子どもがネガティブな言葉を発したとき、親はどんな「声かけ」をすればいいのでしょうか?困難に負けない子どもに育てるための声かけの具体的ポイントを、日本ポジティブ教育協会代表理事の足立啓美さんが監修する書籍『子どもの心を強くする すごい声かけ』からご紹介します。
学校で発言ができない。友達に言いたいことが言えない。進んで何かをやろうとしないとき
【NG発言】●「なんでできないの?」
●「〇〇ちゃんみたいにがんばりなさい!」
●「そんなに内気でどうするの?」
【OK発言】●「じっくり考えられるのは、〇〇ちゃんのいいところだね」
●「自分のペースでいいよ」
●「一緒に考えてみよう」
「内向的」はつつしみ深さや思いやりの裏返し
言いたいことがうまく言えなかったり、積極的に行動することが苦手…そんなタイプの子どもたちは、内向的な性格が短所であると思われがちです。
しかし、内向的な子というのは、周りをよく観察していたり、周りの意見を尊重したうえで自分の意見を伝えようとしたり、注意深く考えたり、行動する前にじっくりと考えたりするといった特性を持っています。これらは、すばらしい強みです。
ただ、「つつしみ深さ(謙虚さ)」「思いやり」「思慮深さ」など他者に対して発揮されやすい強みを使いすぎると、言いたいことが言えなくなったり、やりたいと思っていてもできなくなったりするなど、自分をないがしろにしてしまうことがよくあります。
そのようなときには、本来持つ強みのマイナス面をカバーする強みを使うことで、その子らしさを失わずに、行動面を変えていくことができます。特に自分に対して発揮するような強みが助けてくれます。
隠れた強みを教えて自己肯定感を高めるサポートを
まずは「慎重にとり組めるのは〇〇ちゃんのいいところだよね」といった声かけで、それが強みであることを伝えましょう。隠れた強みを教えることは、子どもの自己肯定感を高めることにつながります。そのうえで本当にやりたいことが実現できるようにサポートします。
「それを発言したらどんないいことがあるかな?」「その行動をとったらどんな気持ちになると思う?」など、「勇気」や「希望」といった、実現に近づく手助けをする強みが発揮できるきっかけとなる声かけをするといいでしょう。
ちなみに、「〇〇ちゃんみたいに」など、他人と比べるような声かけは、強みを育てることにも、強みを生かして思いを実現することにも結びつきません。他者と比較することを続けていると、他者より秀でることで自尊心を満たそうとする方向に向かってしまいます。結果、本人の生きづらさにつながります。
100回できなくてもその後の1回の成功をほめる
比較するとしたら、過去のその子と比較することです。もし子ども自身が人前で発言できるようになりたいと願っている場合、たとえ100回できなかったとしても、その後に1回できたら、その勇気をほめてあげてください。その子のペースでよいこと、できた行動を認めることに注目して声かけをする方法は、問題行動を減らしたいときにも活用できます。
また、やさしく、おとなしいタイプの子は、友達に言いたいことが言えずにいつも言いなりになってしまう、というケースも少なくありません。そんなときには、「どうしたら〇〇ちゃんもあなたも気持ちよく遊べるかな。一緒に考えてみよう」と声をかけ、解決策をいくつか一緒に考えるのも一つの方法です。そして、それを一つ一つ試してみるようにサポートします。
それでも解決しない場合には、「どういうお友達と仲よくしたいと思う?」と質問しながら、「よいお友達とはどんな友達か」ということを学ぶ機会にすることもできるでしょう。
逆境に負けない力を育てる『子どもの心を強くする すごい声かけ』
『子どもの心を強くする すごい声かけ』1,540円(主婦の友社)
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