科学的根拠に基づいた、赤ちゃんの睡眠のためのメソッドを紹介する連載。今回は、「睡眠のゴールデンタイム」と成長ホルモンについて。質のいい眠りですくすく大きく成長するためには、どんな時間帯にどのようなことに注意して寝かせるとよいのでしょうか。
毎日忙しいママは子どもも就寝時間までドタバタ!
子どもの就寝時刻が遅くなると、成長に影響があるのではないかと心配する親は多いと思います。特にワーキングママ・パパはどう頑張っても就寝時刻が21時を過ぎてしまうこともありますよね。
保育園にお迎えに行き、夜ごはんを作って食べさせて、お風呂に入れて…と、猛スピードでやるべきことをこなしているママ・パパたち。それでも「なかなか早く寝かせることができない!」と悩んでいる方も少なくないのでは?
我が家も子どもたちのお迎えから就寝までの数時間、毎日毎日闘いです!15時に長男の学校が終わるので、14:45までに私は学校に到着して待機。長男と合流したら、そこから次男のお迎え。家に帰ってからも、習い事や宿題をこなすとあっという間に夕食の時間になってしまいます。
やっぱり早く寝ないと成長ホルモンは出ないの?
就寝時刻が多少遅くなってしまっても、1日に必要な合計睡眠量が取れていれば就寝時刻が遅いことをそこまで気にする必要はありません。何より大切なのは、できるだけ毎日同じルーティンで同じ時間帯に就寝をすること。
成長ホルモンは眠っている間に分泌されるので、寝不足になると成長ホルモンの分泌量が減り、身長を伸ばすことや、代謝をコントロールする役割が弱まってしまうことがあります。
それに加えて、寝不足だと食欲を押さえるホルモンの分泌が減り、食欲を増進するホルモンの分泌が増えるため、食べすぎたり太りやすくなることもわかっています。
私たちの体にとても大切な「成長ホルモン」は、深い睡眠の時に、一度の睡眠中に分泌される総量の70~80%が分泌されます。時刻によって分泌量が決められているわけではありません。
「寝ついてから約90分ぐらいで訪れる、一番深い眠りの時(=ゴールデンタイム)に成長ホルモンが最も多く分泌される」ため、深く寝入ることができるよう生活習慣を整えることが大事になってきます。
毎日質の良い睡眠がとれるよう、朝起きたら日光を浴びたり、運動をしたり、睡眠環境を整えましょう。就寝前は、暗くして睡眠ホルモンのメラトニンの分泌を促すように心がけてください。
「寝る子は育つ」は本当です!
昔からことわざで言われている「寝る子は育つ」は科学的にも事実です。寝ている間に体は成長し、脳が作られ、弱った部分の修復もするため、病気になりにくい体づくりができます。
先ほどもお話したように、成長ホルモンはどの時間帯に眠るかで分泌量が変わるわけではありません。だからといって、子どもの就寝時間が毎日23時や24時でもいいというわけではないのです。
「記憶にかかわる脳の部位『海馬』は、睡眠時間が長い子どものほうが大きい」という研究結果を東北大学の研究チームが2012年に発表しています。ですから、できるかぎり長い睡眠時間がとれるよう、子どもをなるべく早い時間に寝かせるようにしたいですよね。
子どもに早く寝るよう働きかけるためには、大人の準備がとても大切です。例えば、ごはんは作り置きしておいて夕食時間と就寝時間を早める、部屋の暗さを保つ環境づくりなどの“寝る準備”は事前にしておく…など。
「最低でも寝る1時間前からテレビ、スマホ、タブレットは見ない、激しい遊びをしない」といったことを心がけられるとよいですね。ゆったりとした睡眠環境を整えてあげることは、我が子の質の高い睡眠と成長のために大人ができることだと思います。
我が家では、木曜日や金曜日の週の後半、親子ともに疲れが出てくるので、汗をかいていない日はお風呂に入れなかったり、簡単にシャワーだけ浴びさせるようにしています。年齢や季節にもよりますが、お風呂は絶対に毎日入れなければならないというものではないはず。自分が疲れたなと思った日には、タオルで子どもの全身を拭いてあげるだけでもよいでしょう。
このように、家族の体調や様子に合わせて早寝できる環境を整えるようにできるといいですね。
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