この記事は、赤ちゃんの鮫肌についてまとめたものです。「赤ちゃんの肌はツルツルで気持ちいい」と思っていたのに、なんだかザラザラしてる! そんな経験をしたママも多いのではないでしょうか。実は赤ちゃんの肌はとても乾燥しやすいため、特に寒い時期にはトラブルが起こりやすいのです。赤ちゃんの肌がザラザラする原因や、ザラザラしていたら薬を使っていいのか、どうすればきれいな肌になるかなどについて、ドクターに教えてもらいました。
赤ちゃんの鮫肌とは、どんな状態?
鮫肌とは、肌がザラザラしている状態を指します。特に見られやすいのは露出している手足や、背中などの水分や皮脂が少ない部位です。
カサカサしていたり、粉をふいたような単なる乾燥した肌とも違い、触ってみるとざらついた感触があって、赤みはありません。もし肌に赤みがあってブツブツしていたら、それは鮫肌ではなく、湿疹です。
鮫肌という名前は、鮫やエイなどの魚の背中側の皮をはがして乾燥させたものの表面がザラザラしていることに由来します。この皮は、刀の柄の滑り止めや剣道の防具、おろし金、やすりなどに使われています。
鮫肌は鳥肌ともいわれることがあり、アトピー性皮膚炎の素因を持っている場合に現れることが少なくありません。鮫肌がより深刻な肌トラブルに移行しないように、きちんとケアをしてあげましょう。
赤ちゃんの肌がザラザラしていたら早めにケアを
鮫肌の特徴
・肌に赤みがなく、触ってみるとザラザラしている
・手足や背中などにできやすい
・アトピー性皮膚炎の素因を持っている場合に多く見られる
赤ちゃんの鮫肌、体験談をご紹介します
赤ちゃんの肌がザラザラしていると、治るのかしらと心配になってしまいますね。鮫肌に気づいたママはどうしたのでしょうか?
症状が軽かったためか、保湿を始めたらすぐに改善
生後8ヶ月ごろ、入浴中に子どもが少し太ももを引っかいていました。「見た感じでは何もないけどな」と思って触ったら、ザラザラしていました。インターネットで調べてみて「鮫肌かもしれない」と思い、かかりつけ医を受診。「乾燥のせい」と言われました。肌が弱く、生後2ヶ月ごろに「乾燥しているから」と処方された保湿剤をずっと使っていたのですが、このときも同じ保湿剤を出してもらいました。それほどひどくなかったこともあり、入浴後にいつもの倍の量をたっぷり使うようにしたら、すぐによくなりました。
赤ちゃんの鮫肌の原因は?
モチモチしているというイメージがあり、広告で「赤ちゃん肌になる」などと言われるほど理想的と思われがちな赤ちゃんの肌ですが、実はとても乾燥しやすいという特徴を持っています。
その理由は以下の3つです。
1.肌の厚みが大人の約半分だから
肌は外側から表皮、真皮、皮下組織の3層になっています。表皮は、水分が体の外に出るのを防ぎ、同時に外からの刺激を防ぐ働きをしています。
大人の表皮の厚さは約0.2㎜ですが、赤ちゃんの表皮はその半分ほどの厚みしかありません。そのため、肌を守るバリア機能も大人に比べて十分でなく、刺激に弱いのです。
2.角質が薄くて水分が失われやすいから
体内の水分をキープしているのは、表皮の一番外側にある角質です。赤ちゃんはその角質も大人より薄く、また角質に水分を保っておくための保湿因子が少ないため、水分が失われやすく、すぐに乾燥してしまいます。
乾燥しやすい冬は大人の肌にとっても天敵ですが、赤ちゃんは冬だけでなく湿度の高い夏でも、キープできる水分量が大人の半分以下しかありません。
3.皮脂の量が少ないから
角質の外側を覆っている皮脂には水分の蒸発を防ぐ役割があります。赤ちゃんは、生後2ヶ月ごろまではママからのホルモンの影響で皮脂分泌が盛んですが、3ヶ月以降は皮脂の量がグンと少なくなり、10歳ごろまでは皮脂量が大人の約3分の1しかないため、水分が蒸発しやすいのです。
赤ちゃんの肌はこのような3つの理由によって乾燥しやすく、バリア機能が低下しやすいため、肌がザラザラしやすいのです。
赤ちゃんの肌は大人に比べて薄く、乾燥しがちです
赤ちゃんの鮫肌 ザラザラしたときの対策は?
