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2022.10.18

成長・発育

間違った抱き方で股関節脱臼に!?知っておきたい赤ちゃんの骨と関節のしくみ【整形外科医監修】

とってもやわらかい赤ちゃんの体。その体を支える骨や関節がどうなっているのか、気になりませんか?赤ちゃんの骨や関節の特徴を知っておくことは、「股関節脱臼」などの病気を早期に発見するのにも役立ちます。小児整形外科の専門医に詳しく教えていただきました。

赤ちゃんの骨と関節は大人とどう違う?

1 大きさ

長さも太さも小さい骨です
体が小さい分、赤ちゃんの骨は当然すべてがスモールサイズ。大人の骨と比べると、長さも短く、細いです。

2 やわらかさ

骨の質そのものがしなるようなやわらかさ
赤ちゃんの骨は、質も大人と違います。大人の骨がかたいのに対し、赤ちゃんの骨は弾力があり、やわらかいです。

大人の骨…木のようなかたさで折れやすい
大人の骨は、太くてかたい木のような状態。二本足で立てるよう体を支える強さがありますが、外からの衝撃や圧力が加わるとポキンと折れやすいという面も。

赤ちゃんの骨…竹のようにしなるやわらかさで折れにくい
赤ちゃんの骨は、大人の骨よりもずっとやわらかくて弾力に富んでいます。それだけに、曲げたり圧力が加わったりしても、竹のようにしなって折れにくいのが特徴です。

3 形

二足歩行する以前の股関節は、大人と違う
大人との一番の違いは、関節、特に股関節の形。大人は二足歩行用に発達し、赤ちゃんは四足歩行に適した形です。

赤ちゃんの骨と関節はどう発達する?

1歳前後(たっちができる頃)に向けて徐々に形が変わります

赤ちゃんの身長が伸びるのは、腕や足の骨を形成する細長い長管骨などが伸びるから。この長管骨は、両端にある軟骨部分に骨が出現して成長し、軟骨部分がなくなると、身長の伸びも止まります。

大人と赤ちゃんの骨を比べると、1歳未満の赤ちゃんの骨は大人と違って小さくやわらかいのですが、もっとも違うのが関節の形です。関節とは、くぼんで受け皿のような形をした臼蓋(きゅうがい)と、骨の先端部である骨頭(こっとう)が結合した部分をいいます。

関節の中でも、股関節は、大人の場合は、二本の足で立って歩くために適した形をしています。一方、赤ちゃんは、四足歩行の姿勢に向いた形をしているのが特徴です。赤ちゃんの体をX線撮影してみると、股関節の形が犬やネコなどの四足動物とそっくりなのです。

この四足歩行に向いた股関節の形は、成長するにつれて少しずつ大人に近い形になっていきます。1歳頃になると、二足歩行に向いた形になります。

股関節の形が変わり、筋肉も発達すると歩けるように

股関節の形は、赤ちゃん時代は四足歩行の姿勢、大人になると立った姿勢のときに、足を動かす殿筋(でんきん)がうまく働くような形をしています。

そのため赤ちゃんは、股関節が大人に近い形になるとともに、殿筋も発達してはじめて、たっちやあんよができるようになるのです。

ねんね~はいはい時期
四足歩行の姿勢に合う股関節で、可動域も広い

赤ちゃんの股関節は、臼蓋が浅く骨頭がとがっているため、不安定ではずれやすい構造。肩などの関節も同じです。そのかわり、腕や足などは可動域が広く、あらゆる方向に動かせるので、赤ちゃんは体がやわらかいといわれるのです。
赤ちゃん 関節あおむけで自分の足をなめなめ。関節の結合が不安定で大きく動くので、こんなポーズもできます。

〈骨はこんな感じ〉
赤ちゃん 股関節大転子は先端が高い位置に。臼蓋はくぼみが浅く、結合が不安定ですが、その分、可動域は広いです。

1歳頃
筋肉も発達して、立つ姿勢がとれる関節になる

1歳頃には、赤ちゃんの股関節は大人のように臼蓋が深くなり、骨頭も丸みを帯びてくるので、しっかり結合してはずれにくくなります。骨もかたくなり筋肉も発達して、立って歩けるようになりますが、体はかたくなっていきます。

