子どもに厳しく接することをイメージしがちな「しつけ」。そもそもしつけって何でしょう?知っているようで知らないしつけの意味と、脳の関係を、発達脳科学者の成田奈緒子先生に教えてもらいました。
しつけは、子どもが将来「生きやすい」と感じるためにするもの
私たちの社会には、有形無形のさまざまなルールがあります。多くの人たちが快適に、平和に、安心して暮らしていくための、法律や規則やマナーや配慮です。それらを親から子に伝えていくことを「しつけ」と呼びます。
具体的に何を伝えるかは、家庭、集団、文化、時代によって違ってくることでしょう。でも下記で紹介する3つは、不変のものだと思います。そしてこの3つが定着すれば、子どもは社会に出たときに「生きやすい」と感じられるはずです。
しつけの基本の3本柱とは?
①生活習慣の自立「自分のことは自分でする」
私たちは朝起きて夜眠るまでの間に、さまざまなことをしています。顔を洗い、食事をし、歯をみがき、着がえ、室内を整え、食事の準備をし、洗濯をし…。数え上げるときりがありません。これを一つ一つ学んでいくのが幼児期です。
なかでも、「起床・就寝」「食事」「着がえ」「排泄」といった身辺自立にかかわるしつけは、3歳くらいまでにひととおり教えていくことが大切です。
②人と上手に関われる「お友だちとは仲よくね!」
人はだれしも、ひとりでは生きていけません。支え合い、理解し合い、豊かな時間を過ごせたとき、私たちは「幸せ」を感じるからです。
人間関係の最初のステップは、親子のかかわりです。赤ちゃん時代からこの関係を大切に育てながら、少しずつ子どもに関わる人間関係を広げ、サポートをしましょう。
相手の気持ちをわかろうとしつつ、ときには主張し、ときには引き下がり、折り合いをつけながら関係を築くことの大切さを伝えていくことも「しつけ」の一つです。
③社会のルールを守れる「人に迷惑をかけちゃダメ」
社会にはさまざまなルールがあります。「人を殺してはいけない」などの法律に定められたものから、「あいさつをしよう」「順番を守ろう」といった公共のマナーまで。
大人には当たり前に思えても、幼い子どもにはなかなか理解できないものもあります。年齢に合わせて一つずつ教えていき、最終的にはどんな場面でも適切な判断ができるようになるのは思春期以降です。
上にあげた3つが基本とはいえ、親からの一方的な命令や押しつけではいけません。
「しつけ糸」はいつか抜くために、ゆるく縫うもの。しつけも同じで、子どもが自分で判断し、行動できるようになるための準備にすぎないのです。
乳幼児期は生活習慣のしつけをしっかりと!
子どもが自分で判断し、行動できるようになるために大事になるのが「おりこうさん脳」、そして「こころの脳」です。
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乳幼児期のしつけでいちばん力を注ぐべきことは、「早寝早起きのリズムある生活習慣」をしつけることです。そして、たくさん遊んでおなかをすかせて、「おいしいね」と食事をすること。
そうやって「からだの脳」を育てて、脳の基礎である“1階部分”をしっかり作っておけば、年齢が上がるにつれて自分で判断する力も安定して発達します。
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