【ベビモ】はじめてママ・パパの悩みを解決

検索

menu

カテゴリー一覧

FOLLOW US!

  • LINE
  • Instagram
  • YouTube
  • Tiktok
menu

MENU

会員登録
menu

2022.07.17

お世話

子どもの睡眠にまつわる〈都市伝説〉これってウソ?ホント?【連載・愛波文の子どもの睡眠メソッド】

子どもの睡眠問題について、科学的根拠に基づいた解決策を提案する連載シリーズ。

育児をしていると、様々な都市伝説を聞くと思うのですが、これは本当なの?と少し不安になることが出てきますよね。そこで今回は、子どもの睡眠にまつわる都市伝説について、愛波さんに科学的に説明していただきました。

睡眠にまつわる3つの都市伝説ウソホント

【都市伝説①】牛乳を飲んで寝ると眠りが深くなる?

牛乳を飲んで寝ると眠りが深くなるという都市伝説は聞いたことがある方が多いと思います。この都市伝説は1934年に発表された論文の中に、「コーンフレークと牛乳を食べることで、夜中に目が覚めることを減らせるかもしれない」という記載があったことからだといわれています*1

しかし、本当に牛乳を飲むと睡眠の質を上げるのかどうかは「半分合っているけれど、半分間違っている」といえるでしょう。フィンランドで行われた研究*2で、70人の成人に8週間続けて、寝る前に500mlの牛乳を飲んでもらったところ、牛乳を飲むことと睡眠の質との間には関連性がない、という結果が発表されています。
赤ちゃん 都市伝説しかし面白いのが、「夜に搾乳された牛乳」は睡眠の質が高まり、夜中に目覚める回数も減ったという結果が出ています。

夜に搾乳された牛乳には睡眠の質を上げる作用がある物質の「トリプトファン」と「メラトニン」が含まれています。睡眠の質を上げる可能性があるのは、これらが含まれているためと考えられています。夜に搾乳した牛乳は昼に搾乳した牛乳よりもトリプトファン濃度が25%多く、メラトニン濃度はなんと約9.8倍に達することがわかっています*3

これは母乳も同じで、母乳研究を60年以上続ける雪印ビーンスターク株式会社によると、ママの母乳に含まれている睡眠ホルモンのメラトニンの量は、昼に比べて夜の方が圧倒的に多いということがわかっています。

とはいえ、市販の牛乳が昼にとれた牛乳なのか、夜にとれた牛乳なのかわからないですよね。そのため、「夜に牛乳を飲むと睡眠の質があがる」とはいえないんです。

*1 (Laird D, Drexel H. Experimenting with food and sleep I. Effects of varying types of foods in offsetting sleep disturbances caused by hunger pangs and gastric distress-children and adults. J Am Diet Assoc 1934(10):89-94.)
*2 (Valtonen M, Niskanen L, Kangas AP, Koskinen T. Effect of melatonin-rich night-time milk on sleep and activity in elderly institutionalized subjects. Nord J Psychiatry 2005;59: 217-21.)
*3 (Milagres MP, Minim VP, Minim LA, Simiqueli AA, Moraes LE, Martino HS. Night milking adds value to cow’s milk. J Sci Food Agric 2014;94: 1688-92.)

【都市伝説②】豆電球をつけて寝ると成長しない?

昼寝でも夜の就寝時でも、部屋の中に光が入ってきていていると、脳が「起きていてもいいよ!」というシグナルを出してしまい、なかなか眠りにつくことができなくなってしまうことがあります。

うまく眠りにつけなくなると睡眠の質も下がり、ぐっすり眠れないと成長ホルモンの分泌にも影響が出てきてしまいます。「豆電球をつけて寝ると成長しない」というわけではなく、光に脳が反応して質のよい睡眠がとれなくなり、結果として成長ホルモンの分泌などのさまざまなところに影響が出てくることがある、というわけです。
赤ちゃん 都市伝説アメリカフィラデルフィアにある、ペンシルベニア大学シェイエ眼科研究所の研究チームは2歳未満の子ども479人を「真っ暗な中で寝る子ども」「豆電球が一つついた状態で寝る子ども」「電気をつけた状態で寝る子ども」の3つのグループに分け、光と睡眠が子どもの成長にどのような関係があるか研究を行いました*4

