整理収納アドバイザーの山田明日美です。中1の女の子と小3の男の子、2児の母です。
もし「お子さんに発達障がいがあります」と言われたら、あなたはどうしますか。私は、子どもが発達障がいであると診断されてから今まで、いろんな葛藤と出来事がありました。
5回にわたって、リアルな親の心境や当時の状況をつづります。最終回は、小学校入学から現在、今思うことについてお伝えします。
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絶望の淵から希望へ…。発達がゆっくりな息子が教えてくれたこととは?【息子が発達障がいと診断されて #4】
不安を抱えながらも小学校入学へ
小学校へ入学した息子は「普通級」の在籍となりました。3年前、保育園に入園した当初は嫌がって毎日泣きながら登園していたので、何か不安に感じてはいないかな?と少し心配していました。
が、保育園で仲の良かったお友達がほとんど同じ小学校に入学することもあり、また会えるし遊べると楽しみにしている様子。まずはホッとしました。
ちょうど入学前に、コロナウィルスの感染が広がり、入学式の翌週から休校に。息子は新しい環境に慣れるのに時間がかかるため焦りましたが、学校再開後はみんな同じ状況だったこともあり、日を追うごとに学校に慣れていきました。
学習で遅れをとってしまうのでは?という懸念についても、幸いなことに問題なし。入学前の1年間、週1回の療育で、ひらがなと数字の考え方を教えてもらっていたことが功を奏したようです。
新たな支援サービスで世界がさらに広がった
一方で、入学後は新たに「放課後等デイサービス」を2軒利用。週3回、学習支援を受け、社会スキルを少人数で学ぶことになりました。
(※放課後等デイサービスとは、発達に何らかの障がいや特性を抱えている小中高生の子どもに生活や学習などの支援を行う場所のこと)違う学年のいろんな特性を持った子が集まるので、人とのかかわり方を学んだり、状況に応じた対応の仕方を先生に丁寧に教えてもらうことができるのが放課後等デイサービスの大きな特徴です。
そこで積んだ経験は、大人数で集団生活を送る学校生活にも大いに生かせたようで、クラス担任の先生から「お友達と仲良く遊べています」「授業もついていけているようです」と個人面談で伝えてもらい、ひと安心。何より息子本人が楽しそうに毎日通学している様子を見て、しみじみ嬉しく感じました。
通っていた放課後等デイサービスは、施設から自宅まで送迎してくれるので、働く親にはとても助かりました(送迎の有無は施設によって異なります)。また、夏休みなどの長期休み中も利用できるのが大きなメリットです。
学校や自宅での息子の様子
入学前は勉強についていけるのか、クラスメイトの中でうまくやっていけるのか心配ばかりしていましたが、こうした様々なサポートのお陰で、大きなトラブルもなく学校生活を送ってくることができました。本当にありがたいと思っています。
息子は現在、3年生。1年生の時から通っていた通級指導教室(※)も、この1学期に卒業となりました。
※比較的障がいの軽い子どもが、通常の学級に在籍しながら、その子の特性に合った指導を受けるため、特別に設置した教室に週に何時間か通うもの。1年生の途中からは、地元のスポーツ少年団にも入部。体力や理解力がどうかなという心配もありましたが、夫がほぼ毎回付き添い一緒に練習することで、ケガもなく楽しく野球を続けています。
とはいえ、1つやったら1つ忘れる息子。結果的にやりっぱなしになることも多々あるので、次の動作に移るときに声掛けをする必要はありますが、自分の食器洗い、玄関掃除や自分の部屋の掃除機かけなどは、言われなくても一人でこなせるように。
また、それ以外のことも、「これはどうする?」「どうしたら忘れないかな?」と一つひとつ話し合って決めていくことで、少しずつできることが増えてもいます。
人とはペースが違うけれど、息子がここまで成長できたのは、学校や役所や施設など、多くの方々の支援があったからこそ。
もし、「この子はちょっと周りと違うかも…」と感じることがあれば、ぜひ早めに自治体の子育て支援サービスに相談してみてください。1人で思い悩むより、たくさんの人に関わってもらった方が次に進む道が早くわかり、親としての心の安寧も得られますよ。
「発達障がい」について今思うこと
「息子さんのことを記事にしてみませんか」と編集部からお話をいただいた時、はじめはお断りするつもりでした。正直なところ、私自身は今も、息子が発達障がいであるという現実を乗り越えたわけでも、前向きに考えられるようになったわけでもありません。将来に対する不安も当然あります。
一転の曇りもなく、「違いを受け入れる」「ありのままでいい」と思えるようになることは、私の人生が終わる時まで続く“宿題”なんだろうなと思います。人によっては、一生受け入れられないものかもしれません。
6年前、息子に発達障がいの診断が下り、明け方まで救いを求め、ただひたすらネットを検索していた時のこと。目を覚まし起きてきた夫に、「大丈夫?」と声をかけられました。私が涙を流しながら、「どうしても受け入れられない。母親なのに。苦しい」と告げると、「…そうだよな」と言って、夫も肩を震わせ泣きました。
内心では、「泣いてる場合じゃない。母親なんだからしっかりしろ」などと言われるのでは、と思っていたのですが、夫は私の気持ちを受け止め、共感し、一緒に涙を流してくれたのです。辛い時期ではありましたが、そんな夫の言動に救われたと思います。
発達障がい児のママに話を聞くと、中には夫や家族から「障がいなんて気のせいだ」「子どもを障がい者にしたいのか」「周りから発達障がいがあることを噂されたくない」…などと言われる家庭もあるようです。
それは発達障がいに対する偏ったイメージがあるからかもしれませんが、「普通」を望む気持ちが誰にでもあるのは否定できない事実でしょう。
でも…「いったい普通ってなんだろう」というところにいつも行きつくんです。答えが出ないまま記事にしていいのかと思っていましたが、もし今、以前の私と同じようにお子さんのことで苦しんでいる親御さんがいたら、「そういう自分でもいいよ」と伝えることが私の役目なのかなと思い、原稿をお受けすることにしました。
この6年間、たくさん涙を流したし、悲しんだり辛いと感じたり喜んだり…その時々で私の気持ちは大きく揺れ動いてきましたが、「そんな自分でもいい」「辛い時、困った時には、声に出していい。誰かを頼ってもいい」と思えたことが一番大きな変化だったかもしれません。
一方で、絶対に変わらなかったことがあります。それは、子どもたちへの「生まれてきてくれてありがとう」という思い。子どもにも「生まれてきてよかった」と思ってもらえるように、親として全力でサポートし環境を整え、微力ながら彼らが“生きやすい世界”にできたら、と思っています。
この記事を読んでくださっている方が、少しでも心が軽くなるきっかけになりましたら嬉しいです。5回にわたりお読みくださりありがとうございました。
※記載した情報は当時のものであり、自治体によって福祉サービスが異なる場合がございます。発達相談など地元の子育て支援に関する情報をご確認ください。最初から読む⇒⇒⇒
嘘でしょ!息子が「発達障がい」?私が悪いの?これからどうしたらいい⁉【息子が発達障がいと診断されて#1】文/山田明日美
<整理収納アドバイザー。女の子と男の子の2児の母。自身の体験をもとに子育てや片付けに関するアイデアを中心に執筆中。>