〈骨はこんな感じ〉
赤ちゃん 股関節大転子の位置は低くなり、臼蓋のくぼみが深めに。可動域は狭くなりますが、はずれにくくなります。

赤ちゃんの「股関節脱臼」に気をつけましょう

抱っこの仕方で股関節がはずれてしまうことも

関節脱臼とは、太ももの骨が骨盤からはずれてしまった状態。股関節の発育が悪く、生まれつきの場合もありますが、生まれてからも、構造上はずれやすいため、抱っこの仕方が間違っているなどが原因で起こることも。

足の開き方が悪いなどで気づき、おむつのあて方などに注意して様子を見ます。それでも治らなければ、リーメンビューゲルという装具をつけたり、牽引などで整復をします。

早期発見のため、生後3ヶ月頃のチェックが大切です

股関節は、人間が立って歩くためにとても重要な部分です。股関節脱臼を起こしているのに完全に治さないと、やがて痛みが起こったり、うまく歩けなくなったりすることも。

でも、早期に発見して治療を始めれば、たいてい完治します。そのため、生後3ヶ月頃のチェックがとても大切。生後3ヶ月以前だとチェック後に脱臼を起こすことがあり、以降だと治療の効果が出にくくなるからです。

【異常の発見のしかた】
□どちらか一方の足の動きが少なく、動きの悪いほうのひざを立てていることが多く、場合によってはひざが反対側に倒れていたりする。

□おしりまで両足を持ち上げて観察すると、おしりが左右非対称である。

□両足をやさしく開いてみると片方が開きにくく、開きの左右差がはっきりしている。

□股が開きにくいためにたて抱きがしにくかったり、おむつを替えにくいことが多い。

□兄弟姉妹、親、祖父祖母、いとこなど血縁関係者に股関節脱臼がある。

赤ちゃんの足は自由に動かせる状態にしておくこと

赤ちゃんの股関節ははずれやすい構造をしているので、足を無理に曲げたり伸ばしたりするのはやめましょう。また、足を伸ばした状態での抱っこはNG!

赤ちゃんの足は、常に自由に動かせるようにしておくことが大切です。また、立つ姿勢に適した関節になっていないうちは、歩行器を使用しないようにしましょう。特別な理由がない限り、基本的に歩行器を使う必要はありません。

【抱っこひもの正しい使い方】
抱っこひもの使い方を、知らずに間違ってしまったために、赤ちゃんが股関節脱臼を起こすことがよくあります。抱っこひもは、正しく使えば股関節脱臼が予防でき、赤ちゃんも快適に。

OK…足が自由に動くようにしてあげましょう
赤ちゃん 抱っこひもママと赤ちゃんが向かい合い、赤ちゃんが足を大きく開いた状態で抱っこします。このとき、赤ちゃんの足は曲げることも伸ばすこともできるようにするのがポイントです。

NG…足を伸ばした状態で固定して抱っこする
赤ちゃん 抱っこひも 危険抱っこひものタイプにもよりますが、赤ちゃんが足をまっすぐ伸ばした状態、または曲げた状態、どちらかで固定するような抱き方はしないで。特に足を突っ張ると、脱臼の危険大。

先輩ママ&赤ちゃんの「股関節脱臼」体験談

かたい股関節を抱っこのしかたで改善

ぴこちゃんさん&あやかちゃん(生後8ヶ月)

生後4ヶ月健診のとき、股関節がかたいとのことで、抱っこするときは向かい合わせで赤ちゃんの足を自然に開くように指導されました。生後10ヶ月まで様子を見て、開きぐあいが不十分だったら大きな病院でみてもらうように言われましたが、生後7ヶ月頃には股関節の開きぐあいがよくなったと言われ、ひと安心。

左の骨の発達が遅め。でも生後6ヶ月で異常なしに

Sさん&りおちゃん(1歳4ヶ月)

生後3ヶ月のときに股関節脱臼検査を受け、左側の骨の発達が遅れていると判明。股関節が広がる日常のケア方法を教えてもらいました。それを守ったおかげか、生後6ヶ月でX線撮影をしたら異常なし。その後、生後7ヶ月ではいはい、生後9ヶ月でたっち、1歳2ヶ月であんよと、運動発達は順調です。

