新型コロナウイルスが猛威を奮い、かつてないほど菌やウイルスに敏感になった私たちの世界。ただ、行き過ぎた殺菌や消毒は、赤ちゃんが成長してからの免疫力の低下を誘発する可能性も。赤ちゃん時代からいい菌を育てることの重要性について、予防医療コンサルタントの細川モモさんに教えてもらいました。
人は菌なしでは生きられない
消毒・殺菌・滅菌を徹底した生活に慣れてきたママも多いと思います。
ただ、大人の菌を恐れる姿勢に影響されて、子供たちのなかでも「菌=バイ菌」という思い込みが進んでしまっているように感じています。
しかし、菌はこわいものだけではありません。
大人の腸内には、およそ100~1000種類、約1000兆個もの細菌が生息していて、重さにすると1~2kg。
私たちはそれだけ多くの菌とともに生きていて、菌のほうもまた、免疫力を高めて病気にかかりにくくしたり、お通じをよくする、人が体内で生成できないビタミンを生成するなど、私たちの体の中で、さまざまな働きを担っています。
「菌」は人が生きていくうえでとても大切な存在なのです。
行き過ぎた「殺菌」は逆効果。正しく知って、正しく恐れて
このように、人に有用な菌も多く存在しますが、行き過ぎた殺菌は、それらの有用な菌も殺してしまう可能性があります。
もちろん、食中毒などを引き起こすのも同じ「菌」の一種。そういった菌を恐れることは間違いではありません。
体にいい菌は何なのか、どのような菌が人体に有害なのか、正しく理解することこそが、何よりも重要です。
3才までの赤ちゃん腸活は、80年先まで有用
じつは、大人になってから菌を体内に取り込んでも、ほとんどの菌は定着せずに、便として排出されてしまいます。
腸内細菌にはさまざまな働きがあり、太るのを防いだり、食べ物を女性ホルモンに似た物質に変えたり、インフルエンザなどの発症リスクを下げたりしますが、それらの菌を生涯の防護力として授けてあげられるかは、3才までにおおむね決まってしまいます。
では、よい菌を定着させてあげるには、どうすればよいのでしょうか。