その結果は驚くべきものでした。真っ暗な中で寝た場合、将来的に近視になった子どもは10パーセントだったのに対し、豆電球の部屋で寝た子どもは34パーセント、電気をつけた部屋で寝た子どもに至っては55パーセントが近視になったという結果が出たのです。

あらゆる条件を同じにして行われた実験ではなかったのですが、この研究から睡眠中の光は子どもの目にも影響があることがわかっています。
赤ちゃん 都市伝説日光でも室内の電気でも、光は睡眠にとても大きな影響を与えます。質のいい睡眠をとるには、朝の日光浴はとても大事。朝、日光を15分ほど浴びることで、睡眠ホルモンのメラトニンの合成・分泌に必要なセロトニンという神経伝達物質の合成・分泌量が増えます。それによって夕方から夜にかけてメラトニンが盛んに合成・分泌されます。

ですので、夜の睡眠の改善のためには、夜になってから何かをするのではなく、その日の朝の行動から見直す必要があるのです。

人間の脳は、朝の光を浴びるとメラトニンの分泌が止まり、夜暗くなると再び分泌されるといわれています。しかし、夜になっても携帯をみていたり、照明などで明るい状態にいると、メラトニンの分泌量が大幅に減ってしまいます。

ですが、オムツ替えや授乳でどうしても光が必要な場合、2歳前後で暗いのが怖いと言ってきた場合、光がないと不安な場合については、床を少し照らす暖色系(赤が一番よいでしょう)の豆電球を使用してもかまいません。

*4(The Children’s Hospital of Pennsylvania. "Near-Sightedness In Children Linked To Light Exposure During Sleep Before Age Two." ScienceDaily. ScienceDaily, 13 May 1999.)

【都市伝説③】ショートスリーパーは無理に眠らなくても平気?

ショートスリーパーとは、文字通り睡眠時間が一般的な人より短くても問題ない人のことで、その定義は「睡眠時間が6時間未満の睡眠でも、十分な健康状態を維持できる」こと。日本人に占める割合は5~8%といわれています。

私は、スタンフォード大学睡眠研究所所長の西野精治先生と日々情報交換をしているのですが、その西野先生による見解は次の通りです。

確かに、ショートスリーパーであれば無理に眠る必要はないのですが、子どものショートスリーパーに関しては、データがあまりにも少ない(ほぼない)状態なので、そもそも子どもがショートスリーパーなのかどうか、判断するのが非常に難しい。とのこと。
赤ちゃん 都市伝説子どもは大人と違い、きちんと睡眠をとらないと成長に影響が出てしまいます。ですので、乳幼児期に正しい睡眠習慣(生活習慣)を身につけ、質のよい睡眠がとれるようにしてあげてください。子どもの睡眠時間が極端に短いことに悩んでいる場合、専門家に一度相談してみるとその原因がわかるかもしれませんよ。
_____

今回紹介した3つの都市伝説に限らず、子育てのことについて疑問に思うような話があれば、一度出典や根拠を調べてみるのも良いかもしれません。ただしい情報を知って、子育てをより有意義なものにしていってくださいね。

<<<前の記事 子どもが昼間に怖い体験をした日、夜泣き予防のために親ができる4つのこと

【監修】 愛波 文 乳幼児睡眠コンサルタント

国際資格認定機関IPHIの日本代表を務め、370人以上の乳幼児睡眠コンサルタントを育成。出産後、夜泣きや子育てに悩んだことから米国で乳幼児の睡眠科学の勉強をはじめ、現在は日本を代表する乳幼児睡眠コンサルタントとして講演や執筆等、幅広く活動。ママ・パパ向けに睡眠・子育て・教育について情報を配信する『愛波子育てコミュニティ』は、同種のサービスとしては日本最大規模に成長中。 著書に『マンガで読むぐっすり眠る赤ちゃんの寝かせ方』(主婦の友社)、『ママと赤ちゃんのぐっすり本』(講談社)、監修書に『ママにいいこと大全』(主婦の友社)など。慶應義塾大学教育学専攻卒業。

SHARE

  • facebook
  • Twitter
  • LINE

関連する記事

ランキング