかなか育ちません。親は結果ではなく、プロセスをもっとほめてあげてください。

プロセスの前に、子どもの存在に感謝する、子どもがいるだけでありがたいことに気がついてほしいです。

次の記事⇒⇒⇒「毒親」に育てられた子どもはどうなる?大人になってさらされる危険の大きさとは?

『子育てで毒親になりそうなとき読んでほしい本』

子育てというのは、大きな喜びをもたらしてくれる一方で、実にストレスフルなもの。誰もが毒親になる可能性を秘めています。

この本では、自分が毒親化していると気づいた人が呪縛から脱し、わが子に向き合い、自分らしく生きていくためのステップを、精神科医の井上智介氏がアドバイス!

Baby-mo〈ベビモ〉編集部

「Baby-mo(ベビモ)」は主婦の友社が運営する、妊娠・出産・育児の公式情報サイトです。妊娠期の不安、出産準備、赤ちゃんの成長、離乳食レシピ、産後の悩みまで。はじめてママ・パパに寄り添う情報を提供します。➤ 雑誌の最新号・バックナンバーはこちら 

SHARE

  • facebook
  • Twitter
  • LINE

関連する記事

ランキング