子どもがネガティブな言葉を発したとき、親はどんな「声かけ」をすればいいのでしょうか?困難に負けない子どもに育てるための声かけの具体的ポイントを、日本ポジティブ教育協会代表理事の足立啓美さんが監修する書籍『子どもの心を強くする すごい声かけ』からご紹介します。
「どうせ無理」と言って挑戦しようとしないとき
【NGな声かけ】●「できる、できる!!がんばって!」
●「そうやってやる気がないからダメなんだ」
【OKな声かけ】●「今できることをやってみよう!」
●「まずは一つやってみよう」
●「今日は5分だけやってみようか」
大きな目標を小さく分割!成功体験を積み重ねよう
何か新しいことに挑戦する前から「自分には、どうせできないから…」とあきらめるような言葉を子どもから聞くことがあります。親にとっては残念な気持ち、励ます気持ちから「大丈夫だよ!きっとできるから、やってみなよ!がんばれ!」と励ましたくなりますね。
しかし、本人から見たとき大きすぎる目標に思えたら、「自分には到底無理」と思うのは当然かもしれません。慎重さや思慮深さといった特性がある子は、なおさらその傾向があるでしょう。
そんなときには、その子が「それならできそう」と感じられる、最初の一歩を設定してあげることをおすすめします。最終的な目標に近づく小さな一歩を設定して、「まずは一つやってみよう」「じゃあ、今日は5分だけやってみようか」と声をかけることから始めてみてください。
コツは、ちょっとがんばればできることにすることです。そうすれば子どもも「それぐらいなら…」と少し前向きに気持ちが変わってきます。
そしてその一歩に挑戦できたら、「挑戦できたね」「わー、できたね、よかったね!」といったかたちで、達成できたことを一緒に喜びましょう。この繰り返し、その一歩一歩が「自分にもできるかもしれない」と前向きにとらえる力とやる気を育てます。
【学習性無力感】状態になっていない?
親としては「そんなことで目標達成できるの?」と不安になるかもしれません。しかし、これまで努力したけれども結果に結びつかなかったという経験や、誰かから「あなたにはうまくできないから、やめておきなさい」というメッセージを繰り返し伝えられてきた子どもは、挑戦する気力を失って「何をやってもうまくいかないし、無理」と思い込んでいる可能性があります。
このような状態が、【学習性無力感】です。学習性無力感とは、「コントロールできない物事自体が問題ではなく、それを自分ではどうにもできないという経験を繰り返すことで、解決に向けての行動をしなくなる」という概念で、自分ではどうにもならない経験が何度も続いたことで、解決に向けての努力をしなくなることを指します。違う方法や、状況の変化や努力によって、今度はうまくいくかもしれないのに、「どうせ何をやっても無理…」と思い、挑戦しなくなってしまうのです。
親は「失敗することはあなたの能力不足のせいではない」と伝えよう
学習性無力感から引き上げる第一歩は、「失敗することはあなたの能力不足のせいではない」と伝えることです。そして、練習をしたり、別のやり方でやってみたりするとうまくいく体験をしてもらうことが、脱却の第一歩となります。
先のような小さな一歩一歩をクリアして、成功体験を積み上げることで、徐々に「自分の〈努力〉でよい結果を生んでいる」という気持ちが生まれてきます。それが、学習性無力感の真逆にある、「自己効力感」です。レジリエンスを育てる重要な要素でもあります。まずは焦らず、その子にできる一歩から、始めてみてください。
逆境に負けない力を育てる『子どもの心を強くする すごい声かけ』
『子どもの心を強くする すごい声かけ』1,540円(主婦の友社)
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