子どもがネガティブな言葉を発したとき、親はどんな「声かけ」をすればいいのでしょうか?困難に負けない子どもに育てるための声かけの具体的ポイントを、日本ポジティブ教育協会代表理事の足立啓美さんが監修する書籍『子どもの心を強くする すごい声かけ』からご紹介します。
「学校に行きたくない」「学校で嫌なことがあった…」と落ち込んでいるとき
【NGな声かけ】●「なぜ行きたくないの?行けば楽しいよ」
●「そんなこと、気にする必要ないよ」
●「どうしよう…(一緒に落ち込む)」
【OKな声かけ】●「教えてくれてありがとう」
●「このことについて誰かに話したい?」
●「そっか、そっか。ゆっくり休もう」
「助けを求めてきたことに感謝する」が第一歩
「もう学校には行きたくない」と子どもから突然聞くと、親としては驚き、頭を悩ませるかもしれません。しかし、実は子どもの内側では口にする前からずっと、くすぶっていたはず。悩んだ末に、やっと親へ言い出せることがほとんどです。
とはいえ、親御さんにとっては青天の霹靂です。「なぜ?何かあったの?」と根掘り葉掘り聞き出そうとしたり、「行けば楽しいでしょ、行きなさい!」などと反射的に言ってしまったりするものです。また、学校で嫌な出来事などがあり、子どもが落ち込んでいることもあるでしょう。
そんなときにも、親はついつい「そんなこと、気にしなければいいよ」とか「それぐらい自分でなんとかなるでしょ」と、不安や焦りから早く解決したい気持ちが先走って、ため息をついたり、突き放すようなことを言ったりしてしまいがちです。ときには「どうしよう…」と子どもと一緒に悩み込んでしまうことも。
そこをグッとがまんして…まずは勇気を持って伝えてくれたことに、感謝の気持ちを伝えてください。
悩みや問題について、親子や家族で話ができるということが非常に大切だからです。誰にも頼らずに一人でなんでも解決することだけが強さではありません。誰かに自分の悩みや弱さを開示できることもまた、強さといえるのです。
「不安やわからない気持ち」をまるごと受け止める
そして、子どもの気持ちをじっくり聞いてみてください。ときには、本人も明確に学校に行きたくない理由がわからないということもあるでしょう。本人がいちばん、これからどうなるのか不安に感じているはずです。
そんな不安や、わからないという気持ちをまるごと「そっか、そっか。ゆっくり休もう」と受け止めてあげてください。
そして、子どもには自分の力で立ち直る力があると心に留めておくことがいちばん大切です。子どもがつらい出来事を体験する姿を見ることは心が痛みます。しかし、親からの情緒面での保護とサポートとがあれば、子どもは必ず乗り越えていけます。
「子どもの立ち直る力を信じて」声かけを
私も学生時代に登校拒否になったとき、当時の先生から「心配はしていないよ。でも、気にかけているからね」と言ってもらいました。「先生は私が立ち直れる力があると信じてくれているし、見捨てることはしない」と思えてとても安心しました。
子どもたちは、大人の言動のもととなっている動機に敏感です。子どもの立ち直る力を信じている大人の言動は、子どもの中で「自分を信じてくれている」というエネルギーに変わります。
逆に、大人が不安な気持ちからとった言動は、「自分の力を信用していないんだ」と伝わり、自分には立ち直る力がないと思い込んでしまうのです。
また、子どもが成長するにつれて、親には話したくないけど、少し距離のある人になら話ができるということもあります。「心を整理するのが上手な人がいるよ。そういう人に話してみたい?」などと、親以外にも相談できる人や機関があることを伝えておきましょう。
逆境に負けない力を育てる『子どもの心を強くする すごい声かけ』
『子どもの心を強くする すごい声かけ』1,540円(主婦の友社)
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