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2022.09.21

妊娠出産体験談・インタビュー

この子が何歳まで私は生きられるのだろう…。乳がんで手術→出産をへて今思うこととは?【鈴木美穂さんインタビュー】

日本テレビ系「スッキリ」「ミヤネ屋」のキャスターとしても活躍した鈴木美穂さん。今年女の子を出産しましたが、20代で乳がんを患った経験があります。不安を抱えながらの妊娠・出産をへて、育児中のいまの思いをお聞きしました。

出産の望みをつないでくれた唯一の医師に手術を依頼

乳がんだとわかったのは、2008年、24才のとき。日本テレビに入社し3年目を迎え、記者の仕事に楽しさを感じ始めていたころでした。

朝、いつものようにブラジャーを身に着けようとしたときに、右胸にコリコリと動くしこりを見つけたんです。気にはなったものの仕事の忙しさもあり、3週間ほどたってから社内の診療所で相談。すると「大丈夫だと思うけれど、念のため」と病院への紹介状と、1ヶ月後の診察予約をとってくれました。

健康には自信があったので、「安心」を求めるつもりで1ヶ月後受診したのですが、その結果は悪性腫瘍……。「どうして私が?」と病院の外に出て人目もはばからず号泣してしまいました。その後、さまざまな検査をした結果、ステージⅢの乳がんだとわかりました。

右乳房全切除の手術を提案されたのですが、後悔しないためにもセカンドオピニオンを受診。医師によっては「2年後があるかどうか……」「正直厳しいですね」と言われ、とくに妊娠については「子どものことを考えるのはおすすめしない」「まずは生きることが優先」と当時は受け流す医師がほとんどでした。

でも、そんななか唯一「妊娠の希望を捨てずにいきましょう」と言ってくれた医師に手術をお願いしました。抗がん剤治療、放射線治療などをへて、8ヶ月ぶりに職場復帰を果たすことができたんです。

がんを経験し、恋愛することに自信をなくしていた私ですが、「そういう経験をして、それを人のために生かそうとしていること自体が素敵だよ」と言ってくれた男性と出会い結婚したのは、がん判明から10年がたつころです。

治療の影響で生理が長く止まった時期もあったので、妊娠できる可能性は高くないだろうと思っていましたが、幸運にも子どもを授かることができました。

ただ、ホルモンで増殖するタイプの乳がんだったこともあって、妊娠したことで影響するんじゃないか、ふだんとは違う環境におかれることによって、何かあったらどうしようと妊娠中も不安ばかりで。

妊娠・出産が乳がんの再発を助長するようなエビデンスはないのですが、それでも心配ですべての検診は夫に付き添ってもらっていました。夫にはかなり支えられていると思います。

元気に過ごせていることへの感謝はより強くなりました

▲5カ月記念で撮影。ムチムチの腕がかわいくて(笑)。

コロナ禍の今年、無事女の子を出産し、いま7ヶ月。娘は本当にかわいいです。つかまり立ちでいろんなところにいっちゃいます。やんちゃなんですかね(笑)。目が離せません。

「もし乳がんが再発したら……」という不安は常にあります。術後10年間で再発や転移がなければ完治とみなされるため、10年が経過したころから「がん」から自由になった気がしていましたが、妊娠・出産をきっかけに「乳がん」を意識する機会は確実にふえました。

いちばん強く不安を覚えたのは出産の翌日、初めてシャワーを浴びたとき。左胸にしこりを見つけて、いつもとは全く違う感じだったので、また乳がんが再発したんじゃないかと凍りつきました(実際は出産に伴う乳腺の張りでした)。

あとは助産師さんから「左胸でこれくらい母乳が出るなら、両胸で母乳だけでいけそうですね」と言われたとき。新しい助産師さんに代わるたびに「右胸は乳がんになっていて……」と説明しなければならず、乳がんの爪あとを感じさせられます。
▲コロナ禍で夫は立ち会いできませんでしたが、出産前から生まれるまでzoomで中継して感動を共有!

