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2022.08.26

産後の悩み

妊婦さん必見!産後すぐの「睡眠」と「マタニティブルー」には深~い関係が!【連載・愛波文の子どもの睡眠メソッド】

日本人初の乳幼児睡眠コンサルタント・愛波文さんの、科学的根拠に基づいた睡眠メソッドを紹介する連載。

今回は、産後すぐのママの睡眠とマタニティブルーの関係について、ご自身の経験をベースに教えていただきました。妊婦さんやそのご家族はぜひご一読を!

マタニティブルーが産後うつの原因に?

マタニティブルーって?

「マタニティブルー」とは正式名称を「マタニティブルーズ」といい、産後3~10日ごろに発症し、短期間で改善する一時的な精神症状のことを指します。

近年では、妊娠中に起こる同様の不安症と合わせ「マタニティブルー」と総称することが多くなっています。この記事でも、総称として「マタニティブルー」に統一して解説していきます。

日本では10~30%の産後ママが経験するそうで、情緒不安定、不眠、抑うつ気分、不安感、注意散漫、イライラ感などがあらわれます。産後に発症した場合の症状のピークは産後5日目ごろで、10日目ぐらいまでには軽快していくことが多いそう。

ほとんどの場合は自然によくなるため、特別な予防や薬物療法などの医療介入は実施しないことが一般的です。

しかし、なかにはマタニティブルーが「産後うつ(産褥期精神障害)」に移行することもあり、マタニティブルーは産後うつの発症リスクを上昇させるという報告もあります。

産後うつって?

「産後うつ」は産後数週間から数ヶ月以内に発症するケースが多く、産後ママの10~15%がなるといわれています。

症状は一般的なうつ病と変わらず、気分が沈みがちになり、周囲に対する興味や喜びが感じられなくなります。不安、緊張、集中困難、不眠、などの症状もあらわれます。

こうして見ると、マタニティブルーと産後うつの症状は共通している部分もありますよね。しかし、自然に治癒することも多いマタニティブルーに対して、産後うつは未治療のまま放置されると、重症化・長期化しやすいため、その後の育児に悪影響を与えかねません。

ですから、マタニティブルーが産後うつに進行しないよう、パートナーやママの周囲の人はもちろん、ママ自身も、ママの気持ちの変化に注意する必要があります。

私が経験したマタニティブルー

私は長男が生まれたとき、次男が生まれたとき、どちらのタイミングでもマタニティブルーを経験しました。

長男のときは、なかなか寝てくれない・寝ぐずり・夜泣きなどの睡眠にまつわるトラブルがきっかけ、次男のときは母乳育児がきっかけでした。

次男のときは、長男のときの経験もあったので「絶対に大丈夫!」という自信があったのですが、そう甘いものではなく、結果として2度目のマタニティブルーに突入することになってしまいました。

完全母乳にこだわりすぎて、次男のことを考えてあげられなかった

私は、2015年に次男をニューヨークで出産しました。2人目だったこともあり、妊娠後期にはすでに乳汁がよく出ていたので、産後直後に初乳をあげたときも乳首への吸い付きはとてもよく、母乳には問題ないだろうと思っていました。

しかし、産後2日目になっても、なかなかうんちが出なく、「母乳が足りてないかも…」という不安が私のなかで徐々に大きくなっていきました。不安のあまり、ほとんど睡眠もとらず必死に次男に母乳をあげたり、搾乳をしたりして頑張っていました。

そんな様子を見て、ナースから「粉ミルクをあげたほうがいいわよ」と言われたのですが、その瞬間、いきなり号泣してしまったんです。長男の時は入院中から完全母乳で、粉ミルクをあげたことがなかったので、自然と「完全母乳が当たり前。完全母乳じゃないとダメなんだ!」という思い込みが当時の私にはありました。

その後、ラクテーションコンサルタント(母乳コンサルタント)という母乳育児支援をする専門家に「粉ミルクをあげたほうがいい」と言われても、泣きながら「あげたくない」と伝えていました。

母乳は出ていたのですが、次男が欲している量には全く達していなく、母乳コンサルタントと一緒にもっと出るように頑張りました。しかし、次男は十分栄養が取れていなかったため寝てもすぐ起きてしまい、私も睡眠がとれず、ストレスを感じていました。
マタニティブルー▲当時の母乳量(写真提供:愛波 文)

そうしているうちに、次男の黄疸症状が悪化してしまい、6時間以上別室で光治療をしないといけなくなってしまいました。きちんとうんちが出ていれば、黄疸が悪化することは少ないので「最初からすんなり粉ミルクを与えていたら避けることができたのではないか?」と思うと悔しくてまた号泣…。

