「無痛分娩=ラクして産む」というイメージからか、親や義理の両親に無痛分娩を反対される妊婦さんもいるようです。令和妊婦さんが知っておくべき、無痛分娩の医学的なメリット・デメリットと親世代への説明の仕方を、産婦人科医の天神尚子先生と考えました。
【お悩み】無痛分娩の予定ですが、親と義理の両親に反対されそうで言えずにいます。いい説明の仕方はある?
編集部(以下編):今回は、計画無痛分娩をすることを自分の親と義理の両親に言い出しにくいというお悩みです。
天神(以下天):今の若い人は違うかもしれないけど、日本では昔から「腹を痛めて産んだ子はかわいい」とか「我慢が美徳」みたいな考え方があるわよね。
編:痛みをまったく伴わず、ラクして産むっていうことを、親世代はよしとしない人が多そうです。
天:無痛分娩といってもまったく痛みを伴わないわけじゃないのよ。完全に痛みをとるといきむこともできないから、麻酔の量を調節して少しは痛みを残すの。「和痛分娩」って呼ぶ産院もあるわ。
編:じゃあ「私、ちょっと痛みを和らげながら産みますね」って説明すればいいですかね?
天:それだと何を言っているか今いちわかんないよね。
編:ですね…。
天:お産や子育てに関してなんかもそうだけど、「それはダメ」「絶対にこうしなさい」って押しつけがちなのって、相談者のご両親よりももうちょっと上の世代の気がするわ。私の親くらいの年代の方。相談者の親の世代はもうちょっとものわかりがよさそうというか、「若い人たちが納得してうまくやってくれたらいい」って人が多そうだけど。だから、無痛分娩のメリットとデメリットをしっかり説明して、そのうえで「私は無痛分娩を選びました」って正面から話すのがいいと思うけど。
編:無痛分娩にはデメリットもあるんですか?
天:そうね。麻酔で痛みを和らげると子宮の収縮(=陣痛)が少し弱くなることがあるの。それで分娩時の出血が多くなったり、吸引や鉗子分娩のリスクが少し高くなったりといったことはあるわね。それから計画無痛分娩は、自然に陣痛が起こる前に陣痛促進剤で陣痛を起こして、麻酔をして出産するわけだから、赤ちゃんの本来のタイミングじゃないというのもデメリットといえるわね。もちろんいい面もあって、痛みが和らぐ分リラックスして出産にのぞめるし、産後の回復が早いことが多いわよ。
編:欧米では無痛分娩がスタンダードですよね。キャサリン妃が産後7時間でスピード退院できたのも、無痛分娩だったからですよね。
天:そういういい面もあるから、メリットとデメリット両方を話したうえで「私は無痛にしました」って決定事項として話せばわかってくれると思うわよ。産むのは妊婦さん本人なんだからね。
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