育児・介護休業法が改正されパパの育休が注目されるなど、育児シェアが進むこのごろ。令和時代のパパたちは、実際にどのように育児と向き合っているのでしょうか?
仕事と育児の両立をこなす企業パパの”リアル”にフォーカス。育休を取得しての奮闘、父としての思いなど、パパライフについて語ってもらいました。
座談会メンバー
アサヒグループ食品遠藤雅大さん2才6ヶ月、1才2ヶ月の女の子のパパ。和光堂のベビーフードなどを手がける会社で、原料の開発や研究を務める。掃除、整理整頓と甘いものが好き。得意な育児は抱っこでの寝かしつけ。積水ハウス杉山優さん7才の男の子、5才、1才5ヶ月の女の子の3児パパ。平日休みの営業職。家事も育児も「妻から指示されるままに動く」が円満の秘訣。趣味はゴルフ、仕事。尊敬するパパ像は市川海老蔵。BEAMS久野亮太郎さん2才4ヶ月、10ヶ月の女の子のパパ。BEAMS店舗で販売の経験を経て、現在は内勤。上の子と銭湯へ行くのが最近のブーム。料理と早起きは苦手なものの、パパと子どもだけの2泊のお留守番もこなす。
赤ちゃんとパパのお出かけあるあるは「トイレ問題」
編集部(以下、編) 業種は違いますが企業で働きながら、小さなお子さんを育て中のパパのみなさん。実際にお子さんのいる生活がスタートして、想像していたものとのギャップはありましたか?
遠藤さん(以下、遠) 子育ての理不尽さでしょうか(笑)。自社でベビーフードを扱っているのですが、食べさせた商品を気に入って。
編 和光堂さんのベビーフードは、ベビモママ・パパに大人気です!
久野さん(以下、久) わが家もお世話になってます! まさに、いま食べてます。
遠 ありがとうございます(笑)。それで、食べてくれたので「これは!」と、社内販売で大量にストックしたら、届いたころにそのメニューを食べてくれなくなり、大量の在庫を抱えることに(笑)。
杉山さん(以下、杉) あるあるですね。
遠 リゾットだったかな。食べてくれたから買ったんですけど(笑)。すぐにコロコロ変わっちゃいますよね、好みとか、寝る時間とか、寝てくれていた方法も。とくに生まれてすぐのころはコロコロ変わって。なんとかがんばるしかないんですが(笑)。
久 あたりまえのことが通用しなかったり。大人だけの生活とは、やっぱり違いますよね。
杉 わが家は小1、年中、1才5ヶ月の3人きょうだいなんですが、妻が専業主婦で。一日中3人の相手をしているので、たまに息抜きに私が3人を連れ出すことがあるんですが、慣れてないものですからおむつを忘れたり……。
久 だいたいそういうときに限ってうんちをしちゃうんですよね(笑)。
杉 そうなんです。それで、替えがなくて……ということはしょっちゅう。急いでドラッグストアを見つけて買いますね。
遠 うちは2才と1才の姉妹で、私が1人で2人連れてということはまだないんですが。上の子がまだ歩けないくらいのとき、抱っこひもで抱っこして出かけたりすると自分がトイレに行きたくなったときに困ったんですけど……ありません?
杉・久 ありますね。
遠 ベビーカーは持ってきてないし、娘をどこで待たせようとか。ちゃんとベビーチェアなどの設備がついているところもありますが、公園だとなかなか男性用のトイレにはなかったりして。まぁがまんするんですけど(笑)。結構困ることがありました。
久 私は抱っこひもをしたままで、見えないですけど、しますよ。長年の感でイケると思って。
杉 最悪そうなりますね(笑)。
編 なにかコツはあるんですか?
久 抱っこひもごと、赤ちゃんをちょっと持ち上げますね。「これなら大丈夫かな?」ってちょっと横にズラしてみたりとか。でもまぁだいたい大丈夫ですね。
遠 最近はふえてきましたが、男性用トイレにも、おむつ替え台などが常設されると、子どもとのお出かけもしやすくなりますよね。
編 お子さんとパパだけで過ごしたり、お出かけをすることはよくありますか?
久 妻の地元が福岡なんですが、海の日の3連休に下の子を連れて帰省して結婚式へ行っていて。私は上の子と留守番で、2日間2人っきりだったんです。それで、連休中に子どもを連れて友だちと電車で海へ行ったんですが、電車の中でうんちをしちゃって。たまたま湘南新宿ラインでトイレがあったんですが、ベビー用のシートなどはないので。とりあえずおむつだけささっと替えて、あとは端っこのほうでじっとしていましたね。でも、なんとか3日間2人だけで過ごすことができました。
杉 うちは3人目の出産のときですかね。コロナで産院に会いにも行けないので、上の子2人と退院するまで……というのはありましたけど。
編 ママがいなきゃいやだと泣かれることはないですか?
