毎日の暮らしに癒しを与えてくれるペットは、大切な家族とも言える存在ですよね。ただし、妊娠するとペットとの接し方に注意が必要なときもあります。ポイントをしっかりおさえておきましょう。
妊婦さんが特に気をつけたい「トキソプラズマ症候群」
ペットの口の中や排泄物には多くの病原菌が存在します。特に妊婦さんが気をつけたいのが、トキソプラズマという原虫によって感染するトキソプラズマ症。ネコ科の動物やブタのふんが感染源といわれます。
妊娠前からペットを飼っているなら基本的に問題ないことが多いですが、妊娠中に初めて感染した場合は、胎盤を通して胎児に感染し、流産・早産、発育の遅れ、水頭症などを引き起こすおそれもあります。
感染を防ぐためには、ペットの衛生管理をきちんとするとともに、よその家のペットには接近しすぎないこと。妊婦さん自身が生肉を食べないことも大事です。
ペットから感染する可能性のある病気
● パスツレラ症
パスツレラ菌は犬の75%、猫のほぼ100%が口内にもつ病原体。感染するとはれや赤みが。
● バルトネラ症
猫にかまれたり、ひっかかれたりして感染すると、発熱や痛みなどの症状が。まれに犬も。
● エキノコックス症
エキノコックスはキタキツネや犬に寄生する原虫。人間に感染すると重い肝機能障害が。
ここに注意!ペットの飼い方6つのポイント
ペットとの暮らし方、基本のポイントをご紹介します。
1 ペットにさわったら必ず手を洗う
ペットの体や飼っている水槽などには病原菌のいる可能性があります。さわったら、必ず手を洗いましょう。
2 口うつしでエサを与えない
ペットの口の中は病原菌の温床。食べ物の口うつしや口の周りをなめさせることは絶対にやめましょう。
3 ふんの処理は手袋を使ってこまめに
動物のふんは乾燥すると空気中に浮遊して、感染の原因となります。手袋やマスクをして、こまめに処理を。
4 ペットに生肉は与えない
生肉にはトキソプラズマのオーシスト(卵のようなもの)が残っていることも。感染を防ぐために与えないで。
5 妊娠中は生肉を食べない
加熱が不十分な生肉にはトキソプラズマが潜んでいることも。妊婦さんも生肉を食べるのは絶対にやめましょう。
6 人間もペットも抗体検査を受ける
妊娠したら抗体検査を受けて。産院の血液検査で調べられます。ペットは動物病院で血液検査をしてもらえます。
動物別・安心して買うための注意点とは?
飼っているペットの種類によっても、注意点は変わってきます。こんなことに気をつけて。
犬
顔や口をなめるなど過剰なスキンシップが心配。抵抗力の弱っている妊婦さんがあまりなめられるとパスツレラ菌に感染することもあります。スキンシップは、ほどほどに。
●POINT
さわったりなめられたりしたら、洗うようにしましょう。例えば夫の実家で飼っていて、「困る」と言いにくい場合は、夫から伝えてもらって。
猫
感染した猫が排泄した土や砂なども、未感染猫の新たな感染源になります。特に3~4カ月の子猫は外に出さないほうが安心です。ふんはすぐに処理する習慣をつけて。
●POINT
感染症をもらわないように、室内飼いが基本。猫が感染源となる卵を排泄させない薬を投与するのも効果的です。
カメなど爬虫類&両生類
爬虫類や両生類は、サルモネラ菌をもっているので、さわったら必ず手洗いしましょう。
熱帯魚など魚類
魚を入れている水槽は雑菌がいっぱい。手を入れたり、水を替えたりしたら手洗いを。
オウムやインコなど鳥類
インフルエンザのような症状の出る「オウム病」が心配。エサの口うつしは避けましょう。
ペットは家族の一員とも言える大事な存在。トラブルにならないよう、気をつけるべきことはしっかり気をつけて、ペットとの暮らしを楽しんで。