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先進国の中で最も孤独感が強いとされる日本の子どもたち。私たち大人は、子どもからの孤独のサインにどのように気づいてあげられるのか。また子どもに孤独を感じさせないためにできることは?「尾木ママ」の愛称で子育て世代からも親しまれる、教育評論家の尾木直樹さんにお話を伺いました。
―――「日本の子どもは先進国の中で最も孤独感が強い」という調査結果があると聞きました。15年前と比べて「孤独感」はさらに強くなっていると思われますか?
「そうですね、孤独感は強烈に強くなっていると思います。2007年に発表されたユニセフのレポート(※)によると、子どもに『孤独を感じることはあるか』と質問したところ、『はい』と答えた割合は29.8%と日本の子が一番多いんです。しかも2位のアイスランドの10.3%の約3倍と突出しています。今はさらに子どもたちの孤独感が強くなっていると考えられます。
というのも、国立成育医療研究センターがコロナ禍以降、子どもの精神状況の調査をしているのですが、72%もの子どもがストレスを感じていることがわかっています。一方で、ストレスを感じていると答えた大人は63%。子どものほうがよりストレスを感じているんですね(第2回調査)。
ストレスを感じているということは、そこには当然孤独感もあるでしょう。それを証明するかのように、日本では子どもの自殺者数が過去最多となっています。
2020年度の文部科学省のデータでは、2020年度の子ども(小・中・高校生)の自殺者数は415人。コロナ前の2019年度は317人だったので、31%も増えています。
新型コロナウィルス感染症による影響が、子どもたちの孤独感をさらに増大させ、心をむしばんでいるということがわかります」
※経済開発協力機構(OECD)加盟25か国を対象に「自分を孤独だと感じる」と回答した15歳の子どもの割合を示したもの。
―――コロナ禍での生活変化で、子どもの孤独感は増したのですね。
「コロナ禍の生活が子どもの孤独感を大きくしたことは想像に難くありません。コロナ禍になってすぐの頃は全国の学校が休校になり、ステイホームを余儀なくされました。
およそ3ヶ月後に学校が再開されてからも、入学式や卒業式、運動会といった行事がなくなり、給食も黙食になるなど、すっかり生活様式が変わってしまいましたね。
学校外でも、公園の遊具が使用禁止になったり、友だちと密に遊んだりスポーツをしたりする機会も様々に制限されました。国立成育医療研究センターの調査(第7回)では、コロナ禍になってから『子どもの外遊びの機会がない』と答えた人が65%もいます。
一方で、その裏返しとして、以下のような調査結果も出ています。
・テレビやタブレット・スマホを見る時間が長い…48%
・同世代のこどもと触れ合う機会が少ない…69%
・同居家族以外の大人と触れ合う機会が少ない…79%
これらのことからも、子どもたちがコロナ前とはまったく違う厳しい状況におかれていることがわかります。
子どもが健やかに成長するためには、本来、密になったり、大きな声を出したりという経験は欠かせないこと。それらがすべて今までとは変わってしまったのですから、子どもの心に影響が出てくるのは当然のことなのかもしれません」
取材・文/佐藤真紀 ※記事の内容は2022年11月時点のものです