久 子どももわかっているのか、意外になかったですね。たまに夜中に起きて、ドアのほうに行ったりということはありましたけど、でもそれぐらいですかね~。数日だったらうちは大丈夫かな。
実はパパも虫が苦手!がまんしてさわってます(笑)
編 ママよりもアクティブに遊んでくれるので子どもはパパと遊ぶのが好き!という声をベビモママからよく聞きますが、お子さんとはふだんどのような遊びをすることが多いですか?
杉 うちは小1の長男がサッカーをやり始めたんですが、私は土・日が仕事なので、ふだんは相手をしてあげられなくて。夏休み中は、朝7時くらいから公園にサッカーをやりに行っていましたね。
久 公園はやっぱり行きますね! 上の子が遊具でも遊ぶようになって、よく行きます。子どもが砂場で遊びたがるんですが、汚れるし後片づけもたいへんなので、私はあまり好きじゃなくって……。でも子どもが遊びたいんだからしょうがないですね。毎回どろだらけです。男の子相手だと遊び方も体力使いそうですね。
杉 それが、最近長男が虫を採るんですが、私は虫が嫌いなんです(笑)。カブトムシとかも興味ないし、さわるのもいやだし。でも「パパはさわれない」と言うこともできなくて。
久 虫が苦手なのって男性にもいますよね。たしかに男の子の子どもからするとパパはさわれるものだと思っているかも。やっかいですね(笑)。
編 家事や子育てをするうえでママと意見が分かれたり、衝突したりすることはないですか? みなさん、どのようにして解決しているのでしょうか?
杉 わが家は妻優先ですね(笑)。私は話し合いとかはしないです。指示されるがままに動いています。あれやって、これやってっていう指示そのまま。
編 「言われる前に動いて!」というママも多いですが、きっかけはありますか?
杉 1人目が生まれたばかりのときは自分から積極的に動こうと意識してやっていたんですけど、それが逆効果だったみたいで。ありがた迷惑的な。なにか言われたわけではないけど、向こうのテンションがなんか違うなと感じて。やらなくなりました。話し合いはしませんでしたが「やることがあれば口に出して教えて」とリクエストしました。
編 どんなことをお願いされることが多いのでしょうか?
杉 もちろんおむつ替えとかは気づいたらやりますけど……。1人目が生まれたばっかりのときに、妻は初めての子育てでいつも寝不足の状態で、しんどそうだなと。その間、自分が家にいて手があいていたら食事を作ったり、洗濯をしたりということはありました。でも、妻はキッチンでこっちが何かをやって道具が移動しているのとかがいやで、そういうのがストレスになっていたみたいで、やめました。「洗濯して」「たたんで」「子どもと公園行ってきて」とか。いまはすべての指示のまま動いています。頼まれる前に動けというママもいると思うんですよね。でも、うちはそうじゃなかったみたいで。
久 うちの妻の場合は、多分指示するより感じ取ってほしいタイプで。私が感づかずに過ごしててある瞬間「空気違う、あれ?」みたいなことはよくあります。気づいたときには遅いみたいなことはありますね。「私はこれだけ働いているのに、なんであなたはずっとぼ~っとしてる?」みたいなときはしょっちゅうありますね。
遠 わが家は逆パターンで、私のほうが家事が好きで。気づいてほしくて、こっちがもやもや(笑)。
久 もっとこうやったら効率がいいのにとか?
遠 そうそう。「なんでこのタイミングでお皿洗わないの?」とか。でもそれは絶対口に出しては言わないですね。それぞれの得意分野があるので、お互い得意分野をやればいいかなと。妻は教育系に興味があって調べたりしていて。子どもへの声のかけ方とか、接し方とか。遊んでいると「ちょっとそういうのやめて」と止められたりしますね(笑)。
「ダメ」がNGワードな時期はもう過ぎました(笑)
編 声かけで気をつけるのはどんなことですか?