股関節の開きが非対称。その後、問題なしと判明

Eさん&せいくん(生後6ヶ月)

生後4ヶ月健診で、股関節がかためで開き具合が左右非対称と言われました。X線撮影の結果、たぶん問題ないが、向きぐせを直すといい、とのこと。生後6ヶ月で別の病院へ行くと、股関節に問題はなくなっていました。ただ、向きぐせのことを話すと、それだけで直すのはむずかしいとも言われました。

ほかにも気をつけたい骨・関節のトラブル

O脚・X脚

成長とともに軽減すれば問題ありません

赤ちゃんの足は、歩き始めのころはO脚ぎみで、2歳過ぎ頃からは徐々にまっすぐになりますが、2歳過ぎから今度はひざが内側に向いたX脚ぎみになります。これは、子どもの足の骨の発達上、自然なこと。自然に治っていき、小学生ごろには気にならなくなるでしょう。

ただ、ごくまれですが、ビタミンDの欠乏による「くる病」などの病気が原因であることも。O脚やX脚の度合いが、成長するにつれてだんだん強くなってきたようなときは、早めに整形外科を受診したほうがいいでしょう。

ブラウント病とは
すねにある2本の骨のうち、内側にある軟骨に障害が発生して、うまく成長せずにO脚になってしまう病気。1歳前の早い時期から歩かせたために、ひざに無理がかかったことなどが原因と考えられています。装具や手術が必要になることも。

内反足

生後すぐから正しい治療を行えば手術せずに治ることも

生まれつき、足のくるぶしからつま先にかけての部分が、内側にそり返っています。また、足の裏側が内側を向いているうえに、かかとが上がっている変形が見られる場合も。原因は不明ですが、足を構成しているいくつかの骨や骨同士の配列異常と考えられています。

治療は早期に開始することが大切で、生後2ヶ月頃までに矯正を開始することが望ましいです。ただ、治療開始が1歳を過ぎても、適切な治療を受ければ治ることが多いので、必ず専門医を受診してください。

肘内障(ちゅうないしょう)

ひじ関節が一時的にはずれた状態。はめてもらえば治ります

ひじの関節の一部がはずれかかった状態で、いわゆる「腕が抜けた」というものです。子どもは、靱帯など関節の組織がまだ形成途上にあるため、急に手を引っ張られたり、腕を下にして転がったりしたときなどに起きやすいのです。

肘内障になると、急に激しい痛みを訴えて泣いたり、ひじをやや曲げて腕をだらりと下げたまま動かさなくなります。処置は簡単で、医師がはずれかけた関節を元に戻せば、痛みもなくなり動かせるようになります。

【普段のお世話や生活シーンでのOK・NG】

OK…着替えのときはひじを持って
赤ちゃん 腕が抜ける着替えなどで、腕をやさしく引っ張る程度では、抜けることはありません。ひじ関節を持てばもっと安心。

NG…急に手を引っ張らない
子ども 腕が抜ける赤ちゃんの関節は急に引っ張ると、はずれやすいもの。手をつないでいるときなどに、急に手を強く引かないよう注意して。

見た目でわかりやすい骨・関節のトラブル

側弯症(そくわんしょう)

背骨がどちらかに曲がったうえ、ねじれている病気。原因は、遺伝やホルモン異常などが考えられますが、はっきりしていません。装具で矯正しますが、背骨の曲がりが大きい場合は、手術することも。

筋性斜頸(きんせいしゃけい)

首の筋肉にしこりがあり、首をいつも左右のどちらかに傾けている病気です。しこりは生後1ヶ月を過ぎると自然に小さくなっていき、1歳頃までにはほとんどの場合消えてしまいます。

上記のトラブルは見た目でわかるため、ほとんどが乳児健診で発見されて、適切な指導がされるはずです。股関節脱臼だけは、見た目だけでは判断できず、動かしたときの状態で判断されるため、家庭での観察やケアがとても大事です。

小児整形外科専門医に聞く!赤ちゃんの骨と関節のギモンQ&A

Q.背が高い人は、赤ちゃん時代から背が高い?

