子どもがネガティブな言葉を発したとき、親はどんな「声かけ」をすればいいのでしょうか?困難に負けない子どもに育てるための声かけの具体的ポイントを、日本ポジティブ教育協会代表理事の足立啓美さんが監修する書籍『子どもの心を強くする すごい声かけ』からご紹介します。
転校や進学、クラス替えなど、環境の変化に対して不安になっているとき
【NGな声かけ】●「大丈夫、大丈夫! すぐ慣れるよ」
●「しょうがないでしょ!」
【OKな声かけ】●「大きな変化は誰でも不安になるよ。あなただけではないよ」
●「それは不安だよね…でも新しいとこ楽しいこともありそうじゃない?」
よい面に意識が向くよう働きかける
親の事情で転校をしたり、全く知らない人ばかりの学校に進学したりしたときは、子どもは新しい環境への不安や友達と離れる悲しさなどでいっぱいになります。
進級時にクラス替えがあるときにも、仲がよかった友達と離れて「友達が誰もいなくてどうしよう…」と落ち込むケースも少なくありません。
こうしたネガティブ感情でいっぱいのとき、新しい環境にもよい面があることにはなかなか気がつけなくなります。しかし、新しい環境に飛び込むときは、子どもにとって大きな変化を乗り越える力をつける、よい機会にもなります。
まずは「そう感じるのは当たり前だよね」「わかるよ」といった声かけで、不安に思う気持ちを受け止めてあげましょう。そのあとは、「新しいところで楽しそうなことは何かな?」とポジティブな側面に気がつけるような質問をしてあげます。
新しい環境で体験できる楽しいことを親子で調べてみたり、離れた友達とも楽しく交流できる方法を考えるなど、変化の中で自分にもできることを見つけることで、前向きになれるケースもあります。
ふだんから「今日うまくいったことは何かな?」とポジティブな側面に目が向けられる質問をしておくことで、よい側面に気がつける力は育ちます。
『楽観的な説明スタイル』でとらえる力を育てる
小学校高学年ごろになるとメタ認知も育ってきますから、物事のポジティブな側面を見ることに挑戦できるようになります。
「強い心を育てる重要な要素の一つとなるのが、嫌な出来事が起きたときに『楽観的な説明スタイル』でとらえる力である」と提唱したのが、心理学者のマーティン・セリグマン博士です。楽観的な説明スタイルとは、嫌な出来事に対しても、
①原因は自分だけのせいではなく、環境も含めてさまざまな要因がある(自分化しない)②この原因は長くは続かずいずれは解決する(一時的)③多くのことには影響しない(限定的)というとらえ方を指します。
たとえば「新しいクラスに仲よしがいない」という状況であれば、「まだ友達がいないけど、親戚のあつしくんも引っ越しで友達がしばらくできなかったと言っていた。私だけじゃないし、すぐは無理でもきっと友達はできる。習い事では仲よしの友達がいる」と前向きになれます。
逆に悲観的な説明スタイルは、自分のせいで嫌なことが起こり、その出来事は一生変わらず続き、ほかの多くのことにも影響すると考えます。
楽観的な説明スタイルを身につけられるように、先のセリグマン博士による三つのポイントをもとに「この部分はあなたの責任だけど、あの部分はあなたの責任ではないんじゃないかな?」と責任を負うべき範囲について話し合ったり、「いつも、ずっと同じことは続かないよ」「これですべてが台無しになるわけではないよ」と視点を変える声かけをすることで、楽観的な説明スタイルへと誘導してあげましょう。
逆境に負けない力を育てる『子どもの心を強くする すごい声かけ』
『子どもの心を強くする すごい声かけ』1,540円(主婦の友社)
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