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2022.11.02

お世話

その掛け布団、危険です!赤ちゃんの突然死を防ぐために、絶対守るべき睡眠環境とは?

こんにちは!日本人初・乳幼児睡眠コンサルタントの愛波 文です。私の住むアメリカNYでは紅葉が見頃を迎えています。日本もそろそろでしょうか。

さて、今回はこれからどんどん寒くなる時期に、皆さんにどうしても知っていただきたいことがあり、この記事を書いています。

ぜひ最後までお読みいただき、ご自身の周りの保育者の方々にも子どもたちの命に関わる大切なメッセージを広めていただけると幸いです。

突然、命を奪われてしまう子ども達

皆さんは「乳幼児突然死症候群」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?「乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)」。それまで元気だった赤ちゃんが、何の予兆も病歴もないまま、眠っている間に突然死亡してしまうことです。

以下にご紹介するのは、乳幼児突然死症候群でお子さんを亡くされたご遺族の方々から私に寄せられてきたメッセージです。

私はこういったメッセージを読む度に胸が締めつけられ、涙せずにはいられません。

さっきまで元気で一緒に遊んだり、ごはんを食べていた息子さん・娘さんが「おやすみ」と眠ったまま動かなくなり、そのまま天に旅立ってしまう…。

想像しただけでも耐えがたい悲しみや悔しさが込み上げてきます。

それと同時に、日本では乳幼児の突然死の被害を減らすためにできることがまだ徹底されていないと感じています。

赤ちゃんの突然死の原因とは?

この「乳幼児突然死症候群」は寒い時期に発生することが多く、発症は乳児期の赤ちゃんに多いものの、まれに1歳以上でも発症することがあります。

SIDSの予防方法はいまだ確立していませんが、いくつかの点に留意すれば、発症のリスクを低くすることができます。ただし、後述するように、正しい知識がまだまだ行き渡っていないのが現状です。

一方、日本では平成28年から令和2年までの0歳児の死亡原因1位がベッド内の窒息死となっています。14歳までの子どものベッド内での窒息は全部で127件発⽣していますが、そのうち118件(約93%)が0歳児の事故です。
出典:消費者庁「子どもの不慮の事故の発生傾向」

0歳児の就寝時の窒息死事故の状況(平成22~26年に発生した事故160件の内訳)
●顔がマットレスなどに埋まる 33件
●掛け布団などの寝具が顔を覆う、首に巻き付く 17件
●ベッドと壁のすき間などにはさまれる 13件
●ベッドなどからの転落に起因する窒息 7件
●家族の体の一部で圧迫される 5件
●ベッド上の衣類やクッションなどで顔を覆われる 4件
●その他、詳細不明 81件

出典:消費者庁プレスリリース

厚生労働省のポスターに異議あり!

そこで、行政でもさまざまな形で乳幼児の窒息事故を防ぐための啓蒙活動をしているのは良いのですが、現在、厚生労働省が出しているポスターに、大きな問題が!
「掛け布団は軽いものを使いましょう」という記載があり、ベビーベッドで眠っている赤ちゃんのイラストも掛け布団を使用しているのです!掛け布団は重い、軽いに関係なく、窒息の原因になり得るのに、です。

また、消費者庁が出している「0歳児の就寝時の窒息死に御注意ください! 」というニュースリリースにも同様に、「軽い掛け布団を使用し」と記載がある一方で、「口や鼻を覆ったり、首に巻きついてしまったりするものは(ベッドに)置かないようにしましょう」と書かれています。

こういった一貫性のない矛盾したメッセージでは、ママ(保育者)たちが混乱してしまうのも無理はありません。

多くの小児科医が警鐘を鳴らしている!

