助産師の経験を活かしながら、“性教育YouTuber”として、動画配信をはじめ、講演活動などに取り組むシオリーヌさんに性教育やジェンダーについてお聞きする企画。第2回目の今回は「ジェンダーやLGBTQ」についてです。
「女らしさ」「男らしさ」に違和感を感じる子どもも
今年の春、横浜市立みなとみらい本町小学校のジェンダー理解促進プロジェクトに関わりました。
「主体的に自分らしい生き方ができる世の中を作るには、どうしたらいいか?」をテーマに子どもたちと話し合いをすると、周囲の大人から「男らしく」「女らしく」と言われて嫌な思いをしたという子どもたちが想像以上に多かったんです。
この日本で育ってきて、「女らしさ」「男らしさ」が刷り込まれていないほうが無理だとも思っています。でも、親はもちろん、学校の先生たちも悪気なく言っていても、実際子どもたちは違和感を感じているんですよね。
私は赤いランドセルを小3で背負わなくなり、デニムのリュックを愛用していました。さらにスカートは嫌だったので、ジャージーのズボンを履いて、髪型はショートカット。黄色の帽子も好まず、兄のおさがりの野球帽を被って。
そんな私に親は何も言わないどころか、「ランドセルを背負うのが嫌だ」と伝えたら、「じゃあ、リュックを買いに行こう」と言ってくれて、子どもの選択を尊重してくれました。
人間の尊厳は侵害してはいけない…それは昔も今も当たり前のことですが、そのことがようやく課題として問題提起される時代になってきたのだと思います。
「なんでも差別と言われてしまいそうで発言するのが怖くなる」などの言葉を耳にすることもありますが、「どこがいけなかったのか教えてほしい」と言えること、そして常に、「自分の中にも偏った部分があるんだろうな」と認識することが大事なのではないかなと思います。
子どもがLGBTQだったらどうすればいいか問題
調査結果によって違いますが、7~8%くらいの比率でセクシュアルマイノリティ(性的少数派)の方がいることが分かっています。
時々、「もしわが子がLGBTQだったらどうすればいいですか?」という相談も受けます。
子どもからのカミングアウトを不安がる親御さんは、本人を責めるというよりは「どう対応したらいいかわからない」という戸惑いが大きいように感じます。
もしお子さんが自分から話してくれたら、「話してくれて、ありがとう。今、何か困っていることはない?」だったり、更衣室やトイレを使うのに抵抗を持っているようなら、「安心して使える場所を確保してもらえるか先生に聞いてみようか?」だったりの返答が、子どもが安心できるひとつの選択肢になりうると思います。
今の社会は“多数派”が生きやすいという構造なので、少数派であるLGBTQの人たちが苦労しているのだと思います。でも、それは本人ではなく社会のせい。
LGBTQの方と社会制度の話をしたとき、同性婚ができない、生殖腺を変えないと戸籍が変えられないといったことを聞きます。その度に理不尽だなと感じます。
だから私自身も、同性婚推進のアクションに賛同するなどをしていますが、今後も自分にできることは積極的にしていきたいと考えています。
〈PROFILE〉シオリーヌ
●大貫詩織。
助産師兼性教育YouTuber。1991年、神奈川県生まれ。神奈川県立保健福祉大学看護学科卒業。総合病院産婦人科、精神科児童思春期病棟にて勤務ののち、現在は学校での性教育に関する講演や性の知識を学べるイベントの講師を務める。著書に『CHOICE 自分で選びとるための「性」の知識』(イースト・プレス)『こどもジェンダー』(ワニブックス)、『やらねばならぬと思いつつ〜超初級 性教育サポートBOOK〜』(ハガツサ ブックス)。新著は『産んでくれなんて頼んでないし』(イースト・プレス)、『食べるの怖いな』(ハガツサ ブックス)。
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