A.あまり関係はありません。むしろ遺伝が関係します
人間の成長パターンには個人差が大きいもの。何歳頃に身長がぐんと伸びるかは、人によって違うので、長身の人が赤ちゃん時代から背が高いとは限りません。また、最終的に背が高い大人になるかどうかは、遺伝によって決定する要素が大きいと思われます。

Q.一度ひじが抜けるとくせになるって本当?

A.くせになるわけではありません
一度肘内障になったからといって、くせになることはありません。ただ、くり返す子は、普段から肘内障を起こしやすい動作や遊びをしている傾向はあるかもしれませんね。

Q.かたい布団に寝かせないと、背骨が曲がる?やわらかい布団で添い寝はNG?

A.そんなに簡単に背骨は曲がりませんが、窒息しないように注意して
赤ちゃんの骨がやわらかいとはいえ、やわらかい布団に寝かせたくらいで曲がることはありません。ただ、やわらかい布団は、うつぶせになったりママが添い寝したときに、顔が埋もれて窒息する危険があります。かための布団で、あおむけに寝かせると安心です。

Q.両わきを持って抱っこすると、肩がはずれたりしない?

A.大丈夫!そんなにもろくありません
赤ちゃんの関節は、不安定ではずれやすい構造です。でも、両わきを持って抱き上げたくらいではずれるほど不安定ではないので、常識的な抱き方をすれば心配いりません。

Q.大泉門っていつ閉じるの?

A.1歳半頃までに閉じます。さわるときはやさしく
赤ちゃんの頭頂部は、脳が成長できるように頭蓋骨の継ぎ目にすき間があります。1歳半頃までには自然に閉じますが、デリケートな部分なので、押さないよう注意を。

Q.頭の形は、いつ整うの?すごくいびつなんですけど…

A.起きている時間が長くなればだんだん丸くなります
ねんねのころは、向きぐせがあると頭がいびつになりがちです。でも、寝返りやおすわり、はいはいと、体を起こしている時間が長くなるにつれ、頭の形も直ってくるでしょう。多少いびつでも、1歳を過ぎて髪の毛が生えそろってくれば気にならなくなりますよ。

Q.牛乳を飲む子は背が高くなる?

A.牛乳だけではなく、バランスのとれた栄養を!
牛乳にはカルシウムが多く含まれるので、成長期の子どもには飲ませたいもの。ただ、身長は遺伝も関係していますし、健康に育つには牛乳だけでなく、栄養バランスのとれた食事をすることが何より大切です。

Q.抱っこするとポキポキ音がします。何かおかしいの?

A.赤ちゃんが痛がっていなければ何も問題ありません
赤ちゃんの関節がポキポキと音がなるのは、よくあることです。原因はよくわかりませんが、関節がやわらかく、大きく動くので、音がしやすいのかもしれません。痛がっていないなら、心配しないで。

Q.左右の足のしわが対称じゃないと股関節脱臼なの?

A.必ずしもそうではありませんが、股関節脱臼だとそうなりやすいです
股関節脱臼を発見するときに、太もものしわが左右対称かどうかをチェックすることがあります。でも、問題がなくても非対称のことも。

Q.たくさん伸びをする子は、背が伸びるって本当?

A.生理的なものでしょう。関係はありません
伸びは、使っていなかったり収縮してしまったりした筋肉を、ほぐすための生理的な現象です。乳幼児期に伸びをたくさんしたから、身長が伸びるというわけではありません。
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記事を読む⇒⇒⇒ビタミンD欠乏症の赤ちゃんが増えている?行き過ぎた紫外線対策は「くる病」の原因に
記事を読む⇒⇒⇒赤ちゃんの頭の形が気になったときは?向き癖を治す方法と受診のタイミング【専門医監修】

『Baby-mo(ベビモ)2021年春夏号』の内容をウェブ掲載のため再編集しています。※情報は掲載時のものです

【監修】 鈴木 茂夫 水野記念病院 理事長・院長/小児整形外科専門医

京都大学医学部卒業。日本小児整形外科学会評議員。京都大学医学部整形外科臨床教授、滋賀県立小児保健医療センター病院長などを経て、現職に。どんな質問にもていねいに答えてくださるやさしいドクターです。

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