赤ちゃんの肌がザラザラしているときは、まず「清潔にして保湿する」という基本のスキンケアを心がけます。そのほかの肌トラブルを予防するためにも、ザラザラしている部分だけでなく、全身をケアしてあげましょう。
赤ちゃんの汗腺の数は大人と同じですが、体が小さいため、その分汗っかき。寒い時期でもすぐに汗をかくので、肌が汚れやすいのも特徴の1つです。汚れた肌に保湿をしてもケア効果は得られないので、1日1回はお風呂に入り、肌を清潔に保ちます。
入浴時は、石けんを使って汚れを取り除きます。ガーゼやスポンジでこするのは刺激になるのでNG。石けんをよく泡立てて、手でやさしく洗ってあげます。
石けんはしっかり泡立てる。
ザラザラが気になる場合は、朝起きたときや汗をかいたあとなどにも、保湿してあげるといいでしょう。その際は、必ずきれいにふいてから保湿してください。
肌への刺激を避けることも大切です。洗うときにこすらないことはもちろん、衣服にも気をつけます。
赤ちゃんの肌着は、肌に縫い目が当たらないように、縫い目が外側になるように作られています。肌着を着せずに直接衣服を着せると、衣服の縫い目が肌に当たって刺激になってしまうので、必ず肌着を着せましょう。素材は、刺激の少ない綿がおすすめです。
入浴後は急激に肌が乾燥するため、5~15分以内を目安に保湿剤を塗ります。保湿剤は1円玉ぐらいの量を手のひらに出し、大人の手のひら2枚分の範囲に、のせるような気持ちで広げていきます。
ローションや乳液の場合は、1円玉大の量をこの範囲に塗る。
露出しがちな手足はザラザラしやすいので、お散歩や買い物から帰ったあとは、手を洗ったり、足をふいたりしてから、しっかり保湿してください。
ザラザラ対策の基本は、「清潔にしてから保湿」
・1日1回は入浴して、赤ちゃんの体の汚れを落とす
・入浴時は石けんをよく泡立てて、やさしく手で洗う
・気になる場合は、起床時や汗をかいたあとも清潔にしてから保湿する
・肌への刺激を避ける
・衣服は、必ず肌着を着せてから着せる
・入浴後5~15分以内を目安に保湿剤を塗る
保湿剤の塗り方
どのぐらいの量を塗るの?1円玉大を手のひらに出し、大人の手のひら2枚分の範囲に広げる
どんなふうに塗るの?すりこまず、のせるような気持ちで薄くのばす
保湿剤を塗りたい範囲に等間隔に置いてのばす。
赤ちゃんの肌を乾燥から守るためには、環境をととのえることも効果的です。特に冬は乾燥しやすいので、室温を上げすぎないように注意したいところ。室温は20~22度ぐらい、湿度は50%ぐらいを目安にしましょう。加湿器を併用して乾燥を防ぎます。
日常生活でも乾燥に気をつけて
・冬の室温は20~22度ぐらい、湿度は50%ぐらいを目安に。
・湿度が低くなってしまう場合は加湿器も併用
赤ちゃんの鮫肌は治る?
きちんとスキンケアをしていれば、肌がザラザラした状態は1~2週間ほどで治ります。毎日スキンケアをしていても治らない場合は、鮫肌ではなく「魚鱗癬」などの病気の可能性があります。
魚鱗癬は、肌が乾燥して魚のうろこ状になる病気で、アトピー性皮膚炎との関係が強いことがわかっています。生後2ヶ月以内に症状が出ることが多く、湿度の高い夏は症状が軽くなり、乾燥する冬になると悪化するという特徴があります。
正しいスキンケアをしていて2週間たっても良くならない時は、皮膚科を受診したほうがいいでしょう。
単なる鮫肌ではないこともあるので注意!
・魚鱗癬という病気の場合もある
・スキンケアをして2週間たってもよくならなかったら受診を
赤ちゃんの鮫肌に薬は必要?
肌がザラザラしているだけなら、薬は必要ありません。毎日、「清潔にしてから保湿する」基本のスキンケアを続けていれば大丈夫です。
もし、スキンケアを続けて2週間たっても良くならない場合は、前述のように病気の可能性もあります。自己判断で薬を使わずに、受診して肌の状態に合った薬を処方してもらいましょう。
肌に赤みとブツブツがある湿疹の場合も、肌を清潔にして保湿するケアが基本ですが、湿疹を治すためには保湿剤だけでなく炎症を抑える薬が必要です。すぐに受診して薬を処方してもらいましょう。
・鮫肌であれば、薬は必要なし
・2週間ケアを続けてよくならなかったら、自己判断で薬を使わないで受診を
・肌に赤みがあってブツブツしている湿疹の場合は、スキンケアだけでは治らないので、すぐに受診して薬を処方してもらう
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