こうした中、小児科医の中には、「掛け布団は危ない」ということを訴えている先生方も多数!
浦部智美医師
「薄いハンカチを顔から取り除けるのは生後6~7ヶ月以降。掛け布団が危険なのは明らかです」
太田みのり医師
「重い軽い関係なく、睡眠中の乳児死亡のリスクを下げるために、掛け布団を使用しないことを推奨するべきだと思います」

一方、米国小児科学会は1994年から掛け布団の使用は危険ということを伝えています。
「National Institutes of Health」より

また、米国小児科学会は今年新たに乳幼児突然死症候群と窒息死の原因についてのエビデンスを示す論文を発表しました。

この中で、睡眠時にブランケットなどをかけることで、乳幼児突然死症候群や睡眠中の窒息リスクを大幅に上昇させると明言しています。
※American Academy of Pediatrics “Evidence Base for 2022 Updated Recommendations for a Safe Infant Sleeping Environment to Reduce the Risk of Sleep-Related Infant Death”より

突然死を防ぐために知っておくべきこととは?

では、こうした悲劇を防ぐためには、どうすればよいのでしょうか?NIH(アメリカ国立衛生研究所)の啓蒙ポスターによれば、赤ちゃんにとって安全な睡眠環境とSIDS・窒息の予防に有効とされている習慣とは以下の6つです。

①仰向け(背部を下にして)で寝かせる。

②暖めすぎ(着衣、毛布、暖房、高い室温)に注意する。

③柔らかい寝具、枕、ぬいぐるみ、掛け布団などを寝床に置かない。


④乳児は親/養育者のベッド・布団ではなく、同室でベビーベッド・布団に寝かせるのが望ましい。


⑤母親は妊娠中の喫煙を避け、乳児をタバコの煙に曝露させない。


⑥母乳育児の推奨。


このうち➁については意外に思うかもしれませんが、着せすぎたり部屋を暖めすぎたりすると「うつ熱」という熱中状態になります。睡眠中の赤ちゃんが高体温になると、「熱を放出する」作用が生まれると同時に、「熱を作ることを抑える」作用が働きます。

熱を作ることを抑えるために、体は呼吸を休んだり、筋肉を使わないようにします。その結果、必要な酸素を取り込めず、乳幼児突然死症候群につながってしまうと言われています。

厚生労働省では、11月は「SIDS対策強化月間」として情報発信をしているのですが、その資料にうつ熱の記載もないことも非常に問題です。
厚生労働省報道資料より

軽い掛け布団を使用することで「窒息」、そして「乳幼児突然死症候群」双方のリスクをあげてしまうことがあるということを、どうか忘れずに!安全のためには、おくるみやスリーパーを使うことをおすすめします。

私はとにかく「日本の保育者に悲しい思いをしてほしくない」「事故にあってほしくない」という想いが強くあります。事故があって命が奪われるまで待たないで欲しい。この冬、”掛け布団を使用しない”という当たり前のこと、そして日本に安全な睡眠環境の知識を広める活動に皆さんのご協力をお願いします。

現在、厚生労働省のSIDS・窒息死予防ポスターに「掛け布団は使用しない」・「暖めすぎは危険」の明記を求めるキャンペーンを実施しています。賛同していただける方は、ぜひこちらからご署名を!
https://chng.it/SdS6VB25 

記事を読む⇒⇒⇒愛波 文の「子どもの睡眠メソッド」

【監修】 愛波 文 乳幼児睡眠コンサルタント

国際資格認定機関IPHIの日本代表を務め、370人以上の乳幼児睡眠コンサルタントを育成。出産後、夜泣きや子育てに悩んだことから米国で乳幼児の睡眠科学の勉強をはじめ、現在は日本を代表する乳幼児睡眠コンサルタントとして講演や執筆等、幅広く活動。ママ・パパ向けに睡眠・子育て・教育について情報を配信する『愛波子育てコミュニティ』は、同種のサービスとしては日本最大規模に成長中。 著書に『マンガで読むぐっすり眠る赤ちゃんの寝かせ方』(主婦の友社)、『ママと赤ちゃんのぐっすり本』(講談社)、監修書に『ママにいいこと大全』(主婦の友社)など。慶應義塾大学教育学専攻卒業。

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