この記事は赤ちゃんの指差しについてまとめたものです。
赤ちゃんが指差しをする意味や、指差しをしたとき・しないとき、おかあさんはどう対応すればいいのかなどを解説します。
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赤ちゃんの指差しとは?
大人のおしゃべりと一緒です
指差し=物や人を指さすことです。
赤ちゃんにとっての指差しは、私たち大人が言葉をしゃべるのと同じようなもの。つまり、お母さんや周囲の人に、赤ちゃんが何か伝えたいことがあると、指差しをします。
逆に言うと、何の意味もなく、赤ちゃんが指差しをすることはありません。
赤ちゃんは「伝えたいことがある」という気持を表現するために指差しをし、「あっ」「おっ」など、指差しと一緒に声を出すこともあります。
赤ちゃんの指差しには、どんな意味がある?
「伝えたい」「感情を共有したい」「欲しい」などの意味が
「ほらほら、見て!」「ねえ、あっち」「あっ、こんなものがある」。赤ちゃんの指差しには、そんなふうにいろいろな意味があります。
赤ちゃんの発達の話をするときに「共同注意」という言葉がよく使われます。
共同注意というのは、「もの」や「できごと」に対する興味を他の人と共有すること。赤ちゃんの指差しも、この共同注意の一つです。
たとえば赤ちゃんが「ほらほら、見て!」という気持ちで、指差しをするときには、
・自分が興味を持っているものを、お母さんなどに伝える・自分が興味を持っているものに、お母さんの関心を引きつける・「おもしろいね」「きれいね」などの感情を共有するというような意味があります。
赤ちゃんが指差しをしたときは、お母さんも「あら、そう」「それ、かわいいね」など、話しかけながら反応を返してあるとよいでしょう。
赤ちゃんにとっての指差しは大人にとってのおしゃべりと同じ。「指差ししたものを、ちょうだい」と要求するような意味を持つこともあります。
赤ちゃんの指差しは、いつからする?
生後8~10ヶ月ごろからが多い
それまで何もしなかった赤ちゃんに、ある日突然、指差しという行動が出てくるわけではありません。
発達の道筋としては、その前段階として「自分以外の人の視線の先を追う」「自分以外の人が指差したものを目で追う」などの行動が見られます。
赤ちゃんの成長発達には個人差があるものです。指差しが出始める時期も赤ちゃんによって異なりますが、だいたい生後8~10ヶ月ごろであることが多いでしょう。
先輩ママの体験談「うちの子の指差しはこんなふうでした」
●1歳前に、トラックを見ると、指差し「1歳になる少し前ぐらいから、トラックを見ると「あ!あ!」と言って指を指すようになりました。外出中、大声で「あ!あ!」と言うので、そのたびに立ち止まってトラック見学。ベビーカーに乗っていても立ち上がって指差しするので、しばらく危なくてヒヤヒヤしました。普通の乗用車やバスなどはガン無視でした。」(1歳8ヶ月・男の子)
赤ちゃんが指差しをしないときは、どうすればいい?原因は?
ゆっくりと発達していく赤ちゃんなのかも
繰り返しになりますが、赤ちゃんの発達には個人差があります。
指差しをし始める目安として、8~10ヶ月という月齢を出しましたが、この月齢になれば必ずするというわけではありません。
もっと早くから指差しをし始める赤ちゃんもいれば、もっと遅くなって初めて指差しをする赤ちゃんもいるでしょう。
ただし、まったく指差しをしない赤ちゃんというのは、少し心配です。心の発達の遅れなどの可能性があるからです。
そのため1歳半健診では指差しをするかどうかが検査項目に含まれています。
赤ちゃんの指差し、自閉症と関係がある?
自閉症の中には、指差しをしなかった子もいます
赤ちゃんが指差しをしないときに、お母さんたちが心配するのは『何か障害があるのだろうか、自閉症なのだろうか』ということでしょう。
自閉症のお子さんの乳児時代を振り返ると、「そういえば、指差しをしなかった」というお母さんの声を耳にすることもあります。
でも「指差しをしない」=「障害がある」「自閉症である」わけではありません。
自閉症であるかどうか、その他の障害があるのかどうかは、指差しだけではなく、「お母さんやお父さんと目が合いにくい」「名前を呼んでも、振り向かない」など他に、コミュニケーションがとりにくい状況があるのかどうかなどを見て、総合的に判断されます。
指差しをなかなかしないことなどが理由で、自閉症などの心配があるときは、健診などで小児科医からお話があるはずです。
「同じ月齢のよその赤ちゃんは、とっくに指差しをしているのに、どうしてうちの子はできないの?」と悩んだり、赤ちゃんを叱ったりするのは絶対に止めてください。
お母さんが指差しに気づいていないだけの場合も
また大人でもそうですが、アクションのオーバーな人と控えめな人がいますよね。同じものを見ても、手を叩いて声を出した大喜びをするような人もいれば、他人から気づかれないぐらい小さく笑うだけの人もいます。
もしかしたら指差しをしない赤ちゃんも、お母さんが「指差しをしていない」と思っているだけ、気が付いていないだけということもあるでしょう。
赤ちゃんの指差しは、どう練習する?
赤ちゃんの心をくみ取るような働きかけをしてみて
赤ちゃんがなかなか指差しをしないからといって、お母さんが赤ちゃんの指を持って、指差しの練習をさせるのは意味がありません。
これまでお話してきたように、赤ちゃんにとっての指差しは大人のおしゃべりと一緒です。
赤ちゃんのほうに、お母さんに何か伝えたいという心の動きがなければ、指差しという行動も出ないでしょう。
赤ちゃんが指差しをしなくて心配なのであれば、お母さんのほうから赤ちゃんと心を通い合わせる、赤ちゃんの心をくみ取るような働きかけをしてみましょう。
たとえば赤ちゃんが興味を持ちそうなものを見つけたら、お母さんがそのものを指さして「ほら、ワンワンだよ。かわいいね」「あそこのお花、きれいだね」などと声をかけ、赤ちゃんといっしょに楽しんだり、驚いたり、喜んだりという感情を共有するのです。
赤ちゃんはお母さんのマネが大好きです。お母さんがいろいろなものを見つけて、それを指差すということを繰り返しているうちに、赤ちゃんからも同じような動作が出てくるかもしれません。
赤ちゃんが指差しを練習するためのアイテムは?
特別なものが必要なわけではない
赤ちゃんの指差しを引き出すために、特別なものやアイテムを用意する必要はありません。赤ちゃんが興味を持ちそうなものをお母さんが見つけて、「ほら!」と指差しをして見せればいいのですから。
家の中にあるおもちゃを指差してみたり、テレビを見ていて赤ちゃんが好きなキャラクターが出てきたら指差してみたり。お散歩の途中でバスを見たら、「あら、バスだよ。大きいねぇ」などなど。身の回りにあるもの、全てが練習アイテムになると考えるとよいでしょう。
指差しで赤ちゃんとコミュニケーションを
指差したものの中で、とくに赤ちゃんの反応がよかったものを覚えていて、次にそのものを見たときには、また同じように「ほら!」とお母さんが指差しを繰り返してみるとよいかもしれないですね。
指差しの練習では、赤ちゃんが何に喜ぶか、何に反応するかなど、赤ちゃんの様子をお母さんがよく観察して、その気持ちを読み取るようにすることが大事です。
そうしたお母さんと赤ちゃんとのやりとりで、コミュニケーションの基礎は作られていきます。赤ちゃんの指差しの練習は、単に指差しだけでなく、赤ちゃんとお母さんの心のコミュニケーションづくりにも役立つのです。
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