帝王切開の術後の傷は、いつまで、どんなふうに痛んで、どんな過程を経て治っていくのでしょうか? 退院後に傷の痛みがつらいときについても、産婦人科医の小川隆吉先生に詳しく教えていただきました。
帝王切開とは、どういった手術なのか知りたい
帝王切開とは、妊娠中の母体か赤ちゃんに何らかの問題が生じて、経腟分娩(通常のお産)が難しいと判断される場合に、麻酔をし、開腹手術で赤ちゃんを取り出す方法です。現在の日本では、約20%の妊婦さんが帝王切開で出産しています。
帝王切開には、予定帝王切開と緊急帝王切開があります。
予定帝王切開
骨盤位(さかご)や、胎盤が子宮の出口をふさいでいる前置胎盤など、通常の分娩を行うにはリスクがあると妊娠中に判断された場合に、あらかじめ出産日(手術日)を決めて行うことを予定帝王切開といいます。陣痛がくる前に行う必要があるため、一般的に妊娠37~38週以降に設定されることが多いです。
緊急帝王切開
通常の分娩の予定であっても、分娩中に赤ちゃんと母体の両方、あるいはどちらかに予期しなかった緊急事態が発生した場合に行われるのが緊急帝王切開。例えば、出産の前に胎盤が急にはがれてしまったり(胎盤早期剥離・たいばんそうきはくり)、赤ちゃんの心拍数が異常だったり(胎児機能不全・たいじきのうふぜん)、陣痛開始後に分娩の進行が止まってしまった場合などです。
原則として、帝王切開は、「経腟分娩では赤ちゃんを安全に産むのが難しい」と診断された場合に行われるものです。出産の痛みが怖いからと、帝王切開を希望しても、医学的に帝王切開にする必要性がないのに手術することはおすすめできません。どうしても痛みが怖いなら、無痛分娩を選ぶことを考えても。