遠 自分が否定的な言葉を言ったりとかですかね。「それやめて」「しないで」は、「しないでじゃなくて、聞いてあげて!教えてあげて!」と言われたり。認識の違いはありますね。
杉 うちも! 1人目のときは「ダメって言ったらダメ」みたいな(笑)。
久 ありました! 最初の時期はありましたね~。でも、もう全然ダメって言います。
杉 言いますね(笑)。
編 みなさんの場合、育児に関してはママが主導のことが多いんですね。
遠 そうですね、育児でわからないことがあったら妻が調べておいて、シェアすることが多いですね。
久 自分で気になってSNSやYouTubeで調べることもありますが、ママから言われてってことが多いですね。
杉 いずれにしても、ダメって言う言わないや、こんなときどうするみたいな子育て方針を話し合っておけたら、スムーズでいいですよね。
プチプラで汚れても気にならない「西松屋最高!」
編 子育てでの経験が、仕事の役に立ったということはありますか? みなさん職業はさまざまですが、せっかくなのでこの機会にもしお互いに質問があれば……。
遠 私は掃除とか皿洗いとか、片づけ系がわりと好きで。散らかっている状態が落ち着かないのですぐ片づけてしまうんですが、当然子どもは片づけたそばからどんどんひっぱり出していって。
久 ありますね~。
遠 でも、子どもの教育的には散らかっていたほうが遊びやすかったり、発見があったりもするみたいで。これも妻情報なんですけど(笑)。そのまま出しておいてとか言われるんですが、自分的には早く片づけたくて仕方がない。「片づけタイムスタート! いっしょに片づけよう~」とか誘うんですけど、誰も乗ってくれない(笑)。片づく部屋のレイアウトやコツがあればぜひ教えてほしいですね。
杉 ものをわーっと散らかしちゃうのであれば、収納が重要です。子どもって親がいる場所でしか遊ばないと思うんですよね。とくに小さいうちは子どもの部屋をつくっても、そこで閉じこもって遊ぶんじゃなくて、ママの近くで遊ぶ。じゃあリビングを広く設計して、そこにおもちゃをしまえるような収納をつくったり。私は住宅メーカーで、お客さまに提供する側ですが、子どもがいる生活を知らなかったときとの営業スタイルと現在だと全く違いますね。子どもや妻がどういう動きをするかがわかったことで、勉強になったことは多いです。
久 たしかに子どもがいると、部屋のレイアウトも、子ども中心になってきますよね。
遠 これからますますおもちゃもふえていくと思うので……。家族みんなにとってストレスのない環境づくりができるといいですよね。
杉 素朴な疑問なんですけど、やっぱりお子さんのファッションにもこだわっていたりするんですか? ビームスさんってやっぱりおしゃれなイメージで。
久 う~ん、先輩からいただくお下がりはおしゃれなものが多いですね。社内でお下がりをもらったり、あげたりはよくしますね。
杉 ビームスの子ども服、いいですよね。
久 でも、実際に買っているのは西松屋が多いですね。使えそうなパンツなんかは「これはまとめて買っておこう」みたいな。こどもビームスはお出かけ用に……みたいな感じです。やっぱり子ども服ってあっという間にサイズアウトするし、汚れを気にするのもいやなので。
杉 奥さんはこだわりとか、これがいいとかはありますか?
久 妻も、「西松屋最高~!」ってなってますね(笑)
育児休業は取得するタイミングの見極めも重要
編 みなさん育休を取得されていたんですね。遠藤さんは、10ヶ月も育休を取得されたんですよね。
久 10ヶ月はすごい!
遠 2人目出産のときに育休を取得しました。1人目が1才半だったのと、自分たちの親も頼れない状態だったので、これは取らざるを得ないなと妻と話して。実際、10ヶ月はあっという間でしたね。でも、子どもといるのは楽しいけど、本当にずっといっしょにいるので、息がつまるというか。ちょっとリフレッシュもしたくなります。
久 うちは1人目のときはちょうどコロナが始まったばかりで。そのときは店舗にいましたが、完全にお店も休業。リモートワークだったので、生まれてから100日ほど、自宅で成長を見守ることができました。2人目出産のときは、育休を1ヶ月間、取得しましたね。
編 育休を取得するのにおすすめのタイミングがあれば教えてください。
杉 うちは2人目が1才4ヶ月くらいのときに私が夜間断乳を手伝うことになり、そのタイミングで取得しました。3日間、地獄でしたね(笑)。妻は別の部屋で寝ていて、泣いてもおっぱいはあげない。泣きわめくんですが、私は寝ちうんです。そしたら終わってる。
久 「泣き声が聞こえないの?」って翌朝言われることありますね。気づくと夜泣きは終わってる(笑)。
遠 うちは妻の会社が4月の頭に復帰しなければならず、私は4月末ギリギリまでに復職すればOKだったので。私がちょっと長めに取得しました。ならし保育の間も私がお休みをしていて、その間に妻が仕事に慣れることができるので。そのタイミングでもう1回取るのもおすすめです。
編 育児休業を取得してよかったと実感したことはなんですか?
遠 ささいなことでも日々の変化をいっしょに見守れることですかね。妻と話すときも子どもの成長を共有できるので、それは楽しいです。
杉 子どものことというより、妻はこんなにたいへんなんだというのがわかりました。結構それが衝撃で、これは自分もやらないと、と。2人目のとき、長男もそんなにしゃべれなくて、一日中子どもといると話す人がいない、大人との会話もない。当時は帰るのが遅くて帰ると妻はすでに子どもと寝ていて。もっと会話をしないとなとも思いましたね。
久 そうですね、子どもといっしょにいられることももちろんありますが、奥さんの気持ちに寄り添えるようになったことがよかったかな。これからもママとの共同作業で育児をがんばっていきたいですね。
働くパパの子育てポイント まとめ
●お出かけ準備はしっかりと。
●おむつセットは必須!
●ミルクとおむつを忘れると致命的!
●バッグに入っているか、最終チェック
●育児でわからないことはパパ・ママどちらかが学んでシェア!
●育休を取るなら、ママの職場復帰のタイミング、卒乳時もおすすめ
●子育て中は大人と話す機会がなくなりがち。ママとの会話を大切に
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構成・文/村上 歩 撮影/佐山裕子(主婦の友社)