娘を見ていて「この子が何才まで、私は生きられるかな」と、ふと考えることもあります。一度がんを経験していると、「二度とがんにならない」とは思えないんですね。今後、自分の身に何かが起きるかもしれないというのはどこかで思っています。

だからこそ「死ねない!」と思いますし、現在元気で幸せに過ごせていることへの感謝の気持ちもとても強くなりました。

一方で「いつかは別れがくる」ということが、さびしいというレベルを通り越して、はかり知れない悲しみになって襲いかかることもあります。同じようにがんを経験していた仲間の死であったり、友人知人以外の死に対しても敏感になっていて、誰かの死にふれるたびに、その日起き上がれないくらいの喪失感にさいなまれることも……。

今後、自分の身に何が起こるかわかりませんが、そのときに後悔のないように生きないといけない、と強く思います。

「あのとき検診を受けていたら」という後悔は本当に悲しい

「自分はがんにならないと思う」「忙しいから」「もしがんだったら、知りたくないしこわい」これら三つはがん検診に行かない理由としてよく聞くのですが、若い世代でもがんになる人は決して少ない数ではありません。自分を大切にするという意味でも、厚生労働省が推奨するがん検診は、きちんと受けてほしいです。

女性の子宮頸がん検診は20歳から、乳がん検診は40歳から受けられます。乳がんについては20代や30代でも検診に行ったほうがいいかと聞かれますが、推奨年齢になる前でも異常を感じたらすぐにチェックしに行ってください。

「あのとき検診を受けていたら、もっと早く見つかったのに」という後悔は本当に悲しいですから。大丈夫だと確認するためでもいいので、行ってほしいですね。

子どもが小さいと預け先の問題などもありますが、保育園の一時預かりなど公的なサービスもあります。年に1回のことですから、なんとか時間をつくって受けてほしいなと思います。

そしてもしいま、自分の体に少しでも不安を感じているなら、とにかく医療機関へ行ってください。不安を抱えながら時間を過ごすよりも、少しでも早く病気を見つけてもらうのがいちばんですから。

とくに子育て世代は、自分のことを後回しにしがちです。でも赤ちゃんにとってはママがすごく大事!お子さんが思うのと同じように、自分の体を大事にしてください。もし異常があったり、がんが見つかったとしても、私ががんになったときと比べても医療は進歩していますし、できる治療もふえています。

私が乳がんになったとき「なぜ自分だけが」と落ち込みましたが、実際はそんなことはないんですね。自分の周りにそういう人がたまたまいなかっただけで、視野を広げれば仲間はいますし、支えてくれる人もその環境もたくさんあります。

がんに影響を受けた悩みや不安であれば、私が共同代表を務める「マギーズ東京」へいつでも連絡してほしいです。検診の段階での不安も含めてなんでも無料でお話を伺うことができますから、いつでもご相談いただきたいです。

マギーズ東京だけでなく、全国にはがんの診療連携拠点病院が約430あるんですが、そこにはがん相談支援センターが必ずありますし、がんになった親の患者会などもあります。

希望する患者会やサポート機関を、マギーズ東京から無料で紹介することもできます。電話でもオンラインでも受け付けていますので、とにかく一人で抱え込まないで、とことん頼って甘えてほしいです。

マギーズ東京
https://maggiestokyo.org/
がんになった人とその家族や友人などが気軽に訪れて、がんに詳しい看護師さんや心理士さんなどに無料で相
談することができます。

住所:東京都江東区豊洲6-4-18
電話:03-3520-9913
FAX:03-3520-9914
(平日10 時~ 16 時)
MAIL:soudan@maggiestokyo.org

【Profile】
鈴木美穂⚫1983年東京生まれ。2018年まで日本テレビに在籍。08年乳がん判明、09年若年性がん患者団体「STAND UP!」を発足。16年東京にがん患者や家族が無料で訪れ相談できる「マギーズ東京」をオープン。著書に『もしすべてのことに意味があるなら がんがわたしに教えてくれたこと』(ダイヤモンド社)がある。

『Baby-mo(ベビモ)2022秋冬号』発売中!

『Baby-mo 2022秋冬号』では、今回ご紹介した鈴木美穂さんインタビューのほか、ベストセラー『成功する子は食べ物が9割』などの著者・細川モモさんの離乳食アドバイスなど、読みごたえのある記事がたくさん!ぜひご覧くださいね。
 撮影/廣江雅美 取材・文/加藤夕子(リワークス) デザイン/ STUDIO pas mal

『Baby-mo(ベビモ)』の内容をウェブ掲載のため再編集しています。※情報は掲載時のものです

Baby-mo〈ベビモ〉編集部

「Baby-mo(ベビモ)」は主婦の友社が運営する、妊娠・出産・育児の公式情報サイトです。妊娠期の不安、出産準備、赤ちゃんの成長、離乳食レシピ、産後の悩みまで。はじめてママ・パパに寄り添う情報を提供します。➤ 雑誌の最新号・バックナンバーはこちら 

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