つわりでなかなか食事がとれない、吐き気がおさまらない時期が続くのはつらいもの。そんな時は、つい「つわりに効く薬はないの?」と思ってしまいますよね。かといって、妊娠中は安易に薬を飲むわけにもいかず、悩ましいものです。そこで、産婦人科医の楠木総司先生につわりを楽にする薬について、伺いました。
つわりとは?つわりの原因は?
つわりとは、妊娠初期に起こるさまざまな不快症状のことです。つわりが始まるのは妊娠5週目前後からで、10週ごろにピークを迎え、16週ごろに終わるのが一般的です。
症状は、吐き気やめまい、頭痛、食欲不振、眠気など人によって異なり、程度にも個人差があります。つわりで日常生活に支障が出るほどつらい症状があらわれる人もいれば、妊娠前とほとんど変わらずに過ごせる人もいます。
つわりが一体どうして起こるのか、実はその原因ははっきりしていません。「妊娠によってホルモンの分泌に変化が起こるから」という説もあれば、「赤ちゃんという自分とは異なる存在を宿すことによるアレルギー反応である」という説もあります。
つわりの時に処方される吐き気を抑える薬は?
つわりは、ほとんどの妊婦さんに起こる現象で病気ではないとはいっても、あまりにつらい症状が続くと、「つわりに効くお薬はないの?」と思う人がいても不思議ではありません。だからと言って、ドラッグストアなどで売っている市販の吐き気止めを安易に飲むのは、やめましょう。
吐き気がつらくてたまらないという妊婦さんは、まず産婦人科の医師に相談してください。症状に応じて、吐き気止めや胃薬を処方してもらえる場合もあります。
妊娠中に処方される吐き気止め(一般例)
・プリンペラン(成分:メトクロプラミド)
妊娠中にどうしても吐き気止めが必要な場合に用いられる代表的な薬です。弱った胃腸の動きを活発にし、食べ物を胃から腸へ送り出すのを助ける効果があり、吐き気、嘔吐、胸焼け、食欲不振、膨満感などの不快症状を改善します。
・ピドキサール(成分:ビタミンB6)吐き気止めではありませんが、つわりの吐き気や嘔吐を予防、改善するうえで効果があるのではないかと考えられているのが、ビタミンB6です。ビタミンB6のつわり改善効果については、研究者によって意見が分かれるところですが、実際に「楽になった」という妊婦さんもいますので、試してみる価値はあるとされています。
ビタミンB6は市販もされていますが、服用は主治医の先生に相談してからにしましょう。