乾燥している冬の時季は、気を付けていてもウイルスに感染してしまうことがあります。病気にかかってしまったら家ではどう過ごせばいいのでしょうか?あわてず適切なお世話できるように、ホームケアのポイントを医師の渋谷紀子先生にききました。
熱があるとき▶病原体とたたかえるよう環境を整えて
熱が出るのは、病原体がこれ以上増えないよう、たたかっている証拠です。むやみやたらと下げようとせず、病原体とたたかえる環境をととのえてあげましょう。
熱の出始めは体がふるえて寒がりますが、上がり切ると手足が熱くなります。下がり始めると汗が出ることもあり、その後は平熱に。熱が出たときは、それぞれの段階で適切なケアをすることが大切です。
耳式体温計は正確さに不安があるため、わきの下ではかるものを。いつも同じものを使うと体温の変化に気づきやすいです。
①熱の上がり始め
【寒そうにしていたらあたためてあげて】上がり始めは血管が収縮するため、ふるえが出ることがあります。熱があるのに手足が冷たいならまだ熱が上がる可能性が。30分を目安に、布団を足したり毛布でくるんであげて。
②熱が上がり切ったら
【水分補給をしながら安静に過ごして】上がり切ると体がほてり、心拍や呼吸が速くなります。皮膚と呼気の両方から水分が奪われるので、水分を飲みたいだけ飲ませて。赤ちゃんが気持ちよさそうなら、しぼったぬれタオルで首やわきの下などを冷やしてもいいでしょう。
③熱が下がってきたら
【平熱になってもしばらく様子を見ます】熱は一度下がってもぶり返すことが。特に夕方から夜にかけて再び発熱することがあるので、まる1日平熱が続くようになるまでは検温を続け、室内で安静に過ごしましょう。
\お風呂は湯ぶねにつからず体をふくだけでも/湯ぶねにつかると体力を消耗させます。汗をかいたらこまめに着替えさせ、お湯でしぼったタオルでふいてあげましょう。
せき・鼻水が出ているとき▶熱もなく元気ならば様子を見て
体を異物から守るのがせきと鼻水の役目です。病原体を退治しようとして出ているものなので、すぐに薬で止めるのは考えもの。コンコンという乾いたせきや鼻水があるけれど、熱がなく機嫌が悪くないならあわてず様子を見ましょう。
つらそうでなければ、市販の薬も使う必要はありません。おうちで症状を観察しながら、ラクに過ごせるようにしてあげましょう。
【せき】せきとたんを出しやすくする
【背中をトントンたたいてたんを出してあげる】せきで苦しそうなときは、背中をトントンと軽くたたいてあげましょう。気道の内側に粘りついているたんを動かし、とれやすくします。赤ちゃんもママに抱かれて安心感があります。
トントンする手はおわん状に。振動が伝わりやすくなるので効果的です。
【上半身を起こして寝かせてあげる】せきが出て苦しいときは、横にするとよけいにせき込みやすくなります。寝かせるときは上半身を起こしてあげると、鼻水を口の中に流すことができ、呼吸がラクになります。
【鼻水】鼻水はこまめにふきとる・吸いとる
【やわらかいティッシュでふいて、保湿も忘れずに】できれば使い捨てられる、やわらかいティッシュを使用しましょう。ガーゼでふくときは、こまめに替えて清潔なものを。かぶれやすい鼻の下はワセリンなどで保湿しましょう。
鼻水がひどいときは、吸いとってあげると呼吸がラクになります。鼻水がいつまでも鼻の中に残っていると、雑菌が繁殖することも。市販の鼻吸い器などでこまめに吸いとってあげて。
吐いたとき▶吐きけの連鎖を起こさせないケアを
赤ちゃんの胃は、立てたとっくりのような形で、入り口の締まりがゆるやかな構造。大人より吐きやすくなっています。次の吐きけを誘発しないよう、少しずつ水分補給をしながらケアをしましょう。
吐くのは急性胃腸炎などの感染症のほか、髄膜炎や脳炎・脳症など重い病気が原因の場合も。嘔吐が続いておさまらないようなら、必ず受診しましょう。
①吐きけが続いているとき
【においのついた衣服は着替えさせて】吐いたもののにおいが吐きけを誘発するため、汚れた衣類はもちろん、シーツもすぐ交換を。いつ吐くかわからないときは気道をふさがないよう、あおむけではなく、横向けに寝かせましょう。
②吐きけがおさまったら
【まずはスプーンで一口ずつ水分補給】吐いて間がないときにたくさん飲ませると、吐きけを誘発することが。スプーンで一口ずつ水分をとらせ、次は小さな器で少量ずつ。30分ほどで100㎖飲めたらひと安心。
\家庭内感染に注意!/●吐しゃ物や便はマスクと手袋で処理●とくにノロウイルスは感染力が高く、家庭内感染が起きる危険性が。処理の前に手袋、マスク、エプロンを必ず着用して。
●お世話をしたあとは必ず手洗いを●おむつ替えなど、赤ちゃんのお世話後は薬用石けんでしっかり手洗いを。使用ずみおむつは、1回ごとに密封してゴミ箱へ。
下痢をしたとき▶脱水症状とおむつかぶれに注意
下痢の原因となるのは、感染症による腸の炎症のほか、一時的な飲みすぎや食べすぎ、おなかの冷えなどで起きることも。機嫌がよく、食欲があるなら心配はいりませんが、水っぽい便が頻繁に出る場合は水分も奪われているので、脱水症に注意しましょう。
食欲がないときは水分補給を。下痢のピークが過ぎても、離乳食は一段階戻したほうが安心です。
水分補給をしっかりと
【経口補水液で水分・電解質を補給】下痢が続くと、体内から水分だけでなく電解質も奪われます。水分と電解質が同時にとれる経口補水液などで水分補給をしましょう。離乳食は水分が多めのものに。
\脱水症状に注意!見極めポイント/
□皮膚に張りがない
□おしっこが少ない
□唇や口の中が乾いている
□ぐったりしている
□水分補給ができない
上記のチェック項目内、ひとつでも当てはまるようなら脱水症状の疑いが。すぐに病院へ。とくに嘔吐が続く場合は要注意。
おしりと肛門のケアを
【座浴でおむつかぶれを防止】下痢便は肌への刺激が強いので、おしりがかぶれやすくなります。かぶれがひどいときは病院で薬を処方してもらって。おしりふきは脱脂綿などやわらかいものに。できれば座浴などで洗い流してあげましょう。
病気のときの「食べてよいもの・避けたほうがよいもの」
熱があるとき
食欲がないなら、無理に食べさせなくても。食べたがるものでかまいません。発熱時は胃腸の働きが落ちるので、消化の悪いものは避けて。
せき・鼻水が出ているとき
ゼリーやスープ類など水分が多めで口当たりがなめらかなものがおすすめ。人肌くらいの温度が刺激がなく食べやすいでしょう。
吐いたとき
吐きけがおさまって落ち着いてからまずは少しずつ水分を。水分量をふやしていき、食欲が出てきたら消化のよいものを食べさせましょう。
下痢のとき
離乳食は1段階戻したほうが安心。様子を見て少しずつかために、食欲があるようなら、繊維質や油脂類を避ける程度でかまいません。
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