「胎教」と聞いて、どんなイメージをもちますか?胎児期からの超英才教育?クラシック音楽を聴くこと?天才児の育成?「ママやパパの愛情を赤ちゃんに伝えることこそが最良の胎教」と言う、長年〈胎内記憶〉の調査・研究を続けてきた産婦人科医の池川 明先生に、胎教についてお話しをうかがいました。
胎教は、ママが赤ちゃんに「大好き」を伝える最初のコミュニケーション
胎内記憶の調査・研究を続けてきたことで、「胎児はおなかの中でママやパパの愛情や不安をダイレクトに感じている」と確信しています。
胎児期に親の愛情を実感できた赤ちゃんは、誕生直後から落ち着いています。お母さんもそうですね。赤ちゃんを常にイメージしていたので、出産後も〝ああ、こうしてほしいんだな〞と理解しやすい。子育てが上手になるんです。
フィンランドの調査では、出産直後のママの幸福感が、子どもの神経発達、運動能力発達、社会性の発達に大きくかかわっていることがわかっています。
胎教は妊娠に気づいたら始めて、赤ちゃんへの愛情を実感してください。いいことがいっぱいありますよ。
【胎内記憶とは?】「おなかは暗くてあたたかかった」「水の中に浮かんでたよ」。そんな胎内記憶を語る子がいます。池川先生の2002年の調査では、0~6歳の1620人中、約3割の子に胎内記憶、あるいは誕生時記憶があることがわかりました。言葉が話せるようになって間もない2~4歳児に多く見られたそうです。
「将来、お子さんが胎内でのことを語り始めたら、正しいか正しくないかの検証は後回しにして、じっくり聞いて楽しんでください。めったにない貴重なチャンスですよ」(池川先生)
胎教の効果①ママがリラックスして赤ちゃんを思いやれる
胎教の基本はリラックス。初めての出産はとくに緊張や不安が強いものですが、おなかの赤ちゃんを意識することで落ち着き、出産のときも「いっしょにがんばろう」と思えます。
胎教の効果②赤ちゃんがママの思いを受けとめて安心できる
ママがリラックスすることで血流やホルモンの分泌が安定するので、赤ちゃんの胎内環境がよくなります。ママやパパのやさしい声を聞けば、愛情を実感できるかもしれません。
おなかの赤ちゃんに、話しかける・問いかける!
赤ちゃんと話すことでママの気持ちもラクになる
胎教といわれても、具体的に何をしたらいいのでしょうか。それは、おなかの赤ちゃんに聞けばいいのです。
胎児との会話は「イメージする力」があれば誰でもできます。ママがリラックスした状態で赤ちゃんに深く意識を向けていると、赤ちゃんの声や希望がイメージとして浮かんでくるのです。それってママの勝手な思い込みでは?と思うかもしれませんが、思い込みをしたからといって、何か問題があるわけではありません。
おなかの赤ちゃんをイメージするとき、お母さんはとてもリラックスして自分の体と深く向き合っています。もし赤ちゃんが「ママ、最近元気がないよ。もっと外に出ようよ」と言ってくれたと感じるなら、それは自分の体からのメッセージでもあるかもしれません。
「ママ、大好きだよ」という声が聞こえたなら、それだけでつらいつわりを乗り越えられるかもしれない。赤ちゃんの「言葉」を聞くことで、自分自身がラクになったという人はとても多いのです。
胎教ポイント①ママが十分にリラックスする
赤ちゃんとの会話は、リラックスできる環境でするのがいちばん。好きな音楽をかけたり、アロマをたいたり。話しかけるときには、声を出しても出さなくてもやりやすい方法でいいのです。
胎教ポイント②手のひらに赤ちゃんのせたイメージで
おなかに向かって語りかけると「上から目線」になりがちなので、手のひらの上に赤ちゃんをイメージして話すのがおすすめ。小さなお人形などをのせるとイメージしやすくなります。
胎教ポイント③赤ちゃんを一人の人として尊重する
一方的に話すのではなく、「お話ししませんか?」「そろそろおしまい。また話そうね」など、赤ちゃんを尊重して会話しましょう。おしゃべりの内容はなんでもOKです。
胎教ポイント④「○○してね」ではなく「何してほしいの?」
胎児に話しかける場合、「元気で生まれてきてね」とか「逆子にならないで」など、してほしいことを伝えることが多いですが、赤ちゃんの気持ちを聞くことでイメージがふくらみます。
パパの話しかけはトランシーバー方式で
パパが話しかける場合には、まず右手をママのおなかにあてて話しかけ、次に左手をあてて赤ちゃんの言葉を聞き取ります。気の流れは右手から左手に向かうので、トランシーバーのように片方ずつあてて問いかけと聞き取りを。
音楽は赤ちゃんといっしょに楽しもう!
