安産できる体づくりに欠かせないのは、体の「柔軟性」。柔軟性と筋力、一見バラバラな要素がどうして安産の秘訣なのか、その理由をお伝えします!
※本連載の「おしり筋トレ」を行う際は、妊娠経過にトラブルがない場合に限ります。妊娠週数や体調に合わせて行うようにしてください。 また、かならずしも安産や体の不調改善をお約束するものではありませんので、ご了承ください。
安産のための産道はトレーニングで作る!
お産の時に赤ちゃんが通る「子宮口と産道」には柔軟性が不可欠。陣痛は順調なのに、子宮口がなかなか開かなければ、赤ちゃんは産道を下りてくることができません。すると、出産が長引いて赤ちゃんへの酸素供給が足りなくなり、赤ちゃんが弱ってしまうことに。
スルッと安産できる子宮口と産道を獲得するためには、骨盤底筋群を鍛えるのがベスト。骨盤底筋群は足の付け根を結ぶ、股の部分にある細かい筋肉が合わさっている部分で、産道を周囲から支える筋肉群です。
母体の産道周辺に柔軟性があれば、回旋しながら生まれてくる赤ちゃんの動きに合わせて、スムーズに子宮口が伸びていきます。ここで大切なのは、「伸びっぱなし」は「柔軟性」ではないということ。開くことは、閉じる力があるからできるのです。
陣痛が始まるまでは、子宮口を閉じておく力が弱いと早産につながるかもしれません。また、産後も産道周りの筋肉がゆるいと、尿漏れがなかなか治らなかったり、子宮脱などのトラブルの原因にもなってしまいます。
早産にならないよう「出産までは子宮口は閉めているけれど、陣痛が始まったらやわらかく開くことができる」そんなしなやかで力強い骨盤底筋群を作ることが理想です。
安産産道をつくる「おしり筋」基本トレーニング
前回お伝えした関節をほぐすストレッチで、腕や足のつけねを柔軟にしつつ、今回は筋力アップを目指すトレーニングをやっていきましょう。
腹圧をかけずに呼吸で腹筋トレーニング
初めに、あぐらをかいてすわります。
息を大きく吸いながら、胸をそらすようにします。目線は天井へ、骨盤は前に傾かせるくらいまで、胸からおなかを前方につき出すようにします。
今度は、肺にたっぷり吸い込んだ息をすっかり吐き出します。骨盤を後ろへ傾かせて、背骨を丸くして肩も内側へとまるめこみます。頭を下げて目線はおへその方を見るようにして、肺からすっかり息を吐き出します。
これを自分の深い呼吸のリズムに合わせて、3~5回ほど繰り返します。
【上級者向け】脚を開いて難易度UP!
足を左右に開き、同じように深く呼吸しながら上体を前後にします。体幹が安定しないとバランスが崩れやすくなるので、あぐらでの呼吸トレーニングに慣れてからトライしてみましょう。
おしり筋をダイレクトに鍛える「おしり歩き」
あぐらの姿勢から、足を前方に、手が足先をつかめるギリギリまで伸ばします。背骨はなるべくまっすぐに。上半身はまるめないようにして、視線も足先の少し先の床を見るようにします。
左右どちらかのおしりを前に動かします。足先の位置は固定したままです。
次に反対のおしりを前へ。こうして少しずつでいいので、徐々におしりを足先に近づけます。
あぐらの体勢まで進んだら、今度は反対に、おしりを左右交互に動かして、元の足を延ばした姿勢まで、今度は後ろ方向に進みます。
骨盤周りの筋肉も鍛えられますが、同時に股関節にも柔軟性が出ます。繰り返すうちに、おしりの一歩が大きくなることが感じられるでしょう。
Attention!!注意すること
いずれも、おしり筋を鍛える基本的なトレーニング。妊娠中にできる、腹圧がかかりにくい動きですが、万が一、おなかの痛みや張り、はっきり張っていなくても違和感があるときは、すぐにストップしましょう。もちろん出血は論外です。出血があったら、大至急、かかりつけの病院に連絡しましょう。
妊娠中期以降は、おなかはときどき張ることがあります。トレーニング中はもちろん、それ以外のときでも、まず安静にしましょう。できれば横になって、子宮への血流が落ち着くようにするのがいちばん。状況的に難しいときでも、座る場所を見つけて休みましょう。