子どもがネガティブな言葉を発したとき、親はどんな「声かけ」をすればいいのでしょうか?困難に負けない子どもに育てるための声かけの具体的ポイントを、日本ポジティブ教育協会代表理事の足立啓美さんが監修する書籍『子どもの心を強くする すごい声かけ』からご紹介します。
大事な試合や受験で失敗してしまい、落ち込んでいるとき
【NGな声かけ】●「そんなクヨクヨしないの!」
●「大丈夫よ、全部うまくいくことなんてないんだから」
●「なんで、できなかったの?努力が足りなかったんじゃないの」
【OKな声かけ】●「これまでよくがんばったね」
●「くやしいね。うまくいかないことってあるよね」
●「今回はうまくいかなかったね。うまくいくにはどうしたらいいかな?」
くやしい気持ちを受け止め、自信を育てる声かけを
受験や大事な試合がうまくいかなかったときなどは、それが人生の中で大切な出来事であればあるほど、子どもは落ち込みます。それだけがんばってきた、ということですから、落ち込みや悲しみを感じることは当然のことです。
ただ、「自分はバカだ!」「人生もう終わりだ」と自分を責め続けてしまうことは、そのつらさを乗り越える役には立ちません。つらさや悲しさを感じていることを受け止め、自分自身に思いやりの気持ちを向けられる力こそが、困難を乗り越える力となるのです。
共感的な表情と声のトーンで声かけを
とはいえ、子ども自身がネガティブ感情をうまく受け止め、自分をいたわることは、まだ難しいでしょう。そこで、周りの大人が「つらいよね」「よくがんばったよ」「大事なことがうまくいかなくて、くやしいね」と、共感的な表情と声のトーンで伝えてあげてください。
子どもは、周りの大人が自分に接してくれた方法を、自分の中にとり込んでいくものです。徐々にネガティブ感情を受け止めたり、がんばった自分をいたわることが、自分でもできるようになるでしょう。
〈マインドセット〉が声かけのヒントに
そのうえで、子どもの可能性はまだまだ伸びる、ということを伝える声かけもしていきましょう。そのヒントとなるのが、「マインドセット」です。
個人の行動や態度を決定する物事のとらえ方「マインドセット」は、親が子どもの失敗や挫折にどのように対応するかが、大きく影響することがわかっています。
(出典:TWO MINDSETS, Carol S.Dweck,Ph.D.Nigel Holme)たとえば、子どもが失敗したとき、親が「大丈夫。全部うまくいくことなんてないよ」と失敗した出来事を軽視したり、「こんなに簡単なのになんでまちがえたの!?」などと大げさに反応したりすると、「あなたには達成できる力がない」というメッセージを送ることになります。すると、子どもは「この先も能力やスキルを伸ばすことはできない」という信念を心に刻みます。
「できるか・できないか」ではなく「失敗は成功のもと、ここから何が学べるか?」が重要
一方で「今回はうまくいかなかったね。次にうまくいくにはどうしたらいいかな?」「失敗は成長にはつきものだよ」という声かけは、「失敗は子どもの能力をあらわすものではなく、これからずっと失敗し続けるわけでもない」というメッセージを子どもに与えます。すると、子どもは「これから能力を伸ばして成功することもできる」と認識できるようになるのです。
親は、子どもの能力や「できるか・できないか」に注目するのではなく「失敗は成功のもと、ここから何が学べるか?」という姿勢を大切にしたいものです。
逆境に負けない力を育てる『子どもの心を強くする すごい声かけ』
『子どもの心を強くする すごい声かけ』1,540円(主婦の友社)
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