胎教にいい音楽よりもママが大好きな曲を
クラシックやオルゴール曲などを聴くと、α波と呼ばれる脳波が出やすいといわれます。α波はリラックス時に出るので、ママと赤ちゃんのリラックスにも役立つと考えられています。
ですが、α波にこだわらず、どんな曲がいいかは赤ちゃんに聞いてみましょう。部屋に音楽を流しながら、「この曲は好きですか?」と赤ちゃんに問いかけてみてください。
ロックが好きな子、ヒップホップが好きな子、特定のアイドルグループの曲が大好きという子もいます。赤ちゃんがイヤがらなければ、ママの好きな音楽を聴くのがおすすめです。
クラシック音楽が苦手なママが無理にそれを聴いても、ストレスがたまって赤ちゃんにいい影響は与えません。ママが好きな曲を聴いてリラックスすれば、赤ちゃんも心地いいはずです。
聴力の発達する時期は生後4ヶ月以降ですが、時期にこだわる必要はありません。妊娠に気づいたらすぐ始めましょう。
赤ちゃんにはたらきかけてみよう!
胎動は何かのサイン?イメージ力が大切です
妊娠中期や後期になってよく動くようになったら、赤ちゃんとの実際のふれあいややりとりも楽しめるようになります。この時期は〈イメージ力〉が大事です。
たとえばパパや上の子が、おなかに手をあてたり、ほおずりしたりしたときに、おなかの中でムニュッと動いたとしますね。そしたら「手をつないでくれた!」「ほおずりしてきた!」といっしょに喜びましょう。イメージがふくらめばふくらむほど絆が深まりますよ。
赤ちゃんが動いたとき、ママがはたらきかけてその反応を楽しむ遊びもできるようになります。キックゲームがおすすめです。反応があれば楽しいし、なくても「今はお昼寝中なのかな?」などと考えればいいのです。
赤ちゃんが生まれても、しばらくは言葉でのコミュニケーションはできません。泣き声や表情をママが読み取って予測しながらお世話をするのです。今はその準備期間なのかもしれませんね。
キックゲームをしてみよう
①赤ちゃんがキックした同じ場所をポン胎動で赤ちゃんがおなかをけったら、同じ場所をママもポンとたたいてみましょう。
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②今度はママのほうから「キック!」今度は別の場所をママからポンとたたきます。同じ場所をけり返したら大成功。ほめてあげて。
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③今度は2回ポンポン。返事はあるかな?次は2回続けてたたきます。赤ちゃんの反応は?反応がなくても気楽に楽しんでくださいね。
「私も胎教しました」先輩ママ体験談
上の子がつけた胎児名は「ハチミツ」
上の子が「ハチミツちゃん」と名づけ、妊娠7ヶ月ごろから語りかけました。上の子には胎内記憶があるようで、「弟と遊んでたらママが呼んだので、私が先に来た」と言っています。(香織さん)
お姉ちゃんの声が大好き!
妊娠5ヶ月ごろから、家族みんなで「赤ちゃんおはよう」など普通に話しかけました。お姉ちゃんの声をよく聞かせたせいか、今でもお姉ちゃんの声を聞くとニコニコします。(景子さん)
大好きな嵐を聴いて息子も大好きに!
胎教とは意識しませんでしたが、大好きな嵐の曲をいつも聴いていました。生まれた息子は嵐の曲を流すとピョンピョンと踊り出します。(揚子さん)
歌詞に感動して涙がポロリ…
MINMIの『キセキ』は、赤ちゃんに語りかけるような歌詞が大好きで、自分でもおなかにむかってよく歌っていました。感動的な歌詞にいつもホロリ。この曲を聴くことで出産にむけての心構えもできたと思います。(祐佳さん)
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