「十分な母乳が出ない私が悪い、私のせいで黄疸になってしまった……」と、自分を責めていました。今振り返ると、このとき私はマタニティブルーになっていたのだと思います。

その後、粉ミルクを飲みながら6時間の光治療を受け、やっとうんちとおしっこが出て、黄疸はだいぶ収まり、夜中の23時に無事退院することができました(アメリカは入院費用が莫大な金額なので23時でも退院できます)。
赤ちゃん 黄疸 光治療▲光治療の様子(写真提供:愛波 文)

それでも、治療中の6時間はなんとしても母乳を飲んでもらおうと、別室で母乳を搾乳していたくらい、私は母乳育児にこだわっていました。

今振り返ると、「なんで産後あんなに完全母乳にこだわっていたんだろう?」と不思議に思います。だって、赤ちゃんが十分な栄養が取れていなかったり、脱水症状になっていたらもっと大変なことになってしまうのに!

夜間授乳の疲れから「ママ失格」な自己否定に陥る⁉

産後のママの疲れやストレスは、母乳が出るのを促すホルモン、オキシトシンの分泌を止めてしまうことがあり、母乳量に影響が出ます。

滋賀県立大学の「母子の夜間睡眠状況と授乳の関連の研究」*(1)では、夜間授乳の1 回にかける時間が長くなるとママのストレスレベルが高くなることがわかっています。

もちろん、自分の睡眠時間が削られてしまうことはママのストレス原因のひとつなのですが、最も大きなストレス原因になっているのは「親としての有能感」の項目でした。

どうやらママたちにとっては、夜間の授乳によって自分の睡眠が分断されることよりも、上手く授乳が行えずに 1回の授乳に時間がかかることのほうがストレスになっているようです。

そのため「自分は育児が上手くできていない」と感じ、育児に対する「自己効力感(自分がそのときに必要な行動をうまく実行できているという認識)」が低下し最終的に「私はママ失格だ…」などの大きな育児ストレスを感じた、という結果が出ています。

自己否定のループから抜け出そう!

つまり「慣れない夜間授乳で睡眠時間が削られる→オキシトシンの分泌が少なくなり母乳量が減る→うまく授乳が行えず自己効力感が低下→さらにオキシトシンの量が減り母乳量が低下→夜泣きや寝ぐずり、夜間授乳の回数が増える→…」と、無限ループのような状況に陥ってしまう可能性があるのです。

このような状況が続けば、マタニティブルーを発症したり、すでにマタニティブルーに陥ってしまっているなら、さらに悪化して産後うつになってしまうかも…ということは十分に考えられる話ですよね。
マタニティブルーつまり、1回あたりの授乳時間を短くすることでママの自己効力感も高まると考えられます。母乳の量が十分ではない場合は粉ミルクを併用することなども含め、母子ともにベストな授乳方法やタイミングを模索してください。また、一人で悩まず助産師さんなどに状況を伝え、サポートを求めることも必要です。

赤ちゃんの夜間授乳を減らすことができれば、ママの睡眠時間も確保でき、育児ストレスも大幅に減らすことができます。その方法は過去の連載でも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
_____

産後は、女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少するなど生理的要因もあり、精神面が不安定になるのは仕方ないこと。

ですが「だれでもマタニティブルーになる可能性がある」ということを知っておくことができれば、ママは妊娠中から心の準備ができ、パートナーの方も産前産後のサポートへの意識がかわってくるはず。ぜひ、夫婦で前向きな育児ができる環境を整えてくださいね。

記事を読む⇒⇒⇒夜に大泣きで何度も起こされる…!「添い乳の無限ループ」を断ち切る方法【連載・愛波文の子どもの睡眠メソッド】

出典:
*(1)母子の夜間睡眠状況と授乳の関連

瀬 潤子, 長尾 早枝子DOI:10.14986/shokuiku.10.283

【監修】 愛波 文 乳幼児睡眠コンサルタント

国際資格認定機関IPHIの日本代表を務め、370人以上の乳幼児睡眠コンサルタントを育成。出産後、夜泣きや子育てに悩んだことから米国で乳幼児の睡眠科学の勉強をはじめ、現在は日本を代表する乳幼児睡眠コンサルタントとして講演や執筆等、幅広く活動。ママ・パパ向けに睡眠・子育て・教育について情報を配信する『愛波子育てコミュニティ』は、同種のサービスとしては日本最大規模に成長中。 著書に『マンガで読むぐっすり眠る赤ちゃんの寝かせ方』(主婦の友社)、『ママと赤ちゃんのぐっすり本』(講談社)、監修書に『ママにいいこと大全』(主婦の友社)など。慶應義塾大学教育学専攻卒業。

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