先月の連載では「睡眠の土台」の大切さを説明してくださった愛波 文先生は、アメリカのIPHI公認、日本人初の乳幼児睡眠コンサルタントとして活動中。科学的根拠に基づいた睡眠のためのメソッドは、赤ちゃんの睡眠まわりの悩みをもつママが実行すると、今まで困っていた問題がすっきり改善すると評判です。
今回は、実際に寄せられた生後7ヶ月の赤ちゃんの睡眠についての悩みに、愛波先生が具体的解決策を提案!
今月の「赤ちゃんの睡眠についてのお悩み」
生後7ヶ月になったばかりの息子の寝かし付け、夜泣き、夜中3~4回起きることに苦労してます。以前はいったん寝てしまえば朝まで寝てくれていたのですが、ここ1ヶ月位は夜中も度々起きてしまうのです。
そして寝かし付けが本当に難しくて……。大体いつも抱っこで2~3時間は確実にかかります。段々と何が正解かわからなくなってきている自分がいます。ずっとこの状態だと体力的につらいのと泣き続ける我が子が可哀想で。
生後5ヶ月半ぐらいで一度ねんねトレーニングを行ったのですが、ギャン泣きが続いてしまい、どうしていいかわからなくなり断念しました。現在のスケジュールは朝7時起床、9時~11時朝寝、15時~16時お出かけ先で夕寝、20時~22時半寝かし付け後、就寝です。どうすればよいでしょうか?(Eママ・生後7ヶ月男児)
乳幼児睡眠コンサルタント・愛波 文先生からのアドバイス
ご質問ありがとうございます。毎日寝かし付けに2~3時間と夜泣きはとても大変だと思います。毎日お疲れさまです!
夜泣きに関しては、日中の睡眠が足りてない、活動時間(起きていられる時間)が長すぎることが原因だと考えられます。今までよく寝ていたのに、いきなりこのような状態になってしまうのは実はよくある話なんです。お子さんは日々成長していますので、睡眠も変化してきます。例えば、お座りができるようになったり、つかまり立ちをしだしたり、歩き始めの際には睡眠にも変化が現れることがあります。
今回の息子さんのケースの場合、まず私が睡眠改善で一番大切にしている睡眠の土台をきちんと整えることが重要になってきます。おそらく、5ヶ月半でねんねトレーニングを行ったとき、ギャン泣きが続いたのは睡眠の土台が全て整っていなかったからだと思われます。今回は
①睡眠環境を整えること②活動時間(起きていられる時間)を見直すこと③寝かし付けの抱っこ癖をとっていくことの3つを中心に改善をしていきましょう。
① 睡眠環境を整える
・部屋の明るさ部屋は昼寝も夜と一緒で真っ暗にしましょう。遮光カーテンを使用し、隙間からの光も防ぎましょう。以下が私の次男が昼寝をしている時の写真です(下の写真)。右上から少し光が入ってきているのが気になりますが、それ以外は真っ暗です。私の長男でしたらこの右上の光でさえも起きてしまう原因になっていたと思います。
真っ暗ですが夜の室内ではなく、昼の室内。「暗く」はこれくらいまで光をシャットアウトをしたいものです。
・室温睡眠に最適な温度は20-22℃と大人が肌寒いと感じるぐらいにしましょう。ギャン泣きをしている場合やずっと抱っこをしている場合、暑くなりすぎてしまいそのせいで更に寝むれなくなってしまいますので、そういう時は温度調整、または、服装で調整を行ってみましょう。ホワイトノイズで水が流れる音や波の音を付けてみるのも効果的です。
② 活動時間の見直し
7ヶ月になったばかりですと、活動時間は2時間ぐらいになります。朝寝は活動時間を少し短くして、朝の起床後は1時間半ぐらいを目安に寝かし付けをしてみましょう。15分ほどで眠りに入り、朝の起床時から1時間45分後には寝ている状態が理想です。
現在7時に起床で9時から朝寝ですが、こちらを少し早めて8時半に寝かし付けを開始、8:45には寝ている状態を目指しましょう。朝寝から目覚めたら、その後は2時間の活動時間を目安に寝かし付けをしてみましょう。
現在、朝寝から11時に起き、その後、昼寝までの活動時間が4時間になっていますがこれは長すぎです! 赤ちゃんは活動時間が長すぎると脳が興奮してしまい、眠りたいのに眠れない状態になることがあります。それを見ると親は「まだ元気だ」と思ってしまい、もっと疲れさせようとしてしまうのです。でも、その脳の興奮状態は「眠い」を通り越して、疲れすぎている証拠です。
7ヶ月の赤ちゃんは朝寝、昼寝、夕寝と3回寝る(たまにまだ4回の子もいます)のが一般的です。息子さんの場合、30~45分の夕寝を取り入れてみましょう。夕寝から起きて1時間45分ぐらいたったら夜の寝かし付けをはじめ、15~20分ぐらいで寝ている状態を目標にしてみましょう。
③ 寝かし付けの抱っこ癖をとる
寝かし付けの際に2~3時間抱っこをしているのはつらいと思います。置いたとたんに起きてしまう「背中スイッチ」に悩まされているのではないでしょうか。この抱っこ癖を徐々にとっていく必要があります。寝かし付けの方法を変える時は親(保育者)の強い決意も大切になってきます。迷いがある場合は、親が不安だと感じていることを明確にする必要があります。親の対応がぶれて、赤ちゃんを混乱させないように一貫性をもって続ける自信がついてから行いましょう。
抱っこする時間を毎日20分ずつ徐々に短くしていく方法もありますが、現在は活動時間が長い、日中の昼寝が足りてないために、ぐずってなかなか寝ないということが考えられます。ですので、抱っこを20分ずつ徐々に短くしていくより、活動時間を確認しながら、夜の寝かし付けの習慣をきちんと確立し、「寝かし付け」として赤ちゃんが起きている状態で一度寝床に置いてみることを試してみてください。
泣いていない場合は、無駄にトントンなどせず、隣で見守りましょう。泣いたら「ママとパパはここにいるよ」と優しく声かけをし、それでも泣いている場合はトントンで落ち着くか試してみましょう。なるべく抱っこはせずに違う方法であやしましょう。もし抱っこをしてしまったら、赤ちゃんが泣くのが落ち着いたら寝床に置くようにしましょう。抱っこは寝かせるためではなく落ち着かせるだけにしましょう。
睡眠改善は親(保育者)の強い意思と、一貫性を持って続けることが何より大切です。ぜひ試してみてください。
睡眠アドバイスを実践してみたママの感想
愛波先生、アドバイスありがとうございます! あれほど寝つきが悪かった息子が朝まで通しで寝てくれるようになりました。感動です。息子の睡眠改善を行うことで、夫婦で会話する時間が増えたことも私の精神衛生上プラスになりました。本当に感謝しています。
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